日本では、太陽光パネル、省エネ家電、エコカーなど、環境に優しい「エコ商品」が世の中の注目を集めるようになって久しい。一方、一時は環境対策に消極的といわれたアメリカでも、大都市圏を中心に、省エネを意識したインフラの整備が活発になってきた。
「U.S. Environmental Protection Agency(アメリカ環境保護庁・EPA)」によると、2008年にエネルギースター(Energy Star)を取得した省エネ建物は全米で3300箇所。うち建物件数が多い都市トップ3は、カリフォルニア州ロサンゼルス、同州サンフランシスコ、テキサス州ヒューストンだっだ。
エネルギースターとは、EPAが推進する省電力化プログラムである。この基準を満たした建物の消費エネルギーは通常よりも35%少なく、温室効果ガス排出量も35%削減されるいう。以下の動画で紹介されているPoet社の工場プラントを含め、これまでにエネルギースターを取得した省エネビルは全6692箇所。省エネルギー効果は、年間自動車200万台分の温室効果ガス排出量の削減に相当する。
なかでも、カリフォルニア州は、全米で最も省エネ建物が多い。
この背景として、この地が長年慢性的なエネルギー不足に悩まされてきたことがあげられる。特に2000年~2001年に発生した「カリフォルニア電力危機」では、停電の頻発により州民の日常生活に影響を与え、州の財政を逼迫させた。この経験から、官民ともに、省エネルギーへの意識がより高まったのだ。また、アーノルド・シュワルツネッガー州知事が進める「グリーン政策(Green California!)」が、この流れを後押ししている。知事はカリフォルニアを「緑の州(green state)」と銘打ち、州立大学に大規模な太陽光パネルを設置するなど、エネルギー効率の向上やグリーンビルディングの建築を積極的に推進している。
日本でも、コクヨ株式会社の「エコライブオフィス品川」、代替可能エネルギーの導入に積極的に取り組む「中部国際空港(セントレア)」、太陽光発電を取り入れている「兵庫県本庁舎」など、省エネ建物は、官民双方で、徐々に広がっている。
これまでの日本での取り組みは個々の動きにとどまっていた感も否めないが、さらに省エネ建物の建設を推進するため、様々な事例から共通のノウハウやポイントを抽出し、「日本版エネルギースター」として体系化・集約化してはどうだろう。これまでの貴重な経験を今後に活かし、省エネ建物の基準やプログラムを明示することは、日本が「緑の州」ならぬ「緑の国」に向かう第一歩になるはずだ。
エネルギースター認定の省エネ家電を調べる!
カリフォルニア州立大学California State University)での大規模な太陽光パネルが設置された様子を動画で観る!
中部国際空港「セントレア」のグリーンレポートを読む!
ゴールデンウイークは「なんでもアリフォルニア」なカリフォルニアを旅する!