新しい問題解決の手法として注目の取り組みが今年の6月からスタートしています。
世界、日本には、自然災害、交通事故、環境問題、食品の安全性、医療・福祉問題など、市民の「安全」と「安心」を脅かす社会的課題(ISSUE)が溢れています。そんな数多くある社会課題を、市民の創造力で解決し、安心して市民が暮らせる社会を実現することを目的とした画期的なプロジェクトです。
プロジェクト名は、『issue+design』
issue+designは、デザイン都市神戸・推進会議の主催で進められています。このデザイン都市とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の認定を受けているものです。
このプロジェクトでは、デザインの問題の本質を捉える力、社会にムーブメントを起こす力に注目しています。ただし、デザインの力に注目しながらも、プロジェクトの主役となるのはデザインの専門家ではなく、一人一人の生活者。それは社会の課題をリアルな不安として感じている生活者だからこそ、捉えられる「問題の本質」があり、提案できる「デザイン」があると考えているため。
このプロジェクトでもっとも注目しているのが、ソーシャルメディア(Twitter)を用いて、市民の声を広く募るというところ。募ったアイデアをもとにコンペやワークショップを行ってアイデアをブラッシュアップし、最後には市民、企業、行政と、いろんなセクターの人びとが協力して問題の解決に取り組むというところの2点です。
先日のグリーンズで紹介した、『世界のチェンジメーカーがコラボする!画期的な社会貢献型メディア「OpenIDEO」』のように、インターネットを使用して、広くアイデアを募り、みんなで解決策を導きだしていくという取り組みは、今後ますます注目の動きになっていくと考えています。
デザインの力を使って、市民が社会の課題を解決し、社会にムーブメントを起こす。そんなプロジェクトの具体的な動きを見ていきましょう。
issue+designの内容
このプロジェクトの仕組みは、1年間を通じて、市民の人びとが感じている社会の不安、課題の声を集め(VOICE)、課題を解決するアイデア(IDEA)を提案し、そのアイデアを実現に向けたプロジェクト化(ACTION)していくことを目指す、というもの。プロジェクトの仕組みは大きく以下の3つに分けられます。
voice
市民みんなの声から社会的課題を発見
idea
ワークショップとコンペを通じて、市民みんなでアイデアを発想し、磨きあげる
action
生まれたアイデアを市民・行政・企業、みんなで実現
それでは、それぞれの動きを詳しく見ていきましょう。
voice
市民の声から社会的課題を発見するために、Twitterが使われました。市民の方々に現在の社会に対する不安を、ハッシュタグ#iplusdをつけてtweetしてもらい、寄せられたtweetは、issue+designのWebサイト上に以下のように表示されています。
こうして集めた声を、「みんなの不安2010」というコーナーに掲載しています。人びとは今、何に対して、どんな不安を抱いているのか?神戸、大阪、京都、東京在住の生活者約1000名に対して、「あなたが家の中で、街で、社会全体で不安を感じるモノ、人、場所、シーン、問題は何でしょうか?」という自由回答形式の質問を投げかけ、そこから見えてきた市民生活の不安キーワードを100個、1位から100位まで声の多い順に紹介しています。
こうして寄せられた市民の声から、解決すべき社会的課題(ISSUE)を選び、『idea』に移ります。
idea
『voice』で寄せられた社会的課題(ISSUE)から、テーマ(コンペ課題)を決定します。今回決まったテーマは、「震災+design」「食+design」「自転車交通+design」の3つ。この3つのテーマを解決するためのアイデアを募集するコンペ、『ISSUE+DESIGN COMPETITION』がまもなく開催されます。選考基準は「どれだけ人を幸せにできるアイデアか」。このコンペの応募期間は2010年10月1日(金)〜11月30日(火)となっています。
このデザインコンペに向けて、3つのテーマのうちの1つ「自転車交通+design」を題材に、東京大学i.shool、ダイアログBar、インディ株式会社と協力して、issue+design流の「社会課題」の本質的な捉え方、解決のためのアイデア発想方法を、同じ志を持った仲間との対話を通じて、学び、実践するワークショップを開催するそうです。「ISSUE+DESIGN WORKSHOP」と題した、このワークショップは、参加者募集期間が2010年9月1日(水)~ 9月30日(木)。4回に渡って開催され、参加費は無料!ご興味ある方は申し込まれてはいかがでしょうか。
さて、『voice』で声を集め、ワークショップ、コンペを開催して『idea』を集めたら、次はいよいよ『action』です。
action
『action』はコンペで生まれたアイデアを、市民、企業、行政一体で実現するもの。プロジェクトの全体スケジュールによると、『action』の開始時期は2011年4月。来年の春に、いったいどんなアクションをしていくことになるのか、issue+designの今後に注目です!
issue+design
主催 : デザイン都市神戸・推進会議
後援 : 神戸市 / 神戸商工会議所
運営 : FELISSIMO / hakuhodo + design/ studio-L