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日本で病気やけがをしても大丈夫!外国人と医療機関を結ぶ「Japan Healthcare Info」 [マイプロSHOWCASE]

Too Sick (46th/52) Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by skippyjon

Too Sick (46th/52) Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by skippyjon

病気や怪我のときや妊娠したとき、親切にされたり適切なアドバイスをもらえたりすることは、とてもうれしいものです。まして、それが外国で助けてもらえたら、「この国ってすばらしいな」と好きになってしまうと思いませんか?

誰にとってもいざというときに安心して暮らせる環境は必要です。しかし、日本に滞在している外国人にとっては、日本はまだ十分な環境とは言えないのが現状。それを「何とかしたい!」と活動しているのが、今回ご紹介するJHI(Japan Healthcare Info)です。


外国人患者が日本で困らない環境づくり

もちろん今までも通訳を配置したり、英語のパンフレットを作ったりと、力をつくしている公的機関や病院もあります。しかし言語の問題から、そこまで”たどりつけない”外国人がたくさんいます。また、忙しい病院の場合、外国人のような施設独自のルールにのっとってもらえない人を敬遠しがちです。

JHIは、そういった外国人と医療機関をつなぐ役割を果たしているのです。具体的にどのようなサポートをおこなっているのでしょうか。

Japan-Healthcare-Info

JHIは外国人患者と医療を結びます。

“言語の壁”を取り払うサポート

まずは患者の状態を聞いて、とりうる手段、かかる費用、使える公的サービスを調べて紹介し、希望にあわせて医療機関とのコーディネートを行います。また公費負担の制度などは特に言語がハードルとなる部分ですが、こういったところでもサポートしています。

文化的背景からくる不安をやわらげるサポート

多くの人が、「自分の国のやり方が普通だ」と思っているものです。日本人の医者が日本の文化的背景から発した言葉を、外国人患者が納得できるようにアドバイスすることも、安心につながるサポートです。

たとえば、フランスでは多くの場合、医者は患者の病状を「○○です」と断定します。それを普通だと思っているフランス人の患者は、「○○かもしれません。様子を見ましょう」といった日本の医者の言葉を、「あのドクターは自信がないのだろうか」と不安になるものなのだとか。

こういった経験を蓄積することで医療機関からの理解も深まり、少しずつサービスが充実していっているようです。


医療サービスへの想い

Great picture of Amber after her head surgery Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by dionhinchcliffe
Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by dionhinchcliffe

外国人の夫が急病になったときに、外国人にとって日本の医療サービスってとても使いにくいなと気づいたのです。

と語るのは、JHI代表のSaraさん(以下サラさん)。ご自身も慢性疾患を持っており、日本の医療現場では、患者のほうから医療機関に働きかけることの大切さを知っていました。

病院も公的機関も、コミュニケーションの方法が独特なんです。たとえばある病院ではFAXが使えなかったり、メールが使えなかったり。また、受け付けてもらえる時間が非常に短いこともあります。

日本人であれば、多少不自由は感じつつも、病院や公的機関に合わせたり、もしどうしても合わせるのが無理であれば先方に相談したり交渉したりすることができます。しかし、言語と文化の壁がある外国人は、そうはいかないんですよね。

また病院も公的機関も本当に忙しいので、自分から相談しない限り向こうから「こんなサービスがあるよ」とはなかなか教えてくれないのです。

医学系大学院で研究を行っていたサラさんは、調査で外国人患者の多くが、日本の基本的な医療サービスについて知識がなく、言葉が通じないことを不安に思っているという結果を知り、JHIの活動を行う決意をしました。

すべての人に、最善な医療を

日本には200万人以上の外国人が生活しています。そのうち企業からの出向の場合は、医療保険など利用できるサービスが存在します。しかし、それは「ほんの一握りの人だけ」とサラさんは言います。

多くの人が医療保険などのサポートを受けられず、病気になったときに相談できる人がいない状況なのです。また企業からの出向の場合、給料や手当てなどが出ていますから、支払いに対する不安はないかもしれませんが、そうでない人に対しては費用の負担も大きくのしかかってきます。

「なんとなく調子が悪いけれど誰にも相談できないし、お金が心配だからしばらく様子を見よう」と放置してしまって、重症化してしまう可能性さえあるのです。

そう言ってサラさんはJHIに寄せられた「利用者の声」を見せてくれました。ある方は、性感染症にかかったのではないかと心配しながらも相談できる人がおらず、日本語もあまり流暢ではなかったので、困り果ててJHIに連絡をしてきたそう。そこにはこう書かれていました。

週末に連絡をしたにもかかわらず、JHIは即座に連絡をくれました。私は費用負担の問題、仕事の関係から検査にいける日が限られていたのですが、JHIはすぐに無料で性感染症の検査を受けられる医療機関とその検査日、または有料だが英語で検査が受けられる近隣の医療機関のリストを送ってくれました。

しかし、無料で検査を受けられる医療機関の検査日は、私が行くことができない日であり、また有料の検査の費用は高額だったため、どの方法で検査をするか、なかなか決められないでいました。

すると、JHIはさらに、少し遠方にはなるけれど、私が利用できる日に無料で検査を行い、しかも英語を話すスタッフのいる医療機関を見つけてくれました。さらに、土地勘のない私のために、その医療機関までの非常に詳細な地図まで作成してくれ、非常に感激しました。(利用者の声より)

こちらの声は、さらに「深刻で、他聞をはばかる内容であった私の件を、JHIは完全にプライバシーを配慮して行ってくれました」と続きます。このプライバシーについて、サラさんはこう言います。

性感染症はもちろんのこと、どんな小さなことでも、個人情報には細心の注意を払っています。不必要な個人情報は受け取りませんし、すべて自己申告の情報をもとにサービスを行っています。

個人情報の中でも身体や健康に関する情報は「ハイセンシティブ情報」といい、一番他人に知られたくない情報とされます。それをしっかりと守っていく姿勢を、データ管理の方法などからも垣間見ることができました。

困らないようにするためのエンパワーメント

サラさんは現在、病気・怪我等の「困ったときの相談」という形態だけではなく、「困らないようにするためのエンパワーメント」事業にも意欲的に取り組んでいます。

自分自身もそうだったのですが、外国人患者の多くが「相談」「支援」というサービス形態を利用するのをためらっていることがわかりました。そこで、元気なときから知識を持ってもらうことを思いついたのです。

そこでサラさんは語学力と経験を生かして、外国人コミュニティの集まりなどに積極的に出かけ、日本の医療サービスについての知識を広めるワークショップを行っているそうです。

先日は、東京の外国人妊婦のコミュニティで講演をしてきました。検診をあまりしておらず、陣痛がきたら24時間いつでも病院に駆け込めば出産できると思っている外国人の妊婦さんもいます。

日本の病院では、妊娠初期から検診に通い、分娩を早い段階から予約し、いざ陣痛が来たらまずは医療機関に連絡してから行くのが普通であると説明したら、とても驚いていましたよ。

JHIの活動を聞けば聞くほど、普通に暮らしていたら気づかない課題が社会にはまだまだあることに気付かされます。このような丁寧な活動が、日本に来た外国人に「日本っていいな」と思ってもらえるきっかけになっているんですね。

自分の身の回りにある「こうしたらいいのに」と思うことを「自分ごと」にしていくと、世の中がもっとステキになっていくのだと感じました。

あなたの周りにもし外国人の方が居たら、ぜひJHIのことを教えてみてください。きっと喜んでくれるはずです。

「JHI」(Japan Hearthcare Info)について調べてみよう。

「自分ごと」から始まったソーシャルプロジェクトが勢揃い!