上にまいりま~す!
かつて女性の憧れの職業だった「エレガ」(エレベーターガール)さんこそ、最近はほとんどお見かけしなくなってしまいましたが、エレベーターは日々、人やモノを運んでくれる有難い存在。では、この輸送空間を思いっきりアートに利用するというのはいかがでしょう?
米ニューヨークのアートギャラリー「Sperone Westwater Gallery」は、他の大都市でのビルと同様、スペースの制約が…。そこで、この設計を手がけたスイスの設計事務所「Foster + Partners」は、幅25フィート(約7.6メートル)、長さ100フィート(約30.5メートル)という限られた土地を効率的に活用するための方策として、エレベーターをギャラリーにしてしまうという斬新なアイデアを実装しました。幅12フィート(約3.7メートル)、長さ20フィート(約6.1メートル)のエレベーターは、さながら「動くギャラリー」。このエレベーター内にも絵画や彫刻を飾ることで、展示スペースの倍増に成功しました。エレベーターは、動いていることすら感じさせないほどゆっくりペースで動く仕組みなので、お客さんはこの空間で安心して作品を楽しむことができるとか。2010年9月には、新ギャラリーの第一弾イベントとして、アフガニスタンのアーティストGuillermo Kuitca氏の絵画作品54点が展示されたそうです。
ちなみに、このエレベーターの外装は、ビビッドなチェリーレッド。ガラス張りになっているビルの壁越しに「赤い箱」が上下する様子がほんのりと浮かび上がり、このビルそのものが”街のアート”になっています。
ニューヨークはもちろん、日本でも、大都市圏では、何かとスペースが限られがち…。“エレベーターは、運搬手段”という既存概念をリセットすることで新しいアートギャラリーが生まれたように、先入観や思い込みから自分を解き放してみると、それまで気づかなかったアイデアがムクムクっと湧き上がってくるかも!?
(v¥ia Inhabitat)
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