晴れた日に遠くに見える山並みや、夜中にふと顔を上げたときに見える星空、たまに海に行ったときに見渡す水平線、そのような自然の風景を見ると地球という星に生きているんだということを実感する。でも、毎日の生活に追われてしまうとそんな“地球意識”は失われ、つまらない日常に辟易してしまいはしないだろうか?そんな日常の中で地球を感じさせてくれるそんなデザインを追及するデザインオフィスがある。
リビングワールドは西村佳哲さんと西村たりほさんが2002年に設立したデザインオフィス。世界を感じる道具「センスウェア」をテーマにさまざまなオリジナル作品を作り出している。そのひとつが神戸空港や越谷のショッピングモール“レイクタウン”に設置されているアースクロック。
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macの方はこちらから動画を見ることができます。
http://www.kairport.co.jp/earthclock/data/earthclock.mov
動画を見てもらえればわかるように夜と昼に分けられた地球が回転し、主要都市の時間が表示される。時差という概念は頭でわかってはいるが、このように映像で見せられると地球は丸くてつながっているということがよくわかるし、単に「ニューヨークは午前6時」などと言われるよりも各都市の時刻が感覚的にわかる。10月には新たにオープンする東京都稲城市の文化センターiプラザにも小型版が設置される予定だという。
リビングワールドはここ数年、時間に関する作品を多く生み出している。その中でも私が秀逸だと感じたのは「関係性が育まれる時間」と題された砂のない砂時計である。
物理的な時間というのは私たちの生活や感覚とは無関係に同じ速度で進んでいく。そして時計というモノを手にした私たちはこの時間によってさまざまなことを計り始める。しかし実際には時間などでは計れないもののほうが世の中には多い。この作品があげる“関係性”もその一つだ。人間と人間の関係はもちろんのこと、人間と動物、人間とモノの関係は一度始まってしまえば永遠に続く。その関係は時間によって変化するし時間に左右されることもあるが、時間が関係性を計る物差しには本来なりえないはずだ。
この「関係性が育まれる時間」と題された“時計”は空の砂時計に「関係性」という名前をつけることで私たちにそんなことを意識させる。この時計を手にした時に自然とわきあがるそんな思いに耳を傾ける時間は、自分自身を含めたあらゆるものとの関係性を考え直す貴重な時間になるのではないだろうか。
本を読んで時間についてもう少し考えてみる『時間について―アインシュタインが残した謎とパラドックス』
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