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カンヌ2010受賞のソーシャル広告(1)思わずいいことしたくなる広告!

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今年も、世界最大の広告祭「カンヌ国際広告祭」が開かれました。たくさんの受賞作のなかから、ソーシャル系のものをいつくかピックアップしてご紹介します。ちなみに私は去年に引き続き、英語の勉強を怠ったため、背景がわかれば面白い広告をスルーしていたり、解釈が間違っていたりします(汗)。もっと詳しく知りたい、という方は、カンヌの公式ページでチェックしてください。広告祭が終わってしばらくすると受賞作が見られなくなるのでお早めに。それではさっそく、世界で認められたソーシャル広告をご紹介することにしましょう。まずは、プロモーション部門から(PROMO & ACTIVATION)。

WHERE WILLN 100,000 CONDOMS END UP /
THE STOCKHOLM COUNTY AIDS PREVENTION PROGRAMME /SAFE-SEX AWARENESS /

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スウェーデンのセーフ・セックス啓蒙キャンペーンが金賞を受賞。スウェーデンの人たちは、コンドームをつけることが大切だということは知っているのですが、行為を中断してゴムをハメることが恥ずかしかったり、カッコ悪いと思っているそうです。そこでエイズ防止プログラムとして、番号がついたコンドームを10万個配布しました。そしてキャンペーン用のブログ形式のホームページを作成し、コンドームをもらった人は自分の番号で「コンドームがあってよかったこと」を投稿できるようにしました。この結果、なんと数百のコンドームにまつわるストーリが集まり、話題になったそうです。みんなその手の話は好きですからね(笑)。このキャンペーンで、コンドームについて話をすることが普通のことになって、コンドームに対する抵抗が少なくなったそうです。

MELTDOWN / AICMED /
ENVIRONMENTAL PRESERVATION /

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次からは銅賞です。インドで、子どもに温暖化のことを伝え、アクションを起こしてもらうことを目的とした広告です。環境NGOが、アイスの会社と協力して、オリジナルのアイスキャンデーをつくりました。そのアイス、棒のところに元気がない動物の絵が描いてあるんですね。そして、こんなコピーも書かれています。

北極の氷が溶けると、彼らは死にます。温暖化を止めてください。

この取組みで、多くの子どもたちが温暖化問題に感情移入し、ボランティアに参加する子どもが増えたそうです。

AFAL CONTIGO/ ALZHEIMER AWARENESS

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アルツハイマー啓発広告です。街を歩いている人に、突然声を掛けられます。「あら偶然ね、お久しぶり!」知らない人にです。「あなた誰、知らないわ」と言うと、「じゃあ、これあげる」と、一枚の紙を渡されます。そこにはこんなコピーが書かれています。

アルツハイマーになると、こんな風に感じます。この病気に打ち克つために支援してください。

そこにURLが書かれているHPにアクセスすると、1GBのUSBメモリーが買えます。その利益はアルツハイマーの人を支える事業に寄付されるそうです。USBメモリーという記憶媒体を売ることで、記憶が失われる病気であるということも伝えているんですね。

FOREST FIRES / WWF

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山火事が問題になっているコロンビア。山火事の原因の95%は、人間の活動によるものだそうです。燃えやすい山では、タバコや火の始末に注意しよう。そんなメッセージを届けるために、ショッキングなアクションが実施されました。

火事はすぐに起こります

と書かれた封筒から紙を取り出すやいなや、その紙が燃えるのです。おっかないですねぇ。火って怖いなぁ、と思わせることで、山に入る人に注意を促すという広告アクションです。こんなのホントにやったのかな。

AMBULANCE/BOAT/HELICOPTER /
MEXICAN RED CROSS / ANNUAL FUNDRAISING DRIVE /

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ショッキングな広告に続いて、次はほっとするものをご紹介。メキシコの赤十字は、金融危機以降、寄付が減っていることに悩まされていました。そこで、パブリックな空間に、救急車やヘリなど、人命救助に使われる乗り物の遊具を設置。子どもたちは乗りたがりますよね。その乗り物には、こんなコピーが書かれています。

あなたの援助があれば、私たちは人助けを続けることができます。

そこで寄付を集めるんですね。子どもたちの笑顔を見れば、親御さんも喜んでお金を出すでしょう。この取組みはメディアでも広く取り上げられ、たくさんの寄付を集めることに成功したそうです。

MESSAGE IN A BOTTLE /
FUNDACION ALTIUS / CHILDREN’S CHARITY /

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次は、メッセージを広く届けるために、大量生産の商品を使って、流通チェーンで展開したキャンペーンです。アルミボトルに、途上国で教育を受けることができた子どもたちの手書きのメッセージカードがついています。勉強ができる喜びや、将来の夢がかわいい文字で書かれているんですね。ボトルは、遠く離れた人を助けるシンボル。そのボトルを買って、WEBにアクセスすると、自分が買ったボトルについていたカードにメッセージを書いた子どもの映像が見られるようになっています。このボトルの収益は寄付金になるのですが、流通をうまく使ったハッピーな取組みですね。

LOVE CAKE PROJECT /
WORLD VISION JAPAN / CHILDREN’S CHARITY /

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次は日本で実施された「ラブ・ケーキ・プロジェクト」です。これはグリーンズでも紹介されましたね。1人分のピースが欠けたホールケーキを販売。1ピース分の金額が、途上国の食糧支援プログラムに使われるという取組みです。社会的な問題を視覚的に伝え、そしてケーキを買うという楽しい行為でもって、社会貢献のハードルを低くする。これは世界から貧困の問題がなくなるまで、クリスマスの定番として続けて欲しいですね。

$73.000 BAR TAB /
BAR AURORA/BOTECO FERRAZ / BAR CHAIN /

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最後にご紹介する広告にもハッとさせられますよ。バーでいい感じに酔っ払って会計をすると、膨大な金額がプリントされた請求書が。え!と思って良く見ると、請求項目に「救急車」「集中治療室」「レントゲン」「手足の切断」「車イス」といった、交通事故を起こしたあとに支払わなければならない代償の数々が…。そして、ダメ押しのコピー

飲酒運転は高くつきます。飲んだら運転しないでください。

これは酔いが覚めますよね。この広告で、帰りにタクシーを使う人が増えたそうです。

…次回は、PRライオンの受賞作をご紹介します。PRを読み解くにはかなりの英語力がいると思うのですが、できる限りのことをお伝えします…