ソーシャルメディアを採りあげているニュースサイト「Mashable」では、2007年から毎年、読者投票により、秀逸なオンラインコミュニティやオンラインサービスを「Mashable Awards」として表彰。いまや、世界的なオンラインコミュニケーションサービスとして君臨しているFacebookやツイッター、Diggなどもこのアワードの”卒業生”です。そして、2010年の「Mashable Awards」では、「最も影響力を持つソーシャルグッドのチャンピオン(Most Influential Social Good Champion)」部門が新設。以下の3種類の取り組みがリストアップされています。
1: 「フリーエンジェント」たち
Beth Kanter氏とAllison Fine氏は、著書「The Networked Nonprofit」の中で、「社会的問題に強い関心を持っている、NPO外で仕事をしている人」を「フリーエージェント(free agent)」と定義。オンラインメディアを活用し、彼ら「フリーエンジェント」がよりよい社会づくりに貢献している事例は、数多く存在します。たとえば、ホームレスの経験を持つMark Horvath氏が立ち上げたプロジェクト「WeAreVisible.com」も、そのひとつ。ホームレスや貧困層の人々に、ソーシャルメディアを通じたコミュニケーションを啓発するという取り組みで、彼らをバーチャルなオンラインネットワークに参加させることで、リアルな社会への復帰のきっかけにつなげようとしています。このほか、バングラディシュの貧困の様子をYouTubeで発信している「The Uncultured Project」のShawn Ahmed氏や、10代の同性愛者をサポートする団体「It Gets Better Project」の創設者Dan Savage氏なども、優れた「フリーエージェント」の代表といえるでしょう。
2. Change.org
社会変革に向けたアクションを促すために、ソーシャルメディアを活用する事例は増えていますが、実際、「なぜ、それが問題なのか?」をより多くの人々に理解してもらい、彼らに実際にアクションを起こさせるのは、想像以上にハードルが高いもの。「Change.org」では2006年の設立以来、この2つの命題に取り組んできました。たとえば、このウェブサイトでは、100名以上ものライターを抱え、15のテーマについて専門的な視点から定期的にレポートを発信。「今、世界では何が起きていて、どんな課題があるのか?」を、よりわかりやすく伝えることに努めています。また、数多くのNPOやコミュニティと連携し、「この課題の解決のために、自分も何かしたい!」と思った人を具体的なアクションに誘導する工夫も施されており、より多くの人々が、社会的な課題への理解を深め、アクションを起こす場となっています。
charity: water 2010 September Campaign: Clean Water for the Bayaka from charity: water on Vimeo.
2009年2月に世界一斉で開催されたツイッターのリアルイベント「Twestival」の寄付先でもあった「Charity: water」は、発展途上国での井戸の建設プロジェクトに取り組むNPO。100%寄付金のみでまかなわれているこの活動は、寄付金の使途を積極的に情報公開しているのも特徴です。過去4年間で、2000万ドル(約16.7億円)の寄付金を集めたことからも、寄付する側からの信頼の高さがうかがわれます。
「影響力がある」とか「ソーシャルグッド」の定義は、まだ確立されているわけではないので、様々な捉え方、評価の仕方があるでしょう。「Mashable」では、他の部門と同様、2010年12月14日まで、「Most Influential Social Good Champion」部門でも、読者さんからの投票を募集中です。皆さんは、どんな取り組みを「影響力のあるソーシャルグッド」として表彰したいですか?
[via Mashable]
「Mashable」の「Most Influential Social Good Champion」に投票してみよう。
「フリーエージェント」について綴られた著書「The Networked Nonprofit: Connecting with Social Media to Drive Change」(英語)を読んでみる。