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世界が広がる!グリーン&クールな雑誌 5誌をピックアップ

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by pacomexico

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雑誌の楽しみは、自分の知らなかった世界と気軽に出会えることだと思う。未知の世界を知ることで、元気のないときは新しい活力になるし、調子に乗っているときは謙虚な気持ちを取り戻せたりする。雑誌は、日常のバランスメーターみたいなものかもしれない。

今回、greenz.jpがオススメする5つのグリーン&クールな雑誌も、あなたの感覚の地平を広げてくれるはず。

NATIONAL GIOGRAPHIC

greenz/グリーンズ

創刊:1888年
発行:月刊
理念:”To increase and diffuse geographic knowledge while promoting the conservation of the world’s cultural, historical, and natural resources.”(地理学の知識を向上し、広め、世界の文化的、歴史的、自然史的資源の保護をすすめる)

おそらく、世界で最も知られた自然系マガジンと言えるかもしれない。ナショナルジオグラフィックは、科学者や冒険家など33名の有識者によって「地理学の知識を向上し、広め、世界の文化的、歴史的、自然史的資源の保護をすすめる(私訳)」ために、1888年に設立されたナショナルジオグラフィック協会が同年に創刊した雑誌だ。去年、創刊120周年をむかえたことになる。日本語版は、世界ではじめての外国版として1995年から発行されている。現在は20カ国近い国で翻訳され、世界で900万部以上販売されているという。(参考:wikipedia

ナショナルジオグラフィックは、数々の歴史的なプロジェクト(北極探検、マチュピチュの発見、オラウータンの研究、ユダの福音書の復元と翻訳、等)を支援してきており、歴史もスケールも、他の追随を許さない。

はじめてこの雑誌を手にとった者は皆、その写真の素晴らしさに目を奪われる。どうやって撮ったのか想像できないアングルからとらえた野生動物の写真。地球上にこんな風景が存在するのかと感動を呼び起こさずにはいられない写真。ひとつひとつの写真が雄弁に物語る。もちろん、執筆陣も優秀だ。

New Consumer

greenz/グリーンズ newconsumer

創刊:2002年
発行:年12回発行(英国、ヨーロッパ中心)
理念:”Think Differently, Live for the Future”(違う視点から考え、未来のために生きよう)

理念は、「違う視点から考え、未来のために生きよう(私訳)」。はじめは、フェアー・トレードを後押しするのが目的だったそうだ。現在では、食品からスクーターまで、サステナブルでクールな賢い買い物の指南役となっている。この雑誌を創刊したのは、ホームレス・ワールドカップビッグイシューのスコットランド版をはじめたことでも有名な社会企業家のメル・ヤング(彼のインタビューはこちら:新聞ポッドキャスト)。なんとNew Consumerは、フリーペーパーだ。おそらく広告収入などで成り立たせているのだろう。こういう雑誌をしっかりビジネスとしてまわしているのは、さすが社会起業家。

Green Building magazine

greenz/グリーンズ greenbuilding

創刊:1989年(かつては、Building for a Future magazineという名称だった)
発行:季刊(年4回)

グリーンビルディングとは、環境に優しいエコ住宅づくりのこと。イギリスで行われているエコ住宅についての記事で構成される雑誌だ。この雑誌のミソは、敷地選びから建て方、生活の仕方まで、ほとんどの記事が、関わった本人によって書かれているところだ。2009年夏号では、パッシブハウス(無暖房住宅)についての国際会議のレポートや住宅を建てるときに敷地内に住む動植物をどうケアしていくかについて議論している。
パッシブハウス(無暖房住宅)とは?(日本パッシブハウスセンターのホームページより)

MOTHER JONES

greenz/グリーンズ mother-jones

創刊:1976年
発行:月2回(購読者数:23万人)
理念:”Smart, Fearless Journalism”(賢く、恐れないジャーナリズム)

政治的なネタが多い、非営利型メディア。理念は、「賢く、恐れないジャーナリズム(Smart, Fearless Journalism)」。まさに、民主主義の礎となる「知らされる」権利を守るメディアだ。23万人を超える購読者を持ち、調査報道で広く知られている。すべての記事がオンラインで読めるのにもかかわらず、これだけの数の購読者がいるのはなぜか。それは、非営利でかつ本物のジャーナリズムを貫いているMother Jonesを読者が支えているという意識を持っているからだと思う。これこそがジャーナリズムなのだなと思わせる雑誌だ。

COLORS

greenz/グリーンズ colors

創刊:1991年
発行:年4回発行(4言語40カ国で販売)
理念:”a magazine about the rest of the world”(他の世界についての雑誌)

COLORSは、1982年から2000年までベネトンのアートディレクターであったオリビエロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)とアメリカ人グラフィックデザイナーのティボー・カルマン(Tibor Kalman)の二人によって1991年に創刊された。「他の世界についての雑誌(私訳)」を標榜し、少数派の意見や、商業雑誌では注目されないテーマを取り上げるのが特徴である雑誌だ。過去には、水、地球、アマゾンといったテーマでの特集もしている。

トスカーニが作るベネトンのキャンペーンとも思想的にはつながっているし、ベネトンからの出資もされているそうだが、編集権は独立している。それぞれの号のテーマ選択に主張があって、写真、グラフィック、ライティング、どれをとってもエッジが効いている。トスカーニの存在をベネトンの広告キャンペーンで知ったひとは多いと思うけれど(兵士の血糊がついた衣服の写真を使った広告キャンペーンは衝撃的だった)、このCOLORSにも彼の思想がよく現れている。

最近のCOLORSは、COLORSLABとして、オープンソース的な雑誌を作るグローバルなアイデアの実験室となっている。つまり、地球上の誰でもが、書いたものや、写真、詩、グラフィック、音楽など、なんでも投稿できる雑誌なのだ。多様性を追求するCOLORSらしい試みだ。もちろん、皆さんも、投稿することができる。

今回紹介した5つの雑誌は、冒険を支援するもの、非営利でなりたっているもの、ウェブサイトが充実しているもの、オープンソースにしようとしているものなど、雑誌という枠組みだけには収まりきらない魅力をもっている。それぞれが、独自の手法と切り口を持っている。良い雑誌は、魅力的な人格を持っている。たまには、あのひとに会っていろいろ話したいな、という感情がわきおこってくるような雑誌は、いつまでも読み続けたい雑誌だ。今回、紹介した雑誌のうちのひとつでも、みなさんの友人になっていただけたらうれしい。