東京駅前にそびえ立つ新丸の内ビルディング(新丸ビル、写真参照)で、再生可能エネルギー利用の新たな試みが始まった。その名も「生グリーン電力」!
新丸ビルではすべての電力をこの「生グリーン電力」に切り替えることにより、ビルのCO2排出量がこれまでの約1/3に削減されるという。ビルの「グリーン電力」利用は、しばしばニュースになるが、この「生グリーン電力」はただの「グリーン電力」とはちょっと違うもののようだ。その違いを見てみよう。
まず、グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマス(生物資源)などの再生可能エネルギーにより発電された電力のこと。このグリーン電力は、電気そのものの価値に加え、「環境付加価値」を持っていると考えられる。
これまでのグリーン電力利用は、その「環境付加価値」を取引のできる証書の形に置きかえた「グリーン電力証書」を購入することで、グリーン電力を使用しているとみなされるというもの。つまり、グリーン電力そのものを利用しているわけではないんですね。
これに対して「生グリーン電力」は、グリーン電力「そのもの」を、発電所から需用者に直接送るというもの。需用者はグリーン電力を「みなし」ではなく、自身が使用する電気として、直接使用するのだ!
しかし、実際に自前で電線を引いてくることはできない。そこで、電力網をもっている電力会社の電力線を借りて電気を送っている。これを、託して送る=託送というのだとか。これは画期的!!
さて、もう少し細かく見ていこう。 2009年12月9日に発表されたプレスリリースより、主要部分を引用した。
三菱地所株式会社と出光興産株式会社は、出光が供給する「生グリーン電力」を三菱地所所有の「新丸の内ビルディング」において受電することを本日合意しましたのでお知らせします。
これまで、グリーン電力証書システムの事例はありますが、再生可能エネルギー100%の「生グリーン電力」を直接需要地が受電する取り組みは日本で初めてとなります。 出光は、二又風力開発株式会社(所在地:青森県上北郡六ヶ所村)などによって発電した生グリーン電力を2010年4月から託送により、直接新丸ビルに供給します。三菱地所は、新丸ビルで使用する電力すべてを「生グリーン電力」で賄い、これにより、新丸ビルのCO2排出量が年間約2万t削減されることとなります。
新丸ビルを所有する三菱地所と、電力を供給する出光興産は、今後、東京都・千代田区・青森県が進める「再生可能エネルギー地域間連携」に参加することも検討しているそう。
東京の中心から世界に向けて発信されたこのニュース、コペンハーゲンで国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開催されている今、マスメディア、ソーシャルメディアでもなかなかの注目を集めたようだ。
このようにグリーンな電気を発電し、実際に電力網で送るという「生グリーン電力」利用が始まったことは、日本がスマートグリッド社会へのリアルな第一歩を踏み出した、ということなのかもしれない。新丸ビルに続く「生グリーン電力」利用ビルが現れるか? 今後に期待したい。
(記事提供:丸の内地球環境新聞)