2010年1月12日に発生したハイチ大地震から7ヶ月が経過。遠く離れた日本にいると、ずいぶん前の出来事のようについ感じてしまいがちですが、現地では、震災で家を失った人、負傷した人など、多くの人々がいまだ苦難の生活を送りながら、復興に向けて動き出しています。そんなハイチの自立を、ユニークな車椅子を通じてサポートしようというプロジェクトがあります。
1979年の設立以来、発展途上国に向けて車椅子を提供してきた「Whirlwind Wheelchair International」は、ハイチ大地震で負傷し、車椅子を必要としている人々に、350台の車椅子を寄付しました。「RoughRiderモデル」と呼ばれるこの独自の車椅子は、発展途上国で利用することを前提に設計されているのが特徴で、未舗装のデコボコ道や岩・泥にも強い“マウンテン仕様”。小回りが利き、操作しやすく工夫されています。また、現地でできるだけ長く安全に使えるようにとの配慮から、カンタンに修理メンテナンスできるような仕組みになっており、今回のハイチでの寄付に際して、車椅子の修理や調整・メンテナンス方法につき、現地のスタッフにトレーニングを実施したそうです。
ハイチでは、現在も、車椅子の供給が不足気味。車輪を強引にくくりつけた椅子やスーパーマーケットの買い物カートを車椅子代わりに利用している人も少なくないそうですが、これらの“お手製車椅子”は、耐久性に乏しく、不安定で、かえって危険を伴います。「Whirlwind Wheelchair International」の車椅子は、そんな状況を改善する有効な方策のひとつ。車椅子生活を余儀なくされている人々に、安全で自由な移動手段を提供することによって、生活再建の第一歩につなげ、コミュニティや社会への復帰を促すことができるのです。
「Whirlwind Wheelchair International」では、「The Walkabout Foundation」など他の団体とも連携し、今後もハイチへの車椅子の寄贈活動を継続していく方針だとか。近々、さらに車椅子600台を寄付することも決定しています。ハイチの自律的な復興をサポートするためには、資金面での支援や大規模なインフラ整備だけでなく、ミクロな視点から、現地の人々が直面している現実や日常に目を向け、より具体的で実効性のある解決策を提供することも必要。そのためには、より多くの人々がハイチについて関心を持ち続け、「Whirlwind Wheelchair International」のような草の根レベルの活動を下支えすることが不可欠といえるでしょう。
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