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「自然災害」がテーマのTEDxSendaiも開催。IMF・世界銀行年次総会から世界に発信されるメッセージとは

Some rights reserved by World Bank Photo Collection

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今年、2012年秋に、国際通貨基金・世界銀行年次総会が開催されます。この年次総会は、国際通貨基金(IMF)と世界銀行、それぞれの最高意思決定機関である総務会が、毎年秋に合同で開催する会議。日本での開催は1964年以来2度目。また、総会開催中には、世界銀行が他のパートナーと協力して運営する「TEDxSendai」というイベントも、防災をテーマにして仙台市で開催されます。

震災を経て、数多くの課題を抱える日本の首都東京で開催される総会。世界中から2万人にものぼるとされる人々が集まるこの総会開催に向けて、私たちはいったい何を考え、この機会に向きあっていかなくてはいけないのでしょうか。

48年ぶりに日本で開催される、今年の総会開催に向けての想いを、世界銀行東京事務所、谷口和繁駐日特別代表にお聞きしました。

総会の大きなテーマに「防災」

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 今年の総会のテーマは何になっているのでしょうか。

谷口氏 総会の大きなテーマのひとつに「防災」があります。防災を開発の中で主要テーマにすることが求められています。途上国では急速な都市化が進んだ結果、災害に対して脆弱な街が増えています。その状態で災害が起これば、被害が大きく出る可能性が高まっています。

そこで予め開発の中に、防災という視点を含めておき、例えば道路や学校の建設をする際どれくらい頑丈に建てるのかを考えて設計するなど、教育にも防災の観点を含めていき、人々に災害リスクを正しく理解してもらうことが求められています。

もちろんこれまでも国土交通大臣や、防災大臣といったレベルでは防災に関して議論はおこなってきましたのですが、今回の総会では財務大臣も参加する場になります。これにより開発計画における防災の予算も含めての議論をすることができるため、総会の場で防災の話をすることはとても意味があることです。

防災を浸透させるにはコミュニティレベルでの実施が不可欠

 国レベルで防災への取り組みを進めていくために必要な会議なのですね。

谷口氏 そうですね。ただ実際に防災をやろうとすると、コミュニティレベル、学校レベルでの日々の訓練や、知恵の蓄積が大切になります。さらに、人々の理解が重要になります。政策当局が会合をもつだけでは十分ではありません。

コミュニティや日々の暮らしの中での、どういった取り組みが最終的に自分たちの命を守ることになるのかを知り、そのためには日頃から投資なり準備なりが必要であることを人々に知ってもらう必要があります。それを理解してもらうための情報発信をおこなっていかなくてはいけません。

「自然災害」をテーマにTEDxSendaiを開催

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 総会の前にTEDxSendaiを開催されるそうですね。今回のような国際会議の開催に合わせてTEDxイベントを開催することは異例のことかと思いますが、どういった意図で開催されるのでしょうか。

谷口氏 さきほどもお伝えしたような、人々に防災に関する情報、メッセージを届けるためにはどうしたらいいのか。それを考えたときに注目したのがTEDxという枠組みでした。

復興の中心地ともいえる仙台から、TEDxというグローバルに影響力のある枠組みで世界に向けて情報を発信することができれば、こうした問題に意識が高い人にリーチでき、インパクトを生むことができるのではと考え、財務省、世界銀行、そして他のパートナーとで開催することになったのです。

広い視点で防災を語るスピーカー

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谷口氏 TEDxSendaiに登場するのは、狭い意味でいわゆる防災に関係する人だけではありません。多様なゲストが登場し、東北の復興に関わった話、途上国で災害に関わってきたのか、紛争の被害にあっている人たちにどういった情報を発信していくのがいいのか、といったことなど、いろんな形で発信していきたいと考えています。

ほかにも東北の震災が起きたとき、日本ではなく例えばアメリカのハーバード大学の学生がどう感じ、どう理解したか。日本での違いを知り、世界中の感受性の高い人々がどういった行動をとったかを知ることにも意味があります。

防災の大切さを理解し、コミュニティレベルでのリーダーシップを

 TEDxSendaiを見た人にどういったアクションをとってほしいとお考えなのでしょうか。

谷口氏 会議にも出席されている方には、TEDxを見ていただいて自分たちの開発計画や予算の建て方にいかすことができる配慮すべきポイントなどを知っていただければと思います。これは仙台会合全体の役目でもあります。

政策当局の方ではないけれど、発信力のある方に防災の大切さを理解してもらう機会にできたらと思っています。そして、政策をつくる人ではなく、政策をサポート、理解するひとになってほしい、そう考えています。

日本の教訓を例にだすと、「釜石の奇跡」というエピソードがありますが、防災は何かハードをつくって終わりというものではありません。ひとりひとりが普段の生活から、自分がどういったリスクを負っていて、何かが起きたときに何をすべきかがわかっていることが求められます。

実際に震災が起きたとき、想定していた以上の行動ができるようになるか。それにはコミュニティレベルでのリーダーシップ育成など地道な活動が必要です。今回のTEDxがきっかけとなって、そういった活動につながっていけば。発信力を活かして、新たな動きにつなげていってもらえたらと思います。

世界での世界銀行の役割

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 これからの社会で重要になってくる世銀の役割はどういったものだとお考えなのでしょうか。

谷口氏 今回の震災後、日本には世界中から多くの義援金が集まりました。先進国の日本ですら義援金は集まるのです。配分の問題はありますが、いざとなれば支援は集まるもの。単にお金を集めるだけではなく、いかに配分し、透明で、効果的に使うかが重要で、それが納得性につながります。

東日本大震災直後に日本に寄せられた義援金の際も金額は集まったが、どうやって配ったらいいかわからない、という状況が発生しました。途上国だと、こうした事態がもっと起こります。政府自身もどうやって配分したらいいのかわからないのですから。受け手が援助してもらったお金の使い道がわからない状態で、お金を出してもらっても援助をうける立場は困ってしまいます。

世界中で援助をおこなってきた世界銀行

谷口氏 世界銀行は世界中で援助活動を実施してきました。あらゆるセクターであらゆる団体と協力し、すべてのセクター、地域、国で援助の経験をもっています。これが世界銀行の強みです

経験による優先順位についての考え方、これを私たちは「ナレッジ(知識、知見)」のバンクだと呼んでいます。パートナーと協力して、国ごとに違う優先順位を考え、決めていく。私たちにはその役割があるというメッセージを伝えていくことも大事だと考えています。

日本全体を元気にする起爆剤に

 greenz.jpは20代、30代の読者の方に読まれています。読者の方々に何かメッセージをお願いします。

谷口氏 総会は、これまでは先進国が開催している会議でした。重要な議題が話され、決まる場所だったのです。ですが、これからの世界経済において途上国を抜きに話を進めることができません。政治的はもちろん、経済的にも途上国の存在は重要になってきています。途上国の稼ぎが世界経済の成長を支えており、途上国を援助の受け手ではなく、世界経済を支えるパートナーとして共に活動していく必要がある、世界は今こうした枠組みのなかで動いていることを見てほしい、そう思います。

日本に住んでいる20代の方々は、これまでに自分たちの社会が経済成長している姿は見たことがないと思います。途上国の人々は今まさに経済成長を経験している最中です。そういった人たちと接点を持ち、何を考えているのか、問題意識を身近に知るチャンスです。

総会は、日本にいながらにして、もっともダイナミックなところを知るチャンス。学生の方もボランティアで参加しますが、よくみてもらって、糧にしてほしい。日本の若者に、世界を見てもらい、日本全体を元気にする起爆剤になってもらえたら、そう思っています。

(インタビュー終わり)

総会は本日よりスタートし、日本政府と世界銀行の共同開催による「防災と開発に関する仙台会合」も開催されています。明日からはTEDxSendaiもスタートし注目が高まります。今回の総会は防災について再考し、これからのわたしたちに何ができるのか考える良い機会だと思います。TEDxSendaiはこちらからライブ中継を見ることができます。ぜひ見てみてください。

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