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カンヌ2010受賞のソーシャル広告(10)心を溶かし、行動を促す映像の技術

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カンヌ受賞の広告、最終回となる今回は、技術面で優れた映像を評価する「フィルムクラフト」部門での受賞作からのセレクトです。

FUNERAL / MINISTRY OF COMMUNITY DEVELOPMENT, YOUTH AND SPORTS / COMMUNITY DEVELOPMENT /

まずは金賞から。シンガポールでは、若い人たちが結婚をしなかったり、離婚が増えていたりすることが問題になっていました。お葬式を舞台とする珍しいこのCMは、お互いの欠点を愛すべきものとして許しあい、異なる個性をもつ人間同士がともに暮らす結婚の素晴らしさを伝えています。

A PEACE OF MIND / DEUTSCHER TIERSCHUTZBUND / ANTI-ANIMAL TESTING APPEAL /

これは動物愛護のCMです。とらわれたサルの悲しげな瞳のなかには、人間の罪の意識や葛藤が渦巻いています。コピーはこう訴えます。「あなたの心の平和は、動物たちの心の平和とともにあります。動物実験をやめましょう。」化粧品や食品など、私たちの身の回りの商品を開発するために行われている行為を知れば、無邪気に消費することができなくなります。動物実験の事実を知って欲しい、そして、自分たちの責任を感じて欲しいというメッセージです。

BREATHE / COMMUNITIES AND LOCAL GOVERNMENT / FIRE SAFETY / RAINEY KELLY CAMPBELL ROALFE/

次は銀賞です。青い画面に、ゆらゆらとゆらめくリビング。紅茶はゆっくり風景に溶け出し、眠っている人からは空気がプカリと…。そう、そこは水中のようになっているんです。これは火災予防のCMです。住宅火災で危ないのは、呼吸器官の火傷。その苦しみは水に溺れるような苦しみだと訴えます。火が出たことに気づかずに、あっという間に呼吸器官がやられることが多いので、火災報知器を点検するように、と呼びかけます。

うっとりするような豊かな映像表現、いかがでしたか。日本のCMといえば、15秒という短い中で商品情報をタレントが伝えるようなものが中心でした。でもこれからメディアの多様化が進むと、視聴者の側から探してでも見ようと思ったり、人に伝えようとする、味わい深い表現がどんどん出てくるかも知れません。

10回にわたってお伝えしてきたカンヌ広告祭の受賞広告の紹介は、これで最終回になります。世界の事例を通して、コミュニケーションの可能性には限りがないことを感じていただけたとしたらうれしいです。それぞれの回でもボリュームが多いうえに、長くなってしまった連載記事におつきあいいただき、どうもありがとうございます。

次回からは、また単発で「面白い!」と思った社会派の広告を紹介していきます。