「Every drop is green」(水の一粒、一粒が、グリーンです)
これは、greenz記事「緑の洗剤? いえいえ、グリーンウォッシュとは、こういう意味です。」で紹介したフィジーのミネラルウォーターメーカー「Fiji Water」の看板広告だ。一見、環境に優しいイメージを与えるのだが、よくよく考えてみると、”水がグリーン”ってどういう意味だろう?
このように、「エコ」や「グリーン」をキャッチフレーズにしつつ、その内容が曖昧もしくは紛らわしい広告「グリーンウォッシュ」が増えている。
グリーンウォッシュ(greenwash)とは、「green(環境に配慮した)」と「whitewash(ごまかし)」でできた造語。うわべだけの環境イメージを語ったり、紛らわしい表現で消費者を誤解させるおそれのある広告宣伝や企業活動のことを意味する。特に近年、消費者の環境意識の高まりに伴って、企業も「グリーン」を過剰に強調した広告マーケティング活動を行うケースが増えてきた。このようなグリーンウォッシュは消費判断を誤らせるおそれがあるため、消費者に随時情報提供されることが不可欠である。各国の広告審査機構では定期的な情報公開が行われているが、消費者間での情報共有も徐々に進められている。
「Greenwashing Index」は、グリーンウォッシュと疑われる広告をユーザ間で投稿しあう情報共有サイト。ユーザがグリーンウォッシュと考える広告の画像や動画を自由に投稿し、「1~5」(1=グリーンウォッシュ度低: 5=グリーンウォッシュ度高)で互いに評価しあう仕組みだ。このサイトでグリーンウォッシュ度が高い広告リストに挙げられているのが「Malaysian Palm Oil Council(MPOC)」の以下の動画広告である。さわやかな癒し音楽と地球に優しい雰囲気の映像が流れるのだが、英広告審査機構「Advertising Standards Authority」からも「マレーシアのパームツリー農場は原生熱帯雨林の破壊につながっており環境に良いとはいえないにもかかわらず、この広告は、この農場が生物多様性や持続可能性があるかのように消費者に誤解を与える」と警告されている。
グリーンウォッシュへの対策として、規制やルールは整備されつつある。例えば、米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)では「Green Guides」を作成し、グリーンマーケティングに対する指針を明らかにしている。また、企業が「Energy Star」や「USDA」、「Green seal」などの第三者認証機関を積極的に活用し、認証済であることをラベル表示するなどして、広告の正当性を客観的に示すようにもなってきた。
では、消費者はどうあるべきだろう?安易に広告を鵜呑みにするのではなく、ラベル表示や製品情報などをきちんと読みこみ、自身で判断する賢さを身につけることがグリーンウォッシュへの強力な手段だ。消費者が賢明さを身につけることで、グリーンウォッシュも徐々に淘汰され、正当な広告表示に基づく健全な企業競争にもつながり、真に環境に配慮された商品がより消費されることで、環境負荷の軽減にもつながるであろう。