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カンヌ2010受賞のソーシャル広告(3)ダイレクトに心に届く広告

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カンヌ受賞のソーシャル広告。今回は、見聞きした人にすぐに行動させる広告を評価するダイレクト部門です。

TAKE AWAY DERELICT / NEUNERHAUS /
HOMELESS FUNDRAISING

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まずは銀賞を受賞した、ホームレス支援の広告。人が多く通る場所に、たくさんの紙が貼られています。その紙はパズルのようになっていて、まるでそこに本当にホームレスの人が立ってるようなビジュアルに。紙を取ると、それがホームレスの自立を支援する団体への寄付を申し込む紙であることがわかります。「ホームレスをなくそう」というメッセージが、紙がなくなるとともに壁からホームレスの写真がなくなることでビジュアル的に伝わる広告になっています。

MY FIRST BOOK PROJECT / GLOBAL LITERACY PROJECT /
LITERACY PROJECT /

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世界には、本を手にすることができない子どもたちがたくさんいます。「MY FIRST BOOK PROJECT」は、そんな子どもたちに本を届けるプロジェクトです。企画して実行したのは、世界にネットワークを持つ広告代理店、JWTのケープタウン支部。広告代理店には、ストックフォトなどのダイレクトメールがたくさん送られてきます。JWTのスタッフは、それを使って、子どもたちが楽しく勉強できるようなオリジナルの本をつくりました。そして、その本をつかって子どもたちに本を読み、勉強する楽しみを伝えました。この活動をおさめたムービーは世界中のJWTのオフィスに送られ、たくさんの手づくりの本はもちろん、いらなくなった本や、子どもたちに必要な本が届けられたそうです。

LIVE RESCUE / COASTGUARD NZ /
SEARCH & RESCUE SERVICES /

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ニュージーランドの海岸線はとても広く、ボート遊びは人気のレジャーとなっています。でも、酔っ払いながらボートを運転する人などがいて、事故もたくさん起こっています。ところが、海の事故から人を救う団体は、資金不足に困っていました。持っている船は75隻ほど。その状態で、海で行方不明になった人を探すのは、至難の業です。そこで援助を獲得するため、PR作戦に出ました。海難救助の様子を実際に見せるイベントを実施したのです。その様子を、テレビとラジオの生コマーシャルで放送。インターネットではGPSをつかってリアルに状況がわかるようにしました。このイベントの結果、海で人を助けるという作業がいかに大変なことが多くの人に伝わり、たくさんの援助を得ることができるようになったそうです。

INVASION / IHDI ESTAÇÃO BEM-ESTAR /
CHARITY LODGE FOR THE HOMELESS /

invasion

次からは銅賞です。ホームレスの問題に取り組む団体はいろいろあるのですが、この団体のアクションはユニークです。ホームレス自立支援のための援助金を、ショッピング施設から集めようとしたんですね。そのために彼らがやったのは、ひとつひとつのお店に写真を配ったんです。その写真というのは、お店の前にホームレスがいる様子を合成した写真。私たちの活動がなかったら、あなたの店はこんなふうになるんですよ、というシミュレーションですね。慈善のためにお金を出し渋るお店の人も、これなら出さずにいられませんね。ただ善意に訴えるのではなく、商売をしている人の心理を突いたうまい広告だと思います。

GET A NEW PERSPECTIVE ON HISTORY / DITSONG: MUSEUM OF MILITARY HISTORY /
WORLD WAR ONE EXHIBIT /

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南アフリカの戦争博物館のアクションです。この博物館は、第一次世界大戦での惨禍を学ぶ施設なのですが、来場者の落ち込みに悩んでいました。昔はこんなひどいことがあってねぇ、というだけでは、若い人たちは来ようと思わないんですね。そこでこの博物館では、あるメジャーをつくりました。それは、戦争の被害をあらわす数字が書き込まれたメジャーです。リアリティを感じられなくなりつつある、昔の戦争の犠牲を可視化するためのツールですね。これを、歴史を教える先生に配ったところ、過去の戦争がいかに愚かなことだったのかに子どもたちが気づくきっかけになり、博物館の入場者はなんと前の年と比べて80%増えたそうです。

ARV PLECTRUMS / ROCK4AIDS /
AIDS AWARENESS NGO /

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これまた南アフリカの広告です。若者の間で広がるエイズは、この国でも大きな問題になっています。若者に対しては、説教臭い啓蒙は通用しません。そこで、若者たちが夢中になる音楽の力でエイズ予防の啓蒙をすることになりました。そこで必要なのは、スポンサーとライブの出演者。彼らに支援をお願いするのですが、ただお願いするだけでは話すら聞いてもらえません。そこでエイズ予防を啓蒙する団体は、変わったダイレクトメールをつくることにしました。それは、大きなエイズワクチンの箱を模した特別な箱。その中に入っているのは、薬のブリスターに封入された、カラフルなギターピック。そして、団体のリーフレット。そこには、こんなコピーが書かれていました。「治療ではなく、元を絶つことが必要なんです。」このダイレクトメールに応えたのは、U2、コールドプレイ、キラーズ、レディオヘッドという4組のミュージシャン。この試みは、「ROCK 4 AIDS」というライブイベントとして実を結びました。

CHOOSE A DIFFERENT ENDING / THE METROPOLITAN POLICE /
ANTI-KNIFE CRIME CAMPAIGN /

choosedifferent

最後はイギリスの首都警察のクールなキャンペーンです。イギリスの若者たちの間で、ナイフをめぐるトラブルが深刻になっていました。若者たちは、ナイフを危険なものというよりも、むしろ危険から身を守ってくれるものだと思っていたのです。そこで、警察は、ナイフを持っていたことで巻き込まれるトラブルと、持っていなかったことで起きるハッピーな状況がシミュレーションできるインタラクティブなYOUTUBEムービーをつくりました。これが結構ハラハラさせられるムービーで、かなりの抑止効果があったとのことです。

ここまでかなり濃い内容でしたが、次はアウトドア広告の部門をご紹介します。一発勝負のアイデアがいろいろ出てくると思いますので、お楽しみに。