タンザニア南部の高地に広がる荒廃林地。そこではもう10年間以上、森林再生事業が続けられている。社会事業?いえいえ、れっきとした営利事業です!
この事業を運営するのは、Green Resourcesというノルウェイの民間企業。約3,000人の従業員を抱え、モザンビーク、スーダン、タンザニア、そしてウガンダで事業を展開している。会社を支えているのは、同社が所有する14,000ヘクタールを超す広大な森林。そこで木々を育てることで、排出権や再生エネルギー、木材などの「商品」を生んでいる。社名のとおり、グリーンな資源の活用で経営が成り立っているのだ。
2008年には、1年間でなんと4,200ヘクタールの土地を森林に変えてしまったというGreen Resources。でも、植林事業や環境保全事業はまだまだ続く。同社には、あと20万ヘクタール以上もの広大な所有地がある。
Green Resourcesは、事業戦略に『持続可能な発展』を組み込んでいる。植林事業に力を入れるのは、それが農村部で生活する人々の社会的・経済的状況の改善をはかるための最も効率的な手段の1つだと考えているから。もちろん、その事業はFSC基準に沿って管理され、地元コミュニティの人々によって運営されている。
今年7月、Green Resourcesがタンザニアで実施している森林再生事業の一つ、Uchindile-Mapanda森林プロジェクトが、VCS(Voluntary Carbon Standard)という排出権認証を取得した。VCS認証を取得した森林事業は、なんと世界初!
クリーン開発メカニズム(CDM)認証という排出権認証があるが、VCS認証は、その手順や基準を簡略化したもの。既存の排出権取引制度に基づく仕組みであっても、事務局に認定されれば、認証取得できる。つまり、比較的に、排出権認証を取得しやすい制度といえる。
VCS認証によって、Green Resourcesは99年間にわたって合計CO2排出量350万トン分の排出権を取得できる見込みだ。年内に、2002年から2008年にかけての活動に対する排出権(CO2排出量611,418トン分の見込み)の発行手続きをする予定。
Green Resourcesでは、植林事業で取得した排出権から得る収入は、カーボンオフセット事業や地域発展活動に投資される。ということで、今回のVCS認証取得で、Green Resourcesのサステナブルな事業活動は、ますます拡大していくだろう。
森林保護を、あえて非営利活動ではなく、ビジネスとして進めているからこそ、Green Resourcesは持続可能な社会づくりに貢献できている。低炭素社会における新しいビジネスモデルを、ここに見つけたような気がする。