R水素でもおなじみの燃料電池、水素と酸素を反応させてエネルギーを得るというものだが、水素を燃料として供給する場合には水素の保管方法が問題となる。また、その場で水を電気分解して再び反応させることでエネルギーを得る方法の場合、電気分解に要するエネルギー(電力)が問題になる。そこで水よりも効率よく発電できる原料として白羽の矢が立ったのはなんとおしっこ!おしっこを使えばより効率よく発電ができるというのですが…
おしっこから電気を作ることを最初に提唱したのはオハイオ大学のジェラルディン・ボット氏で、2002年から研究を開始しました。おしっこを材料とする理由はそこに含まれる尿素にあります。尿素は水よりも豊富に水素を含み、しかも分離しやすい性質を持っていることに注目し、尿素を分解して水素を取り出し、その水素を燃料とする技術を開発したのです。2009年には、水を分解するのに必要な1.23Vを大きく下回る0.37Vの電流による電気分解で水素を発生させることに成功しました。
ボット氏は「開発が進めば、200人から300人が働くオフィスで出るおしっこを材料にして、2kW程度のエネルギーを生産することが可能」だと考えているそうです。2kWは日本の一般家庭(100V交流電源)でいえば、20Aに相当します。
さらに、エジンバラのヘリオット・ワット大学のシャンウェン・タオ氏は別の角度から研究を行い、尿素を水素に分解するのではなく、尿素から直接発電することができる燃料電池を開発したと発表しました。タオ氏が開発した燃料電池は、水と酸素、そして尿素を入れると、電気が発生し、窒素、水、二酸化炭素が排出される仕組みだということです。
今のところ、電気機器を動かすほど大きな電力を生み出すには至っていないものの、タオ氏の概算によると、成人一人が1年間に出すおしっこで自動車が2700km走れるだけの電気を作り出すことができるそうです。
どちらの技術も、それほど大きなエネルギーを生み出す技術とはいえないものの、原料はなんと言っても「おしっこ」。世界中では毎日約100億リットルのおしっこが排出され、捨てられているというから、材料は文字通り無尽蔵なのです。さらに言えば、おしっこは下水に流されて、処理される際にエネルギーを消費します。その消費されるエネルギーを削減し、逆にエネルギーを生み出すことができれば、全体としては大きな効果を望めます。
もしかしたら、おしっこが再生可能エネルギーの救世主になるかもしれませんよ!
R水素について調べてみよう。