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ヨーロッパの中心で核廃絶を約束したオバマ大統領が教えてくれる平和な社会を築くためのカギとは?

Creative Commons, Some Rights Reserved, Photo by Periódico La Democracia

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ビロード革命から20年目を迎えるチェコ共和国。4月5日、その首都プラハで、米国オバマ大統領が国際平和を呼びかけた。

ビロード革命とは、1989年に旧チェコスロバキアで起きた民主化革命。自由を求める市民が団結して共産党の一党独裁に終止符を打ち、民主化を実現した。血を流すことなく平和的に進行した革命だったことから、「ビロード」革命と名付けられた。

武力に訴えることなく自由を獲得した歴史を持つチェコで、オバマ大統領は何を提言したのか。その内容をご紹介しよう。

約30分間の演説で、オバマ大統領が明確にしたこと。それは、米国の核兵器廃絶へのコミットメントだ。

20世紀に人権や自由を求める市民運動を繰り広げたプラハ市民を前にして、21世紀は世界中の人々を戦争やテロなどの恐怖から解放し自由にすることが大切だと、オバマ大統領は訴えた。

核兵器を使用した唯一の国として、アメリカには行動する責任がある。自分たちだけで努力しても成功しない。でも、先頭に立ち、先導することはできる。
そこで今日、私は核兵器のない世界における平和と安全保障を追求するという米国のコミットメントを、信念とともに明言する。すぐに達成できると思うほどナイーブな私ではない。おそらく自分にはそれを眼にすることはできないだろう。それは、忍耐と粘り強さを必要とすることだろう。
それでも私たちは今、「世界は変わらない」という声に耳を貸してはいけない
私たちは、「Yes, we can」と言い続けなければいけない。

自国の歴史に対する重い責任や使命に言及しながらも、自国だけでは何も達成できないことを認め、他国に協力を求める。素直で誠実な姿勢が伝わってくる言葉だと思う。

では、オバマ大統領は具体的に、今後どのような対策を進めていくのだろう?演説の内容を見ていこう。

オバマ大統領が述べた核兵器廃絶の対策には、3本の柱がある。「核の軍縮」、「核不拡散体制の強化」、そして「核テロの防止」だ。

核の軍縮
①国家戦略における核兵器の役割の減少(具体的には、今年12月に失効するロシアとの第1次戦略兵器削減条約【START1:Strategic Arms Reduction Treaty】の後継条約を今年中に締結)
核実験全面禁止条約(CTBT)の批准
③核兵器の原料となる兵器級核物質の生産を停止するカットオフ条約の交渉推進

核不拡散体制の強化(Strengthening of the Nuclear Non-Proliferation Treaty)
①どの国も安全な原子力を保持できるように核燃料供給を肩代わりする国際的枠組みの提案
②国際的な核査察体制およびルール違反の国への罰則の強化

核テロの防止
①世界中の核物質防護体制の確立(4年以内)
拡散安全保障イニシアティブ(PSI)核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GI)の組織化
③核安全保障に関するグローバルサミットの主催(1年以内)

どの柱の基礎にも、ロシアをはじめとする他国との協調がある。

すべての課題において、私たちは互いの言葉に耳を傾け、努力しあわなければいけない。相違点ではなく共通点に焦点を当てなければいけない。そして私たちをつなぎとめる共有の価値を再確認しなければいけない。それが私たちに課された仕事だ。それこそが私がヨーロッパにきて就きたかった仕事だ。

つい先日、反米の社会主義路線を進めてきたベネズエラのチャベス大統領がオバマ大統領に向かって「あなたの友人になりたい」と語りかけた、というニュースを読んだ。キューバのラウル・カストロ国家評議会議長も、オバマ大統領には好意的な態度を見せているようだ。

もちろん、オバマ大統領の就任によって、これらの国とアメリカの関係がすぐに改善するとは限らない。オバマ大統領自らが述べたように、それには時間を要する。でも、相手を理解しよう相手との共通点を見つけて協力できる分野を探そう、というオバマ大統領の姿勢が、国と国とが協調するために必要となる信頼関係づくりを前進させているのは確かだと思う。

可能性を信じて、希望を見出して行動する人々の輪を広げることが、平和への近道。オバマ大統領は、そう信じているのかもしれない。そういう姿勢を、核の保有や国連脱退に言及する日本の政治家にも、ぜひ見習ってほしい。

心に響く言葉がいっぱいのオバマ大統領の演説全文(原文)を読む