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アメリカに続き、各国が推進を表明。持続可能な景気対策『グリーン・ニューディール』ってそもそも何?

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by MrClean1982

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持続可能性という言葉が聞かれるようになって、もう10年以上たつ。でも、経済発展と環境対策は、依然として相反するものとして考えられることが多かった。それが最近になって、やっと変わってきた。

その変化を反映するのが、グリーン・ニューディール政策1月20日、第44代アメリカ合衆国大統領に就任したバラク・オバマ氏がグリーン・ニューディール政策の推進を表明したのをきっかけに、今年に入ってから、韓国首相と米国次期大統領(当時)が、ほとんど間をおかずに実施への意思表示をした。日本でも、環境省が3月末に方針を発表する予定だ。

グリーン・ニューディール政策とは、一言でいうと、環境問題の解決を導く技術や活動への投資による景気対策。最初に唱えたのは、英国の環境団体関係者やメディア関係者、緑の党メンバーから成るThe Green New Deal Group。同グループは昨年7月に、金融ひっ迫、エネルギー問題、食料不足問題などの問題を総合的に持続可能に解決するための手段として、このアイデアを英国政府に提出した。提出された政策案は、再生エネルギーや環境保護活動への大規模な投資による雇用の創出や低資本のグリーン経済への移行の必要性を強調するものだった。

導入を決めた3つの国は、それぞれどんな内容を盛り込んでいくのだろうか?これまで発表された内容を、一覧表にまとめてみた。

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(クリックすると一覧表が表示されます。)

表にまとめてみると、韓国の対策がとても具体的であることに気づく。それもそのはず、韓国は昨年8月の時点で、大統領じきじき、「低炭素・グリーン成長」を今後60年間のビジョンとして掲げていたのだから。

韓国の李明博大統領は、日本植民地支配からの解放63周年、そして建国60周年を迎えた昨年8月15日に行ったスピーチで、こんな発言をした。

Green growth refers to sustainable growth which helps reduce greenhouse gas emission and environmental pollution. It is also a new national development paradigm that creates new growth engines and jobs with green technology and clean energy.
(グリーン成長は、GHG排出量の削減と環境汚染の抑制を促すことであると同時に、グリーン技術とクリーン技術で新しい成長力と雇用を生み出すための新国家開発パラダイムだ。)

グリーン技術の開発と、それを促す投資は、747公約(7%経済成長、国民所得4万ドル、7大国入り)の早期達成につながるというのが、同大統領の考えだ。

韓国版グリーン・ニューディールからは、「国家戦略」としての意気込みを感じる。ただ、一つ気になるのは、どちらかというと大規模な公共事業への投資が目立つこと。例えば、2012年までに投資される約3.5兆円の約3分の1が4大河川周辺施設の整備に投入される。2月末に策定が予定されている第2段階推進案には、クリーン技術の発展や持続可能なライフルスタイルの定着につながるようなR&Dや教育へのコミットメントが示されていることを期待したい。

米国は、1月8日にオバマ次期大統領(当時)がグリーン・ニューディール政策の早急な実施を約束した。いまのところ、投資額と数値目標は発表しているものの、具体的な内容は未発表。でも、大統領選向けに「New Energy for America」というエネルギー政策を発表していたオバマ大統領がリーダーシップをとっているので、つい期待してしまう。

「New Energy for America」に含まれていた内容のうち、ぜひそのままグリーン・ニューディール政策に組み込んでほしいと思うものがある。それは、元軍人を対象にクリーンエネルギー分野で働けるだけの教育を実施するという雇用対策の一つ

そして、日本版グリーン・ニューディールはどうなっているかというと、まだ詳細が発表されていないので、あまりコメントできない。ただ、現段階で発表されている内容を見ると、省エネ家電や電気自動車や太陽光発電や風力発電といった、既存の環境ビジネスや技術への投資に限られているように思えてしまう。たとえば、食料自給率の向上、長距離通勤・運送を抑制するための都市構造の改善、持続可能な漁業・林業の推進など、日本特有の持続可能性に関する問題を解決するための革新的な対策が必要だと思う。ただ、環境省が日本版グリーンニューディールのアイディアを募集しているので、国民の投稿によって日本のグリーンニューディール政策の指針がより大きなものに変わる可能性も十分にあり得る。

昨年10月、UNEPは世界的に著名な経済学者とともに「グリーン経済イニシアティブ」をつうじて、各国に対してクリーン技術や再生可能エネルギーや自然生態系回復への投資によるグリーンな経済発展への移行を支援する活動を開始した。

国際社会からのプレッシャーや、導入への意思表示をした3国からの刺激をうけて、自然環境からの搾取による経済発展から、自然環境への投資による経済発展への方向転換が、世界規模で展開していくことを期待したい。