コンビニ業界5位のミニストップが、FSC(※1)認証を受けた木造店舗の展開を始める。第一号店は、12月中旬オープン予定の越谷レイクタウン東店(埼玉県越谷市)。今後は、年間出店数の1割強にあたる20店舗を、FSC認証木造店舗として出店する予定だという。
ミニストップ越谷レイクタウン東店。建設現場の模様。
使用する木材は全て国産のFSC認証材。特徴的なのは、木材だけでなく施工プロセスまでFSC認証を受けている点だ。FSC認証材を一部に使った例はあるものの、施工プロセスまで含めて、建物全体がFSC認証を受けるのは、国内の商業施設では初めてだ。鉄骨を使った従来の工法と比べて、33%の二酸化炭素(CO2)排出削減が可能だ。FSC認証のマイ箸販売、蛍光灯と比べて消費電力量の少ないLED照明の導入、カーシェアリングサービスの開始など、環境対策に積極的なミニストップが、また新たな一歩を踏み出した。
※1 FSCは、Forest Stewardship Council(森林管理協議会)の略。「環境保全の点から見て適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を推進する」国際機関のこと。FSCは、適切な管理がなされている森林、そこから産出された木材、木工製品を認証し、ロゴマークを付与している。
森林・林業学習館より引用。参照する統計年度の違いにより、本文とは数値が若干異なる。
日本の国土面積は3779万ha、森林面積は2510万ha。国土の約3分の2を森林が占めている(林野庁調べ)。国連食料農業機関(FAO)の発表によれば、森林率(※2)のランキングで日本は世界229カ国の中で第18位、先進国に限ればフィンランドに次ぐ第2位を誇る。世界でも有数の森林資源大国だ。
※2 森林率:国土面積に占める森林面積の割合。FAOと日本の林野庁では計算の仕方が異なるため、数値に差がある。
にもかかわらず、国産材の需要は低迷している。価格の安い輸入材に押され、日本の木材自給率は24%にとどまっている(林野庁調べ)。結果、日本の林業は衰退し、林業の舞台となる人工林の多くが、管理の手が行き届かずに荒廃しているという。
水を作る。土砂の流出を防ぐ。二酸化炭素(CO2)を吸収し、酸素を作る。景観を保つ。森林は、人間の社会生活を成り立たせる上で極めて重要な機能を数多く果たしている。荒れた森林では、これらの機能を果たすことは難しい。
一方で世界に目を向けると、各地で広大な面積の森林が失われている。その原因の一つに、東南アジやロシア、アフリカ諸国、アマゾン川流域で頻発する違法伐採があると言われている。日本への主要な木材輸出国であるインドネシアやロシアでは、違法伐採の割合が、それぞれ50%と20%を超えるという報告もある(環境省パンフレットのP3,4)。他人事の問題ではなく、知らない間に違法伐採された木材を使ってしまっているかもしれない現状だ。
国内の森林荒廃と海外の違法伐採。日本の森で育った木を使うことで、この2つの問題を同時に解決する可能性がある。日本の人工林の多くは、戦後に植えられ30年から50年が経過し、利用に適した木々が増えている。木を伐り、生活の中に取り入れていくことが求められている。もちろん、伐った後には新しい木を植える。
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国産材の需要が高まれば、日本の林業は活性化する。そうすれば、間伐や枝打ちなど、森の手入れも行き届くようになる。木はさらに育ち、森はその働きを取り戻す。林業が活性化すれば、国産材の価格競争力の高まりが期待できる。日本の木材輸入が減れば、世界全体での違法伐採も少しは減るだろう。
木材利用の方法はさまざまあれど、代表格はやはり木材建築だ。現代のライフスタイルの象徴ともいえるコンビニが、木を使い、現代人が森や木を感じる舞台となるのであれば、それも一興ではなかろうか。駅前や繁華街など、防災上の理由から木造店舗が認められない地域もあるが、店舗展開する際の最初の選択肢が国産木造店舗になれば、日本の森も、世界の森も、少しは豊かになるに違いない。
業界他社さん、他業態の小売店さん、環境対策の一環として、御社でも国産木造店舗のご採用いかがでしょうか?