オーガニックレストラン食べある記の記念すべき第1回目に選んだのは“キュイジーヌ ナチュール アーペ”。六本木にあるオーガニックレストラン“チャオベッラ”の姉妹店として西麻布のビストロ通りに2005年10月にオープンしたフレッシュな店だ。ミツバチを意味するアーペという名には、花から花へ花粉を運ぶミツバチのように、自然な食材の魅力を伝えていきたいという思いが込められているという。
食べある記隊の3人が店を訪れたのは梅雨の晴れ間の暑い昼下がり。いろんな味を楽しむべく、A=1000円、B=2000円、C=3000円と3種類あるランチをひとつずつオーダーし、分け合って食べるというワガママな手段に出た。
まず、びっくりしたのはAコースのサラダ。ランチメニューにありがちな申し訳程度のサラダとは比べ物にならないボリュームに加え、葉モノだけでなく昔懐かしい香りがいっぱいのニンジンや瑞々しいズッキーニなど季節の野菜のグリルが取り合わせてある。いっしょに出てくるパンは小ぶりながら噛むほどに味の出るおいしさだ。
- 有機レーズンからおこした天然酵母を使ったパンは香りもおいしい
- 野菜そのものの甘味が存分に味わえるサラダはボリュームたっぷり
日替わりで2種類用意されているパスタも、もちろん1種類ずつ注文。さっぱりと仕上がったジェノベーゼの隠し味は豆乳。塩加減が抜群のラグーはしっかりとして素朴な味わいだ。しかし、パスタの中で3人一致の一番人気だったのは、Bコースの“トロフィエ”というパスタ。もちもちとした独特の歯ごたえは、手打ちパスタが得意という皆川シェフの自慢の一品というだけあって、ゆるく波打つ短めの麺はソースの絡みもよく、沖縄産の寿豚というポークの旨味と絶妙にマッチしている。
- 前菜はアナゴの香草焼きと夏野菜のカポナータ。コクのある味
- 手前2点はA&Cランチ、左奥はシェフお得意の手打ちパスタ
前菜、メインともにシーフードだったが、前菜はパン粉でサックリと仕上げたアナゴにこっくりとした味わいの野菜の煮込みカポナータとの取り合わせ、メインはシンプルなグリルに同じくシンプルな茹で野菜を合わせるというバリエーションで異なるおいしさが楽しめた。特筆すべきはメインの食材を彩るべく、美しく盛り付けられた脇役の野菜のおいしさ。付け合わせと呼ぶのは申し訳がないほどに、メインの食材と互角にわたりあえる力強さがある。
そして私たちは、仕上げのデザートにも「やられた」。さっぱりとした白ワインのジェラートはシャーベットとアイスクリームのいいとこどりをしたような、爽やかで、かつ深みのある味。添えられた野菜とフルーツのマチュドニアにはなんとトマト、セロリ、ニンジン、大根、キウイ、オレンジが入っているのだが、これがまたさっぱりとした甘味でジェラートとの相性は抜群である。後味もすっきりさっぱりとして、まさに夏にぴったりの後口。3人ともかなり満足のランチタイムだった。
- コチのグリル。抜群においしい野菜たちが味を引き立てる
- 白ワインのジェラート 野菜とフルーツのマチュドニア添え
この内容でこの価格設定はかなりオトク感いっぱい、という印象。夜のコースにも期待が持てそうだ。名店が立ち並ぶビストロ通りに、気取らず立ち寄れて、オーガニックという新たな魅力を持つ店が増えたのは「おいしいものを安心して食べたい」と願う食いしん坊にはうれしい限りである。
メニューデータ
ランチ:
コースA 1000円 サラダ パスタ パン コーヒー
コースB 2000円 前菜 自家製手打ちパスタ パン デザート コーヒー
コースC 3000円 前菜 パスタ 肉または魚料理 パン デザート コーヒー
ディナー: 選択式のプリフィクス
ディナーコース 3780円
前菜 パスタ メインディッシュ 野菜料理またはデザート
おまかせコース 5250円
前菜 パスタ メインディッシュ デザート
その他アラカルトあり
店舗データ
cuisine nature ape
キュイジーヌナチュール アーペ
キュイジーヌナチュール アーペ ウェブサイト
http://www.ciaobella.jp/ape/
東京都港区西麻布4-4-12 ニュー西麻布ビル1階
TEL/FAX:03-3406-5406 E-mail:ape@ciaobella.jp
ランチ <火曜〜金曜>11:45〜14:30(L.O. 13:45)
ディナー<火曜〜日曜>18:00〜23:00(L.O. 21:30)
月曜定休 土曜・日曜・祭日 ランチ休み
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