地球温暖化に歯止めをかけるために何はなくとも重要なCO2の削減、中でも自動車から排出されるCO2は日本国内の排出量の約15%を占める重要なファクターであり、また私たちが直接的に削減に努めることができる数少ない分野でもある。そんな自動車のCO2排出量に関する統計が国立環境研究所から発表された。市町村ごとに排出量が色分けされ、“見える化”が謀られていることが特徴だ。これによると日本はどう見えるのか?ちょっと見てみよう。
サイトにいくとまず見えるのは、日本全体を一人当たりの年間排出量で色分けした図だ。水色から緑、黄色、オレンジとなるにつれ排出量が多くなっている。これを見ると北海道が圧倒的に赤い。北海道の拡大図を見てもほとんどの市町村が黄色からオレンジの色に塗られている。
国立環境研究所 環境GIS「自動車CO2排出量マップ」より転載
自動車の交通量が多いであろう首都圏に眼を移すと、都内はほとんど白か水色に塗られている。これに対してオレンジが分布するのは千葉、茨城、栃木、郡馬、山梨などの都心から遠い地域である。全国的に見ても一人当たりの年間排出量が多いのは大都市から離れた地域に多く、いわゆる“車社会”がCO2の排出量を増加させていると推測できる。
国立環境研究所 環境GIS「自動車CO2排出量マップ」より転載
そんな東京の中で注目したいのが武蔵野市、一人当たりの排出量が0.16tと全国平均の全国平均の10分の1であるのみならず、総排出量でも周辺地域の中で唯一水色(3万t未満)である。武蔵野市はコミュニティバスの導入や自転車利用の推進を積極的に進め、環境都市を宣言している。そんな自治体の取り組みがマップにも現れる形になった。
国立環境研究所 環境GIS「自動車CO2排出量マップ」より転載
またこのマップでは乗用車と貨物車それぞれの排出量も見ることができる。全国的な傾向を見て見ると、乗用車の排出量のほうがやや多く、2005年のCO2排出量は1999年から乗用車は5.8%減、貨物車は4.3%の増となっている。だが、このマップについての説明が書かれたページには、2007年の状況が追記されており、それによると2007年の数値では貨物からの排出量は基準年(1999年)比6.7%減少、自家用乗用車からの排出量は基準年比41.6%増と大幅に増加しているという。
さらに高速道路の週末1000円均一などの最近の状況を考えると、自家用自動車からの排出量はますます増加していることが懸念される。自分の住んでいる町やよく車で通る場所がオレンジ色に塗られていたら、車との付き合い方を考えるべきかもしれない。
そして、この地図を見る限り、今の日本に必要なのは人もモノも移動が車頼みの社会を抜け出すことだ。これまでにとられた政策やこれからやるといわれている政策はどうもその方向性とは逆行するものばかり。そんな政策にはノーを突きつけてこの地図を水色とグリーンで染めてやろうじゃないか!
まずは自動車CO2排出量をチェック!