冷蔵庫は、現代の生活に欠かせない家電製品。食材の鮮度をキープしてくれるものや省エネタイプのものなど、いまだ日々進化しています。そして、言わずもがな、冷蔵庫を動かしているのは電力。では、電力インフラに乏しい地域では、食糧をどのように貯蔵すればよいのでしょうか?これに対するひとつの解決策がアフリカで生まれています。
電力インフラが未整備なアフリカの過疎地で穀物種子を保存するため、モザンビークのカボ・デルガードの農家Gilberto Tethereさんは、エネルギー不要の画期的な冷蔵庫「ZEFRA」を開発しました。竹や土など、地元で調達できる原料を使い、ローコストで製造できるよう工夫されています。
「ZEFRA」の構造は以下の動画のとおり非常にシンプル。竹を曲げてつくった大きな筒の周りを粘土で覆っています。また、上と横に2ヶ所の丸い穴が空いており、貯蔵したいものを上から入れ、横から取り出す仕組み。しかも、高さ1メートルほどのこの「冷蔵庫」の収納キャパはなんと250キロのたっぷりサイズです。
屋根で直射日光を避けるのみならず、高さ1メートルの専用の台に乗せられているので、涼しく湿気の少ない状態で貴重な農作物の種子を保護することができるそう。また、台には「ねずみ返し」が備えられており、ネズミもシャットアウトできます。
日本でも、縄文時代から弥生時代にかけて「高床式倉庫」が用いられていたほか、奈良時代には冬にできた天然の氷を保存するための「氷室」というものもあったとか。ヒトは古代から、自然の気候や素材の特徴を生活にうまく活用する知恵や工夫を尽くしていたんですね。もちろん「ZEFRA」もこれらと同様、電力インフラに依存することなく、現地で調達しうる資材をうまく利用して、穀物種子を効率的に保存し、地元の農業の円滑化や食糧の確保に役立てています。
暑ければエアコンで涼を取り、暗くなればスイッチひとつで電灯がつくという恵まれた環境にある私たちですが、ときには、自然環境の「声」に耳を澄まして、これと自分の生活を共存させる術(すべ)を考えてみることも大切なことかもしれません。
省エネな生活について考えてみよう。