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砂漠の祭典「バーニングマン」(2)

ネバダ砂漠での祭典「バーニングマン」レポート!
No Spectator(傍観者になるな)のスローガンの下、3万人を越える参加者は自由で自分勝手で自己満足を追求したサウンドキャンプ、アートキャンプを作りまくり、巨大な町が形成される。これこそがバーニングマンの醍醐味であり、このイベントを十把一絡げに理解しがたい、カオスなものにしているポイントなのだ。僕らは今年も無事に、このカオスな世界に足を踏み入れることができた。バーニングマン連載レポート、第二弾!!
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ピラミッドレイク

ピラミッドレイクからさらに数時間。僕らは会場であるブラックロックデザートにほど近い、エンパイアという街に着いた。街に一軒だけあるお店、エンパイアストアも今日ばかりは24時間営業のようで、深夜にも関わらず賑わっていた。人口わずか500人のこの地域へバーニングマン時期には3万人以上が訪れるのだ。今開けなくていつ開ける!屋台の出店もいくつか来ていて、バーニングマン景気に沸いていた。

エンパイアの隣町、ガーラックは僕が初めて訪れた1998年にはモーテルがあるだけだった。それが今ではガソリンスタンド、コインランドリー、光ファイバーの敷設されたバーニングマンのオフィスが作られ、街の風景はウェブカメラで毎日放送されるようになった。

アスファルトまでキレイに舗装し直されているのを見て「これもバーニングマン効果かもね!」と、笑いながら車を走らせた。

以前、ヒッチハイク旅の最中にアメリカ人の家でテレビを見ながらこんな会話をしたことがある。

「こいつ誰だか知ってるかい?」「いやー、知らないなー。誰?」「ネバダの州知事。彼がバーニングマンに協力的だから、ブラックロックで毎年行えてるんだよ」「へー!」

周辺地域とのイザコザを起こさず、ブラックロックデザートの自然環境を守るため、運営側はとにかく気をつかっている。ゴミのポイ捨てはもちろん、地面で直接たき火をしないこと、穴を掘ったりしないこと、立ちション・野グソは厳禁なこと、生活排水もきっちり処理することなど、すべてにおいて高レベルでの要求を参加者に課している。

日本人のプリミティブな感覚として、「立ちションは肥料になる」というものがあるが、実際はそうではない(刺激が強すぎる)。バーニングマンでは、近くにトイレがない場合はペットボトル等に入れて後から捨てるようにと呼びかけている。さらには、的を絞った排尿が困難な女性のために「PEE FUNNEL」という、じょうごのような股間アタッチメントを配布している団体もいる。

今年、「ブラックロックレモネード」という名前のレモネード・バーがあったのだが、そこの裏手でオッチャンが勢いよくペットボトルに放尿しているのを目にしてしまった。ひょっとしてあれがブラックロックレモネードに・・・なってないことを願うばかりである。

生活排水については砂漠という気候を利用して処理している。まず、黒いビニールシート(ゴミ袋等でも代用可)を地面に固定し、排水がこぼれ出ないように少しくぼみをつけておく。そこへ、料理をした後の水や歯磨き後のうがい水などを貯めるようにして、灼熱の太陽光線で蒸発させてしまうのだ。

こういった環境への配慮を参加者全員が高い意識を持って行っているからこそ、バーニングマンは20年も続けることができているのだろう。

僕らはエンパイアストアで最後の買い物をして、ついにブラックロックデザートへ到着した。

普段なら真っ暗なハズの砂漠に延々と車のテールランプが続いている。そして、遠くにぼんやりと明かりが見える。その明かり一つ一つが、バーニングマンの参加者たちのキャンプサイトの明かりだ。そしてその中にひときわ高く、青色に光っているものがあった。遠目に見ながら僕らは歓喜の声を上げた。間違いない。あれが、今年のバーニングマンだ!!

1986年にベイカービーチに作られた木像はバーニングマンと名付けられ、イベントの名前になるのと同時にシンボルタワーとなった。今や自由の女神をしのぐ大きさとなり、夜になると体に取り付けられたネオン管が光り始め、暗い夜道でいい目印になってくれる。

エントランスでは夜の寒さにも負けず、スタッフが熱い歓迎をしてくれた。そう、バーニングマンのエントランスの歓迎はとにかく熱い。鐘を叩いたり尻を叩いたりビッグ・ハグをしたり、走り回ったり寝転がったり、とにかく大騒ぎでこの地へ帰ってきたことを祝福しあうのだ。

粉っぽい地面に足を付け、あっという間に砂埃で真っ白になる体を笑いながら、頭の上では完璧すぎる星空が、星座を描くには多すぎる数で輝いていた。今年もバーニングマンが始まった!!!!

僕らはゆっくりと車を走らせ、自分たちのキャンプ場所を探して回った。会場内はあらかじめ予約されているエリアを除き、キャンプサイト内であればどこでどれだけキャンプを行っても問題ない。そして僕らは会場の中心地に近い、165のEagerという番地の場所へキャンプを張ることに決めた。

今年はバーニングマンとGoogle Earthチームの共同プロジェクトがあり、イベント期間中の様子がGoogle Mapに追加されている。この写真を見れば、バーニングマンの規模の大きさ、無数にあるキャンプのすごさを感じ取れるハズだ。

Google Map -Black Rock City 2006へ-

夜は更けるほどに寒さを増していくが、今夜は朝まで騒ぐことにしよう。朝日が昇れば一気に灼熱の世界へと突入するので、熱射病に気をつけて死なないようにして眠らないと!

(つづく)

次回こそはブラックロックシティでの刺激に満ちた暮らしについてお届けします。

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4nd,5th=マガリ http://www.magarisugi.net

第1回目はこちら →「砂漠の祭典 バーニングマン(1)」