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したいことをすればいい

フランスエコビレッジの放任主義
ドイツから一路フランスへ。生活のすべてを管理されていたECOlonieとはうって変わり、自主性が問われるLa Lune Nette aux Lunettesでの生活は新鮮だった。

ECOlonieでの生活にも慣れた頃、ボランティア仲間のアンネが、「ECOlonieはよく管理されているけど、もっとクリエイティブな仕事がしたい」と言い出した。「ボランティアがもっと主体的になって、何かを作れる場所があるはず」と彼女。私たちはECOlonieを去り、スイスとの国境近くにあるフランスの「La Lune Nette Aux Lunettes」(メガネにはりついたはっきりとした月)」(以下、La Lunette)に移ることを決めた。彼女はインディアン式のテント“ティピ(tipi)”と“メガネにはりついた……”というそのユニークな名前に、私は私で日本の自然農法の第一人者、福岡正信式農園にひかれた。ちなみに、福岡正信式とは、無肥料、無農薬、無除草、無耕作の農法のことである。

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La Lune Nette aux Lunettesの庭

列車でスイス国境近くのLa Lunetteへ。St.Cloudという小さな駅を降りると、インディアンのような衣装を来た小柄な男性が待っていた。彼の名はシルバン、La Lunetteのメンバーだ。

1996年に設立されたLa Lunetteはフランスの真ん中辺り、スイスの国境からわずか数時間のところに位置する。フランス語では早口言葉に聞こえるらしい、La Lune Nette Aux Lunette(メガネにはりついたはっきりとした月)という名称は、ここがもともとメガネ(Lunette)工場だったことに由来している。

インディアン式テント“ティピ”

私はスイスで語学学校に通う予定が入っていたので、3日だけ滞在、友人のアンネはその後2か月近くそこで過ごすことになった。敷地面積は3万平方メートル。敷地内にはメンバーが住む建物、工芸品を作る大きな建物と、その中にはミーティングスペースと小さな図書館(精神世界、ガーデニング、哲学、アメリカンインディアンの文化に関する書籍が多い)がある。庭にはインディアン式テント(ティピ)と福岡正信式の畑があった。コンポストトイレも置いてあったが、なんとトイレットペーパーは使わず、葉っぱか、拭かない(!)のどちらかだと聞いた。

La Lunetteに到着してすぐに驚いたことは、ECOlonieとは異なり「夕食は一緒に食べる」「一人ずつ順番にみんなの夕食を作る」以外に決まりごとが一切ないこと。何時に起きるのか、何時に食事をするのか、何の仕事をするのかは、ボランティア自身で決める。管理されることに慣れきっていた私とアンネは、自分たちがやるべき仕事が思いつかない。シルバンに「何をしたらいいですか?」「何時に起きればいいですか?」と尋ねるのだが、彼はそのたびに「そうだなぁ。う〜ん。ハハハ」と言って、ギターを弾きだして何も言ってくれない!

数ヶ月前から滞在していたフィンランド人のキムが、そんな私たちを見て、「終わっていいよとも何にも言われないから、僕なんて、夜中まで働いたことがあるよ」と笑った。「だから、本当にしたいことをすればいいし、休みたい時に休めばいいんだよ」。

ECOlonieにはECOlonieの良さがあったけど、La Lunetteでの生活も、短い間だが、楽しもうと思った。

(次回につづく)