アフリカを中心とする最貧国には1日1ドル以下で暮らす人々が数多くいる。その人たちが貧困から抜け出すために必要なのはなんと言っても情報と教育だ。その情報の共有と、教育の中でも最も重要な読み書きの習得を実現できるツールが5ドルという価格で供給されようとしている。
非営利団体“Literacy Bridge”が普及を目指すこのツール“Talking Book”はiPodのようなデジタルオーディオ・デバイスで、これを手に入れた人々は近くのKIOSKでコンテンツをポッドキャストにより入手できる。ただしコンテンツは音楽ではなく、その地域の人々が必要としている情報をその地域の人々が使う言葉で録音したもの。人々はそれを入手し、聞いて必要な情報を手に入れることができるのだ。
“Literacy Bridge”のサイトより
また、このデバイスは単に録音、再生をするだけでなく、再生速度を変えることができたり、音声によるハイパーリンク(再生中にボタンを操作するとそのとき再生されていた言葉の意味が説明される)という機能を利用できたりする。さらには、コンテンツの文字情報もファイルとして提供されるので、それをプリントアウトして、音を聞きながら読めば、文字を読む訓練にもなるのである。
さらには、ラジオにFM伝送することで外部スピーカーから再生することもでき、家族や少人数の集まりでも情報の共有と学習が可能になっている。動力は基本的には電池だが、充電池の利用も可能で、さらにソーラーパネルを利用した充電も利用できるようになっている。環境のサステナビリティに配慮するとともに、電力網の届いていない地域でも利用できるというメリットもあるわけだ。
国連は2003年から2012年までを「国連識字の10年」と定めている。このデバイスが普及すれば最貧国の識字率が上昇することは間違いない。現段階ではガーナで100台のプロトタイプを導入してのパイロットテストを準備中だ。ただし、その100台の生産のために1万ドルの寄付が必要で、 “Literacy Bridge”のサイトで現在そのための寄付を募っている。2008年9月24日現在で28台分の寄付が集まった。あなたもぜひこの運動に参加して、世界を貧困から救う仲間になって欲しい。