今回から記事を書くこととなった黒沢と申します。greenz.jpでは、もはや日本の一部ではイノベーションやクリエイティブという言葉が使い尽くされている中、本当の意味で世界に影響を与えるビジネスや経営について事例等を随時掲載していく予定である。
初回の投稿は、自身もマネジメントに携わっているFabLab JapanおよびFabLabについて、数回に分けて紹介を行いたい。今回はFabLabの概説から。
アメリカMIT発、モノづくりの概念を変える取り組み
一部のデザイナーの方は、ひょっとすると耳にしたことがあるかもしれない。ファブラボ (FabLab) という言葉。これらはデザインやものづくりの未来を占う上で1つ注目されているキーワードである。
ファブラボ(ふぁぶらぼ、英: Fab Lab、fabrication laboratory)は、 「ほぼあらゆるもの(”almost anything”)」をつくることを目標とした、3Dプリンタやカッティングマシンなど多様な工作機械を備えたワークショップ。世界中に存在し、市民が自由に利用できる事が特徴。「ほぼあらゆるもの」の中には、大量生産・規模の経済といった市場原理に制約され、いままでつくり出されなかったものも含まれる。
Wikipediaより
アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)からスタートしたFabLab。彼らの活動をまとめた1冊の本が大ヒットし、日本でもその名が伝わるようになる。
MIT(マサチューセッツ工科大学)教授ニール・ガーシェンフェルドがその著書「Fab: The Coming Revolution on Your Desktop-from Personal Computers to Personal Fabrication 」(日本語版:「ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け」)で実例を紹介して以来、現在までに30ヵ国以上で FabLab が立ち上がり、子供から専門家まで、DIWO(Do It With Others) の精神で連携しながら、自由にものづくりをする活動が始まっています。Fablabを愛好する人々は、Fablabber/Fablover(ファブラバー)とも呼ばれています。
FabLab Japan公式サイトより
ファブラボの特色は単なるものづくり作業スペースではないところ。その世界的なネットワークも含め、様々な分野・目的に沿って利用ができるという部分である。
開かれた施設であるFabLabの目的は、教育、社会貢献、街づくり、ビジネス、町工場の再活性化から先端研究、芸術表現までさまざまです。近年は特に、グローバルな情報共有と、ローカルな問題解決の両立が志向されており、それぞれのFabLabが国や地域の特徴を活かした、それぞれの状況にあった独自の展開を始めています。
FabLab Japan公式サイトより
Wikipediaに世界中のファボラボのリストが掲載されているが、注目すべきは欧米だけではなく、インドやアフリカ、アフガニスタンにまですでにファブラボが作られている所。新興国や途上国では、プロダクト開発におけるプロトタイプ作成の場としての可能性も秘めている。例えばインドでは同じMIT発の途上国向け適正技術デザインプロジェクトD-labとのコラボレーションも行われているよう。またボストンのスラム街にあるファブラボでは、スラム街に住む子どもが自らプロダクトを作り、それを販売して収入を得ているという話も。
ファブラボの可能性はデザインやものづくりの世界だけではないことは感じていただけただろうか。
FabLabについては、少し連載記事として紹介予定。メンバーの考えるものづくりの未来について詳しく書いてみたい。
ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け ニール・ガーシェンフェルド 糸川 洋 ソフトバンククリエイティブ 2006-02-11 by G-Tools |
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