欧州委員会(European Commission)では、欧州連合(European Union)加盟27カ国とその候補国および欧州経済地域(EEA)加盟国のうち人口20万人以上の都市を対象に、「European Green Capital Award2012/2013」を募集している。これは欧州で環境に優しい都市づくりを積極的に実践している都市を表彰する賞で、スウェーデン首都ストックホルム(Stockholm)が初代“欧州グリーン都市”の座に輝いたことでも知られている。さて、これに続く都市はいったいどこに?
「European Green Capital Award」は、気候変動対策・廃棄物マネジメント・生物多様性の推進・大気や水質の汚染対策を含む11の項目を基準に、「環境保護や持続可能な都市づくりに向けて、継続的かつ積極的に取り組んでいるか?」などの観点で評価し、最も優れた都市を表彰するという制度だ。これにより、環境に優しい都市の実現への意欲を高めるとともに、優良事例を共有することで環境対策における欧州全体の”底上げ”を狙っている。
ストックホルムは、2009年に初めて開催された「European Green Capital Award2010/2011」で見事「European Green Capital Award2010」を受賞した。全体の10%が水で囲まれる自然豊かなこの都市は、2050年までに化石燃料を撤廃するという高い目標を掲げ、環境負荷の低い都市づくりに取り組んでいる。以下の動画でも紹介されているとおり、公共交通機関の整備や自転車用レーンの設置などにより自動車の交通量を20%カットし、温暖化ガス排出量を1990年比25%削減。また、2006年に独自の水質基準を設定するなど、水質保全にも注力している。
「European Green Capital Award2010/2011」では、ストックホルムのほか、「European Green Capital Award2011」を受賞した独ハンブルグ、蘭アムステルダム、デンマークのコペンハーゲン、ノルウェーのオスロなど計8都市がファイナリストとして名を連ねた。いずれの都市も、再生可能エネルギーの活用や公共交通機関の拡充などインフラの整備のみならず、住民の環境意識の醸成や環境負荷の低いライフスタイルへの転換も進んでおり、この”ハード”と”ソフト”の両輪をうまくかみ合わせることで、真に持続可能で環境に優しい都市づくりを実現している点が共通に見受けられる。
環境先進国といわれる欧州で「European Green Capital Award」のような表彰制度が盛り上がり、各都市が切磋琢磨して、環境に優しい都市づくりや持続可能な街づくりに取り組むことは非常に意義深い。彼らの取り組みは、欧州のみでの共有されるノウハウにとどまらず、世界全体が真摯に学び、活用していくべき叡智といえるだろう。ちなみに「European Green Capital Award2012/2013」の募集は2010年2月に締め切られ、2010年10月に受賞都市が発表される見込み。今度はどの都市がどのような取り組みをひっさげて登場するだろう?今後も引き続き、要チェックだ。
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