太陽光、風力、小水力、地熱、R水素…
21世紀は再生可能エネルギーの時代とも言われています。
化石燃料や原子力など、水と空気を汚してしまうエネルギーに頼らずに暮していくには、エネルギーを浪費しない暮しをはじめることと、再生可能エネルギーへシフトすることが欠かせません。とはいえ、今の私たちの暮しにとって、太陽光や風力はそこまで身近じゃないかも…というのが正直なところではないでしょうか。
もちろん、すでに再生可能エネルギーの恩恵を受けて暮している方もいると思います。ただ編集長である僕自身、太陽光パネルのある家で暮しているわけでもなく、まだまだ「いつかのもの」くらいに感じている方も少なくないように思います。そこにはきっと、「自分ごと」にするための橋渡しが必要となってくるのです。
もちろん、「固定価格買取制度」など、経済的なインセンティブによって普及するやり方もあるでしょう。それに加えて、グリーンズ的に肝心だと考えているのが、「太陽光があれば、暮しがこんなに素敵になるんだ!」という、心をくすぐられるようなアイデアの方なのです。
そこで「太陽光を何に変えよう」コンテスト!
そんなとき、「太陽光を人の幸せにつながるアイデアに変えよう!」とはじまったのが、株式会社ノーリツが主催する「太陽光を何に変えよう」コンテストでした。発電や給湯だけにとどまらない、幅広い太陽光パネルを利用した新しいアイデアを募集しています。グリーンズもこの主旨に賛同し、編集長のわたしも審査員を務めさせていただくことになりました。
ただ、「太陽光を何に変えよう」というお題をみて、「僕が応募する側だったらどうするかな?」と考えてみたとき、自由に発想してもOKだからこそ、アイデアを出すための”とっかかり”が必要だなと思いました。そこで今回は、過去の記事も紹介しながら、グリーンズ的にお題を言い換えて、応募する方のための発想のヒントとして共有したいと思います。
「太陽光を何に変えよう」というお題を言い換えると?
1. 水や空気を汚さない太陽光の“気持ちよさ”を伝えるには?
再生可能エネルギーの魅力はなんといっても、発電の段階で水や空気を汚さないこと。僕はよく、化石燃料や原子力との違いを野菜で例えています。シンプルに言えば、農薬入りの野菜とオーガニックな野菜の違い。小さい子供が食べても不安がなく、食べていて「気持ちいい!」と身体が喜ぶような、“オーガニック”な電気が再生可能エネルギーだとすれば、それを使うことが「気持ちいい!」と思わせるアイデアがあるとよさそうです。
そのなかで、文句なしに「これは気持ちいい!」と思ったのが、「太陽光発電仕様のロッキングチェア」。晴れの日には公園に出かけて、日が暮れるまでiPad miniで読書をする。ウズウズするような、新しいアウトドアスタイルの提案ですね。
もうひとつのお気に入りは「オラファー・エリアソンがデザインした途上国のためのLEDライト「Little Sun」」。こちらも昼の間に充電しておくと、夜には家のなかで花が咲くように輝きます。太陽光のぬくもりに対して、あたたかい気持ちがこみ上げるような、とてもやさしいデザインだと思います。
自分だったら、太陽光の“気持ちよさ”をどう伝えよう?そんな問いかけから、どんなアイデアが生まれるか楽しみですね。
2. 太陽光を使って、無理のないオフグリッドな暮しをはじめるには?
続いてのキーワードは、“部分的なオフグリッド”です。オフグリッドとは独立型電源システムのこと。
実際、グリーンズ発行人の鈴木菜央は、家の部屋のひとつを太陽光パネルでまかない、そこでパソコンや携帯電話の充電をしています。(オーガニックな電気で、とても楽しそう!)再生可能エネルギーを日本全体で100%にするにはとても時間がかかると思いますが、部分的にオフグリッドを取り込むことで、個人やコミュニティの再生可能エネルギー比率はあがってゆくはず。その先に、大きなシフトがあると思うのです。
そのヒントとなるのが、「ソーラー電池付き食器「The Energy Collection」」のようなプロダクト。グラスに太陽の光が当たると、一方がプラス極に、一方がマイナス極になり、その間で電流が発生するという仕組みです。インテリアとして楽しみながら、iPhoneをオーガニックな電気で充電できる。しれっと気付かないうちに、というのもポイントでしょう。
また、部分的オフグリッドは、ストリートの起業家を増やすかもしれません。例えば「太陽の力で冷やすアイスクリーム屋台」のように、バッテリーがなくても移動式のクルマでビジネスをすることも可能です。日本でもソーラーおでん屋さんとかがあったら、話題になりそうですね!
3. 太陽光のイノベーションで生まれる“新しい街の風景”とは?
社会的な課題を解決すると同時に、新たな価値を創出する仕組みをつくることを「ソーシャルザイン」と呼んでいますが、その結果、普段見慣れたまちの様子も同時に変わっていくのが面白いところ。特にエネルギーの分野が進めば進むほど、まだまだ見たことのない景色を生み出すことができる。ここではそんなアイデアをご紹介します。
ひとつめは、ケニアの砂漠で活躍する、「ソーラーパネルを背負ったラクダの移動病院」。暑さに強いラクダに載っているソーラーパネルは、医薬品やワクチンのための冷蔵庫を動かすために設置されています。動物の力と太陽光のハイブリッド。他にもいろんな可能性がありそうですね。
ふたつめは、ビルそのものが発電所になるという「垂直型ソーラー発電」。開発したメーカーによると、屋根に設置する従来の太陽光パネルと同等のエネルギーを生産できるとか。エネルギーをたくさん使う都会のなかで、エネルギーの自給自足ができれば、経済的なインパクトも大きくなりそうです。
オーガニックな気持ちいい電気が、自分たちのすぐ側で自給自足、地産地消できるようになったとき、まちの風景はどう素敵に変わっていくでしょうか?ここにはまちづくりの要素も関わってきそうですね。
あなたの「太陽光を何に変えよう」アイデア、待ってます!
と、駆け足で眺めてきた「太陽光を何に変えよう」をめぐる問いかけ、いかがでしたでしょうか?
まだまだいろんな切り口がありますし、誰も思いついていないアイデアも無数にあると思います。大切なのは、あなたの「こんな暮しがしたい!」という思いが、それを実現できるデザイナーやエンジニアの心に火をつけるかも!ということ。
A3・1ページに思いを込めるだけで応募できる気軽さが、今回のコンテストの魅力です。ぜひ普段からあたためていた妄想を、この機会に表現してみませんか?あなたのユニークなアイデアをお待ちしています!
「太陽光を何に変えよう」コンテストのウェブサイトをチェック!