私たちが日々暮らしていく中で、どのくらいの量の水を使用しているかご存知ですか。日本における一日一人当たりの水使用量は約2,000リットル(国土交通省「日本の水資源」、お風呂約10杯分)です。この値を多いと思いますか、少ないと感じましたか。
実は世界平均からみて多いわけではありません。ところがこの値、あくまでも日本国内で使われている水の量でしかないのです。
水使用量のうち66%が農業用水として使われていますが、日本の食料自給率は33%(カロリーベース)にとどまります。残りの67%の食料を作るのに、外国の水を大量に使っているということが想像できると思います。
食べ物を生産し、それが口に運ばれるまでに、どこの水をどの程度使っているのか。このことを改めて考えようと、今年のロンドン・デザインフェスティバル期間中に現れたのが「Wonderwater Cafe」です。
この企画を考えたのは、食材の責任ある調達を専門とするJane WithersさんとKari Korkmanさん。二人はKing’s College Londonで水を研究しているNaho Mirumachi教授の助けを借りて、カフェ「Wonderwater Cafe」をオープンしました。
目的は私たちの“食べる”や“飲む”にまつわる「Water footprint(ウォーターフットプリント)」への認知を高めること。ウォーターフットプリントとは、あるもののライフサイクルに使われた水の総量の推計値のことです。
食材によっても使われる水の量は異なります。たとえばお米1kgを生産するのに必要な水の量は1,900リットルと言われています。牛肉にいたっては15,000リットル!店内にはそのようなあらゆる場所に水にまつわる情報とインフォグラフィックが施され、食事の合間に自然と目に飛び込んできます。
テーブルの上に置かれたドリンクフリーの水が入ったボトル。そのラベルを読めば「人間活動の中で水を一番に使用するのは農業」あることがわかります。また、キッチンをのぞくとそこにもサインが。「地球上にある真水はたったの3パーセント」であることを、お客さんをはじめ、そこで働くスタッフさえも常に思い出すことができるのです。
もちろんメニューにも、その料理が提供されるまでのウォーターフットプリントについて詳細が書かれています。使われている水の量で選ぶのが理想ですが、たとえ値段で選んでも、ただ単純に食べたいものを選んでも、この食事の時間に水について考えるきかっけになることでしょう。
世界の人口は2050年には90億になると言われ、水はますます貴重なものになっていくことが予想されます。食料を輸入することは、その貴重な水をもいただいているということを忘れないようにしたいですね。
食欲の秋、今日これから食べるごはんは新米に野菜だけのささやかなおかずにして、世界の水の節約をしてみませんか?
(Text:杉本真奈美)
[via inhabitat]
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