今最も勢いのある社会的企業家が大集合!ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリングレポート(1日目)

中央:ソーシャル・イノベーション・ジャパン代表理事 日野公三氏

中央:ソーシャル・イノベーション・ジャパン代表理事 日野公三氏

9月4日から5日にかけて、特定非営利活動法人ソーシャル・イノベーション・ジャパンが主催する「第5回ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング“社会に変革と感動を!~ソーシャルビジネスが拓く可能性~”」が、六本木ヒルズで開催された。

ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリングとは、社会的課題・ニーズにビジネスを持って取り組む社会的企業家が集う、日本初の催しだ。今年はマイクロファイナンシングオンラインシステムの先駆者「KIVA」代表Matt Flannery氏が来日講演するなど豪華なメンバーが揃った。大盛況に終わったこの一大イベントの様子をレポート。

<トークセッション>

● テーマ
「社会に変革と感動を!~日本のソーシャル・アントレプレナーが、“社会のニーズに応えていく”ソーシャルビジネスの可能性について語る!」

日本で先駆的に活躍する社会的企業家達が、彼らの歩んできた道のりとともに今社会が求めているビジネスのあり方を語る場となった。

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一番左奧から谷本寛治氏(SIJ特別顧問、一橋大学大学院 商学研究科 教授)、矢崎和彦氏(フェリシモ代表取締役社長)、中田智洋氏(ギアリンクス代表取締役)、橋田佳音利氏(Frajputerie代表取締役)

パネリストは、
・矢崎和彦氏(株式会社フェリシモ代表取締役社長)
・中田智洋氏(株式会社ギアリンクス代表取締役)
・橘田佳音利氏(株式会社Frajputerie代表取締役)

ファシリテーターには、ソーシャル・イノベーション・ジャパン特別顧問、一橋大学大学院商学研究科 教授の谷本寛治氏が参加。社会的企業家と言っても、この言葉が日本で注目されるようになったのはつい最近のこと。彼らに対し、事業に対する社会の反応がどのように変化してきたかという話が交わされた。

雇用というフィールドで活躍する橘田氏は、「昔に比べ、年齢や性別にとらわれない考え方が広まってきているのを肌で感じている。働き方も生き方も多様化した」と語った。

一方、「事業で利益を出して、その利益で社会貢献をするという時代は終わった。今、社会は事業そのものが社会貢献になる企業を求めているのではないか」と矢崎氏。さらに「社会的企業家の活動はある意味大きな社会現象にもなってきているが、この流れを一時の流行りごとにはしたくない。これからも取り組みを持続的に続けていくことが重要」と続けた。

そして、食糧確保と南米移民日本人農家支援を行う中田氏は「社会が意義深いものを評価する時代が来た」と断言。「人々の興味はますます社会的なものに移ってきている。社会的要素は、利益と同様に企業の発展に不可欠な要素となっていくだろう」と、熱く語る姿が印象的だった。

企業の成長のため、企業は社会の多様なニーズに答えながら変化し成長し続けてきた。そして現在、そのニーズの一つに「社会的要素」が加わったと言えるだろう。往来型の企業形態から、新しい「企業の在り方」が改めて問い直されている。

<分科会>

トークセッション後は、ソーシャルビジネスやソーシャル・マーケティングなどについての分科会が行われた。

greenz.jpが参加したのは分科会1。
● テーマ
「社会が求めるビジネスの在り方 ~企業の社会性はどう評価されるか~」

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左から濱口敏行氏(ヒゲタ醤油株式会社代表取締役社長)、原丈人氏(デフタ・パートナーズグループ会長)、山岸徳人氏(富国生命投資顧問株式会社株式運用部・株式運用グループSRI担当)

パネリストは
・濱口敏行氏(ヒゲタ醤油株式会社代表取締役社長)
原丈人氏(デフタ・パートナーズグループ会長)
・山岸徳人氏(富国生命投資顧問株式会社株式運用部・株式運用グループSRI担当)

コーディネーターはSIJアドバイザーでありサンケァフューエルス株式会社取締役の、岩坂健志氏だ。

この分科会の中で、経済同友会に所属する濱口氏は社会変革について「今日の社会は「経済性」に限らず多用な価値尺度で企業を評価するようになってきている。進化した市場は、多様な価値製造の集積として企業価値を決定するようになる」と分析した。また、世界から注目されるベンチャーキャピタリストの原氏は、スタンフォード大学経営学大学院での経験などから、アメリカ型のCSRを批判し欧米延長主義に警鐘を鳴らす。彼はこれからの資本主義のあり方に、株主価値の向上を目的とするのではなく、事業を通じ公益に貢献する公益資本主義を挙げた。

それに関連して企業のCSRについて尋ねられると、パネリストらは口を揃えて「CSRの根本的な概念は、そもそも日本の文化の中に存在した」と述べる。20世紀をリードしてきた米国の市場原理主義思想に踊らされることなく、今こそ日本的思考の可能性について見つめ直していく必要がある、というのだ。社会が求めるビジネス像の手がかりは、意外にも私たち日本人の身近なところにあるのかもしれない。

最後になったが、山岸氏が参加者に贈った言葉があるので紹介したい。
スウェーデンの中学教科書『あなた自身の社会』より。

・私たちは自分が思っているより能力がある
・期待が人を動かす
・社会は自分たちの手で変革できる
・やってみる事が大事だ

スウェーデンではこんなすごいことを中学生に教えているのか!と驚いたが、希望溢れる力強い言葉達と、志の高い社会的企業家達に刺激をたっぷりもらった分科会だった。

その他の分科会はこちら

●分科会2 

「ソーシャル・マーケティングの可能性~ソーシャル・ビジネスが消費者とコミュニティを繋ぐ!」

先進的な事例を通して、コーズ・マーケティングやソーシャル・プロダクトがどのように新しい社会的価値を生み出してきたかについて議論された。

パネリスト:
・竹田義信氏(アサヒビール株式会社理事・社会環境推進部長)
・杉浦克典氏(アサヒビール株式会社ビール戦略部・チーフプロデューサー)
・中島好美氏(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.個人事業部門マーケティング担当 副社長)
・プリュン・エフテル氏(世界の医療団日本(メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)事務局長)
・吉沢 直大氏(ダノンウォーターズオブジャパン株式会社「 1L for 10L」プログラムプロジェクトリーダー)
・浦上 綾子氏(財団法人日本ユニセフ協会広報室)
コーディネーター:土肥将敦氏(SIJシニアフェロー/高崎経済大学地域政策学部准教授)
サブコーディネーター:中野里美氏(SIJフェロー/株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ シニアコンサルタント)

●分科会3 

「企業が育てる、子どもたちの“ソーシャル・アントレプレナーシップ”~企業の「新しい教育CSR」の可能性を探る~」

次世代を担う子どもたちのために企業は何ができるのか、大人は何をすべきなのかを、参加者と議論された。

パネリスト:
・横須賀剛順氏(野村ホールディングス株式会社コーポレートシティズンシップ推進室)
・萩原美穂氏(ソフトバンク株式会社総務部CSRマネージャー)
・横尾敏史氏(NPO法人鳳雛塾 事務局長 / 佐賀銀行人事企画部 副調査役)
・後藤宗明氏(NPO法人rolemodel.jp(申請中))
コーディネーター:松倉由紀氏(株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ ラーニング・デザイン・ユニット プログラム・オフィサー)

●分科会4

「技術革新とソーシャルビジネス」

「環境への負荷を軽減するエネルギー」の開発技術者を招き、開発秘話や熱い想いを語った。

パネリスト:
・赤澤輝行氏(株式会社eスター代表取締役社長)
・穴水孝氏(東京ガス株式会社 総合企画部エネルギー・技術企画グループマネージャー)
・速水浩平氏(株式会社音力発電 代表取締役)
コーディネーター:大室悦賀氏(SIJ常務理事/京都産業大学経営学部准教授)

●経済産業省SB分科会

「ソーシャルビジネス~新たな地域力と共鳴のしくみ~」

地域の中間支援組織やソーシャルビジネス事業者による事例から、地域をどのように活性化していくか考えながら進められた。

パネリスト:
・勝田亮氏(弁護士/NPO法人ロージーベル副理事長・NPO法人ワンファミリー仙台理事/NPO法人ほっぷの森理事・NPO法人ふうどばんく東北AGAIN副理事長)
・坂本竜児氏(NPO法人中部リサイクル運動市民の会 eco-T(エコット)担当)
・野田耕一氏(経済産業省地域経済産業グループ立地環境整備課長)
・渡辺一馬氏(株式会社デュナミス代表取締役/NPO法人ハーベスト常務理事)
コーディネーター:関戸美恵子氏(NPO法人起業支援ネット理事/東海・北陸コミュニティビジネス推進協議会代表世話人)

刻々と変化する社会の中で、今人々から求められているものは何か。「これからの企業のあり方」だけでなく、「これからの働き方」についても改めて考えさせられた1日だった。

次回は、「KIVA」代表Matt Flannery氏が来日講演の様子をレポートしていく。お楽しみに!