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あの伝説のイベントが一冊に。書籍『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』本日発売!

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今年7月に行われたトークイベント「EARTHLING 2011-地球人大演説会」は、会場やUSTREAMでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

「EARTHLING(地球人)」をテーマに、時代のキーマンとも言える30人が繰り広げた演説は、これからの人間のあり方や可能性について、私たちにたくさんの気付きを与えてくれました。

そして本日12月22日(木)、その名演説が収められた書籍『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』(Think the Earth 編/ソル・メディア)が発売となりました。書籍版には、演説には登場しなかった方々のインタビューや特別寄稿もあわせ、計44人の「地球人」たちの声を収録。この超豪華な一冊を、どこよりも早くご紹介します。


書籍版『EARTHLING』とは?

のべ5万人が共感した知のイベントを書籍化

『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』は、主に3種類の記事で構成されています。

まず何と言っても注目すべきは、「EARTHLING 2011-地球人大演説会」の登壇者30名の演説の再録記事。茂木健一郎氏、岡田武史氏、佐藤卓氏など、様々な分野で活躍する彼らの演説が、そのままテキストとなって収められています。

USTREAM視聴者を含めて、のべ5万人もの人々が共感した「EARTHLING 2011-地球人大演説会」。イベントに参加した方も、改めて言葉をひとつひとつ読むことによって、また違った気付きを得ることができるでしょう。

2つ目は、イベントに向けて発行された『Think the Earth ペーパー特別号 EARTHLING』に掲載された7人のインタビュー記事。芹沢高志氏、山崎直子氏、河瀬直美氏など、こちらも多ジャンルから豪華な顔ぶれが登場しています。

そして3つ目は、イベントでMCを務めた7人によるコラム。谷崎テトラ氏、宮崎光弘氏、そしてgreenz.jp発行人の鈴木菜央も、書籍化にあたり寄稿しました。

以上、合計44人。これだけの顔ぶれが参加した書籍は、これまで無かったのではないでしょうか。

本の冒頭には、宇宙飛行士たちの言葉と「50年の地球人年表」も掲載されていますが、ガガーリンが人類として初めて宇宙から地球を見てから今年でちょうど50年です。その年月を感じながら、そして次の50年を思い浮かべながら、じっくりと味わってみたい一冊となっています。

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上田壮一さん、笹尾実和子さんインタビュー

イベントから約5ヶ月を経て実現した書籍化。Think the Earthの理事でプロデューサーの上田壮一さんと、広報の笹尾実和子さんにお話を伺い、この本のさらなる魅力を探ってみたいと思います。

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震災後も変わらずに届く「地球人」という普遍的なメッセージ

——まずはイベントのことを聞かせてください。震災によって一旦延期になったという経緯もあったと思いますが……。

(上田)当初は4月初旬、震災の3週間後に予定されていたんです。震災で一旦中止して、その後延期して開催するかどうかは本当に悩みました。世界はまるっきり変わってしまって、今後どうなるか全く分からないし、「EARTHLING」というテーマが本当に世の中に刺さるものになるかも分からなかったので。

ただ、7月なら震災から4ヶ月ほど経っているので、メッセージは何かしら届く時期になっているかもしれないな、と思い、開催することにしました。あとは、4月の中止を伝えた何名かの登壇者の方から、「絶対にやった方がいい」というメッセージをいただいたのも大きかったです。

テーマに関しても、震災を経て変えるべきかどうか、ギリギリまで悩みました。方針が固まったのは、5月の「WorldShift Forum 2011」に参加してからです。いろいろな人の発言を聞いていて、「敢えて掲げなくても、登壇者の言葉に震災を経て考えたことがにじみ出てくるはず」と確信し、当初のテーマのままで開催することを決めました。そこからは少し気が楽になったように思います。

——実際開催してみて、いかがでしたか?

最終的にはとてもナチュラルなイベントになったので、良かったかな、と思います。震災の経験が、ほとばしるように出てくる人は出てくるし、冷静に未来を見ている人もいる。佐藤卓さんのように震災を経たからこそ、変わらず活動を続けていくことを大切にされている方もいて、それはそれですごく力強かったし。そういうことを、いろいろな人から学びました。

登壇者にはあまり方向性を伝えずに、「50年先の人間を考える」というテーマと、「EARTHLING」というキーワードだけを与えていました。でも結局この本も、44人の人がそれぞれ違う言葉を使っていて、多彩で、多様な言葉が載っている。やっぱり震災の後だったことが、とても意味のあることなんだろうな、と思っています。

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持ち歩いてどこからでも読める、この先50年の「ガイドブック」

——そして書籍化が実現しましたね。この本の特徴を教えてください。

基本的にはイベントと、配布する予定だったペーパーの再録なのですが、イベントの順番にはなっていなくて、「Earthling × vision」「Earthling × frontier」「Earthling × communication」など、本ならではの目次立てになっているのが大きな特徴です。

もうひとつは、最初に宇宙飛行士の言葉と、資料的なものとして「50年の地球人年表」を載せました。これは、いきなり文章を読ませるのではなく、最初にパラパラめくったときに「取っておきたい」と思っていただけたらな、と考えました。

あとは、重さです。ぶ厚い本なのですが、見た目よりかなり軽くしました。最初から読んでも相当面白いと思うのですが、自分の関心を持ったテーマや人だけ読んでもいい、そんな多様性のある本なので、旅行のガイドブックのように持ち歩いてほしいと思ったんです。

——それでサブタイトルも「ガイドブック」に?

それもありますし、「これから50年をどう生きていくか」というのは、みんなが悩んでいるテーマで、その「道しるべ」となるような言葉がたくさん出てくる本だと思うので。サブタイトルは悩んだのですが、「ガイドブック」くらいの軽さがいいな、と思って決めました。


名演説から飛び出した言葉の数々

——上田さんご自身が言葉に響いた言葉や、読者の方にぜひ読んでほしいと思う言葉があれば教えてください。

まず、芹沢高志さんの寄稿はぜひ読んでほしいと思います。僕はこの原稿を読んだ時泣いちゃいましたからね。震災の前に書いていただいたんですが、「ひとつの時代が終わろうとしている」というタイトルで、予感のような言葉がたくさん出てくる。「地球人」というテーマそのものを書いてくださったすばらしい文章です。

あとは、現場で聞いていても良かったのは岡田武史さんの言葉です。「こんなにのほほんとした生活をしていたら、遺伝子にスイッチを入れるチャンスがない」とおっしゃっていますが、僕も今の日本が抱えている問題として同じことをずっと感じていました。みんな、命の力と言うか、たくましく生きている感じが全然していなくて、それに対して岡田さんは憂いているんですよね。

環境問題や社会問題においては、みんな外の問題を解決しようとしているけど、自分の内側が一番問題となっていることに気付いていない。それって結局これからの日本人の最重要テーマなのかな、と思うんです。「内側にどう火を灯すか」ということに、すごく共感しました。

その他にも、「たったひとりのためのデザイン」を語られた山中俊治さん、「字を知ることは生きること」と言っていた鎌倉幸子さん、「生き方の選択肢が多いのに、日本はそれを認識しづらい状況」とおっしゃった瀬谷ルミ子さん、「地球人としての読書」に気付くまでのプロセスを語られた内沼晋太郎さんなど、いい言葉がいっぱいだったので、挙げればきりがないです。

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書籍によって「50年後に作られた」という価値がずっと続いていく

——書籍になったことによって「EARTHLING」という世界観はどう広がっていくのでしょうか?

個人的な意見になってしまいますが、「宇宙から地球を見る」という視点が50年前に人類に訪れたということが、ものすごく大事なことだと思っていて、それから50年という年は今年しかない。

この年に「EARTHLING(地球人)」という言葉に僕らが気付いて、世に出せたことは、何か意味があるんだろうな、と。イベントは、50年目にやったことが重要で、本は、50年目に作られたということがすごく大事なんだと思います。

本に関して言えば、イベントは一過性で終わってしまって古くなっていきますが、本はそれを乗り越える、飛距離の長いメディアだと思うんです。雑誌と違って本は残るので、100年後でもどこかの図書館でこの本が読めるかもしれない。何年経っても「あのときこんなことを言っていたんだ」と振り返ることができる。

その時に作られたという価値が、たぶん10年後、20年後、30年後にもずっと続いて行くんだろうと思いますし、それが本にすることのひとつの意味なんじゃないかな、と思っています。

——ところで、「EARTHLING 2012」の予定は?

今回のイベントは想像以上に大変だったので(笑)、「EARTHLING 2012」を僕らがやるかどうかは分かりません。でも、「EARTHLING」という言葉は、誰が使ってくれてもいいですし、「EARTHLINGラジオ」をやろうとか、毎週USTREAMで誰かが演説するとか、関わった人からはいろいろなアイデアは出ているので、続くかもしれません。

希望としては、僕らより若い世代がこういうことを続けていってくれたらいいな、と思います。「EARTHLING」という名前を使わなくても、みんなそれぞれ一人ひとりの地球人として、次の、さらにその次の世代にもメッセージを伝えるということをやり始めるだろうから、その時にこれがひとつのリファレンスになればいいかな、と思います。

売上の一部は東日本大震災復興支援の「忘れない基金」に

——最後になりますが、この本の売上の一部は寄付にまわるとのことですよね。

(笹尾)はい。今回の書籍の売上の一部は「忘れない基金」として、被災地の復興支援を行う団体やプロジェクトに寄付されます。

「忘れない基金」は、今回、Think the Earth で新たに立ち上げた基金です。東日本大震災の支援金としての「Think the Earth 基金」は一旦終わりになったのですが、続けて支援していきたい、と言う気持ちで立ち上げました。「Think the Earth 基金」は、予想以上の額が集まったのですが、これからは復興への長い道のりを共に歩む気持ちをもって、丁寧に支援をしていく、という段階になると思っています。

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——上田さん、笹尾さん、ありがとうございました!

『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』は、本日から書店にも並ぶ予定とのこと。人類にとって大きな節目となるであろう2011年が間もなく終わろうとしています。ゆっくりと今年を振り返る時間に、また、年末年始の帰省や旅行のお供にも、生き方の「ガイドブック」を手にしてみてはいかがですか?

イベントのUSTREAMは、アーカイブで視聴可能!