『Pay It Forward』という映画をご存知ですか?ある男の子が「世界を変えたいと思ったら何をする?」という問いに対して「親切にされたら3人の人に親切をする」計画を思いつき、やがて街中に”親切の連鎖”が広まるというストーリーです。
今日紹介するのはそんな映画のようなことが、小さな町の小さなコーヒーショップで実際に起きた物語です。
舞台となったのは、アメリカ・サウスカロライナ州のブラフトンという町にあるコーヒーショップ「The Corner Perk」。地元の人たちで賑わうこのカフェに、2年前のある日、一人の女性客がやってきました。
その女性は自分のコーヒー代を支払った後、100ドル札を置いて店員にこう言いました。
このお金がなくなるまで、ここに来たお客さんの分をごちそうしたい
店員は驚きながらもその提案を受け入れ、実行することに。
驚いたのは店員さんだけではありません。後から来たお客さんたちはみな「コーヒーが無料って、どういうこと?」とびっくり。そのたびに「先ほど来たお客さんが、みなさんの分も払ってくれたんですよ」と説明したそうです。
この噂は町中に流れて12,000人以上もの人に広まり、多くの人がこれからやってくるほかのお客さまの代金として、お金を置いていったそうです。中には何も買わずに、寄付だけしに来た人もいたとか!
この映画みたいな本当の話はテレビや雑誌などからも注目を浴び、「The Corner Perk」は一躍有名になりました。こちらはオーナーが当時のことを語っている映像です。
日本でもモノや場のシェアが広まりつつありますが、嬉しい気持ちも共有できるのは素敵ですね。ひとりの見返りのない親切から、”優しさの連鎖”は生まれるのかもしれません。
ちなみに”Pay Forward”に近い意味で、日本には“恩送り”という言葉があります。誰かからいただいた恩をその人に返す”恩返し”ではなく別の人に渡すことで、「恩」が世の中でぐるぐる回ってゆくという意味です。
忙しい人でもイライラしている人でも、誰もが優しい部分を秘めています。それはきっと、状況をデザインすることで引き出すことができるはず。まずは実践ということで、グリーンズのイベントでも試せたらと編集長のYOSHさんと話をしています。ご興味をもたれたら、みなさんもぜひどうぞ!
(text:木村絵里)
[via GOOD]
スターバックスではこんな社会実験が。