未だ興奮が冷めないワールドカップ熱。
南アフリカから発信されるその興奮は世界中を包みこみ、日本でも歴史的なゲームに多くの国民が熱狂しました。
そして、遠く離れたハイチの地にもワールドカップの歓喜は届きました。
死者30万人、被害総額は77億5000万ドル余りとされるハイチ大地震から早いもので約半年。単一の地震災害としては最大規模とされ、その後の社会復興が未だに難航しています。スムースな社会復興ががなかなか進まない原因としては、今回の大地震は首都近郊で起こった稀な大震災で、大統領府を含む多くの政治機関が壊滅的なダメージを受け、社会基盤そのものが破壊された事にあります。また、その後の統計で、被災者の数はハイチの総合人口の約1/3にあたる300万人とされ、半年経つ今でも避難所生活での厳しい生活を強いられている人が多く残されています。
また、震災のあとでは人身売買や幼児虐待など暗いニュースが報告され、過去の情勢不安に加え、新しく生まれた複雑化する社会問題がハイチの復興を阻みます。しかし、そんな難航する復興支援活動の中にも明るいニュースはあります。アメリカの非営利団体Hands On Disaster Response(HODR)より、このような映像が届けられました。
Waka Waka through the streets of Leogane, Haiti
世界中から集まったボランティアメンバーが現地の被災者と一緒になり、ワールドカップのテーマ曲『Waka Waka』を踊り、町を練り歩くというビデオ。このプロジェクトでは、苦しい現実の中にも音楽や踊りを通して生きる喜びを忘れずにいて欲しいというボランティアの願いが込められています。砂埃の舞うその映像の中では、子供やお年寄りも踊りの輪の中へ入り、つかの間のエンターテイメントを楽しんでいるように見れます。テレビには映らない、違うワールドカップの輪がここにも広がっているのです。
壊滅的な被害を受けた大惨事の復興支援には、まずは即効性のある物理的な援助が要求されます。しかし、次の段階として、被災者の精神的安定や現地の治安安定が大変重要な要素となってきます。あまりにも悲惨な体験をし、その現実の中で生きる人の中に、何か新しい希望であったり、生きる喜び、笑いが安定した生活を送る一つの糧となって欲しいとこのプロジェクトは行われました。
ちなみに彼らが踊っている『Waka Waka』ダンスはこちら。
Shakira – WAKA WAKA : Let’s All Dance For 1GOAL
世界の人が踊る『Waka Waka』。
日本で継続的にハイチの支援をしている団体
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人間の記憶とは残念ながら、時が経つと薄れてしまいます。しかし、その現実の中で苦しむ人は未だ多く残されておりこの大惨事は決して一過性のものではありません。最近では俳優で映画監督のショーン・ペンが自ら災害支援団体J/P Haitian Relief Organizationでの活動に当たり、積極的にメディアの注目を浴びる事で、その事実の風化防止に一役かっています。
ワールドカップでは一つのゲームを通して世界が一つになりました。そのエネルギーははかり得ないもので、世界を動かすチカラを感じる事ができます。半年前に起こったこの大災害を、もう一度世界が一緒になって応援していくことが出来れば、ハイチの人たちの自立への日が近づくかもしれません。
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