これまでgreenzでは、安価なパソコンを途上国に普及させることで教育機会を提供するOLPCを紹介してきましたが、今回紹介する「Ears To Our World」は、自家発電できるラジオを届けることで、情報へのアクセスや教育機会を提供しようという活動です。途上国において貴重な情報源であるラジオにフォーカスして問題解決を目指す点で、興味深い試みだと言えそうです。
2008年に創設された「Ears To Our World」は、カメルーンやケニア、モザンビーク、ウガンダなどにある教育施設を中心に、支援団体や現地教育機関と提携しながら、自家発電ラジオを普及させてきました。途上国の中でも特にインフラが整っていない地域において、ラジオはニュースや天気予報などの情報を得るための有効な手段です。また、既存の教材では得られない国際的なニュースに触れたり、音楽を聞くことができたりと、教育現場でも役に立つのです。
ラジオは災害時にもその力を発揮します。「Ears To Our World」では2009年、ハイチの郊外に39のラジオを配布したそうですが、2010年1月に起きたハイチ地震の際、現地では電話が使えない状況下で、教師がラジオを使って安否確認や支援物資の配給情報を集め、生徒たちに伝達したり、大きな津波が来るという噂などの真偽を確かめたりしていたとか。「Ears To Our World」が普及を進める自家発電ラジオは、電気も電池もなくして、生活や教育、非常時に必要な情報へのアクセスを可能にするのです。
もちろん将来的には、途上国においても先進国との情報格差が少なくなり、教育やビジネスのチャンスが広がるための設備が必要です。そして、現在の技術から考えると、インターネットへのアクセス環境を整えることが望ましいでしょう。とはいえ、「Ears To Our World」が良いのは、自家発電ラジオという、どこででも、誰にでも使いやすいツールを用いて、今起きている問題の解決を目指している点だと言えるのではないでしょうか。
さて、この「Ears To Our World」では、教育施設でだけでなく、多くの子どもたちがラジオを手にできるよう、ラジオキットの作成を検討しています。とはいえ、現地で作ったり、直したりすることを考えると、なかなかその条件が厳しいのだとか。(ちなみに、ラジオキットの条件はこちら。もちろん自家発電です。)アイデアがある方は「Ears To Our World」までご連絡を。
「Ears to our world」のウェブサイト