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京都の伝統野菜を守る老舗の主

「かね松老舗」上田耕司さんの仕事
毎回、世界の色んな場所から、いろいろなエコを推進している人をご紹介するのがこの「突撃! 世界のgreenz」。今回は、原点に立ち返って、日本・京都で、「京野菜」存続のために尽力されている、上田さんにインタビューしてきました!

京都の台所として知られる「錦市場」の青果店「かね松老舗」のご主人、上田耕司さん。この店、ただの八百屋さんだと思ってはいけません! 創業明治15年、京都でもっとも古い松茸屋さんとして京都府から知事老舗賞を受けているのです。今は、松茸ばかりでなく、タケノコなどをはじめ、京都ならではの地野菜である「京野菜」を扱う店として知られています。

最近、注目を集めてちょっとブランド化しつつある「京野菜」。とくに野菜に詳しい人でなくても「万願寺とうがらし」「聖護院かぶら」などの名前をいちどは聞いたことがあるでしょう。これらの野菜は野菜の名前の前に産地名がつくのが特徴のひとつ。

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上田耕司さん

そして、本来はその名のとおり、その土地でつくられたものこそがホンモノなのです! たとえば「九条ねぎ」。九条といえばJR京都駅のちょっと南。上田さんによれば「新幹線から注意して見たら、今でもねぎ畑がポツポツありますよ」とのこと。本当に「九条」で作られているんですね。

伝説のきゅうり!
掘りたてのタケノコ

しかし、残念ながらなかにはその名前の土地ではもう穫れなくなってしまっているものもあるとか。そこで、伝統ある京野菜を守るため、上田さんは在来種の野菜からの自家採種などを支援しています。自家採種というのは、その土地で育った掛け合わせや品種改良などをしていない植物を、実をつけるまで育てて種を採ること。この種を撒けば、また確実に純粋なその植物が芽吹くというわけ。

万願寺とうがらし
ずらっと並んだ野菜の名前

このような活動を続けて守ってきた京野菜は、もちろん店頭に誇らしげに並んでいます。地のものですから、もちろん旬の時期にしか収穫できません。スーパーの野菜売り場などは一年じゅう同じ顔ぶれ。季節感が感じられなくなっている今「季節はずれのものは買えない」というのも大きな価値かもしれませんね。

伝統という言葉からは、工業や芸術、いろいろな分野が想像できますが、野菜にもれっきとした「伝統」があるんですね。京都の食文化の奥深さを垣間見たひとときでした。

ライタープロフィール
長晃枝(ちょうあきえ) 日本、東京在住
フリーランスライター
フリーライター業のほか、呉服屋の嫁、二女のハハ、とはくべき草鞋ばかりはたくさんあるが、むかでじゃないので足は太くて短いのが2本だけ。「食」をメインテーマに雑誌、Webなどに執筆。2006年4月より「NHKラジオハングル講座」のテキストに韓国の歳時記とお茶&お菓子についてのエッセイを連載中。