有川美紀子

有川美紀子(Arikawa Mikiko)。ダイビング雑誌や島に関する媒体の取材を通し、国内外50~60の島をめぐる中、小笠原諸島と出会う。固有の自然と住民の明るさにひきつけられ、当時、計画されていた兄島空港を見直す環境NPO「小笠原ネイチャーフォーラム」を1990年に設立(2004年解散)。シンポジウムやエコツアーの開催を行う。現在、世界自然遺産の登録を目指す小笠原の住民のナマの声、取り組みを取材するため、2009年5月下旬より小笠原に移住。月1回程度BayFM(78 MHz)で現地レポートも。 より詳しいProfileはhttp://www.ogasawarajikan.com。ブログは基本毎日更新。著書に「小笠原自然観察ガイド」(山と渓谷社)。

 
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    母島でアカガシラカラスバトのえさ場の近くに仕掛けられた捕獲器で捕獲された黒猫兄弟。この2匹は現在、父島・母島の人の手で室内飼いされており、ネコとハトを遠ざけることに成功した。撮影・有川美紀子

    外来種除去に取り組んでいるニュージーランドやオーストラリアの人々に「なんてクレイジー!」と驚かれながらも、あえて、難しい道を選んだ結果、ハッピーが訪れた!というのは小笠原の話。

    人間が持ち込んだ猫が、逃げたりあるいは人為的に捨てられたりしてやがて野生化し、ノネコとして生きるために、鳥を襲う。その鳥は、小笠原でゆいいつ有人島で繁殖するウミドリだった。これが、2004年ごろ、小笠原の母島で起こった話。通常なら、ノネコの駆除だけに取り組んで終わっただろうこの事例は、多くの人の関りと動きと思いが、今までに例がない感動的な展開を作っていったのである。
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    青い海が美しい小笠原は自然の宝庫。写真はジニービーチという浜で、この周辺ではよくイルカを見ることができる。撮影:有川美紀子

    ザトウクジラがジャンプし、マッコウクジラが深海に潜り、イルカが人とフレンドリーに泳いでくれる海と、小指の爪に乗ってしまうほどの小さなカタツムリや、翼を広げると約1mにもなるオオコウモリなどが暮らし、それらをはぐくむ森を持つ小笠原諸島。

    白神、屋久島、知床に続く世界自然遺産にいちばん近い小笠原は、いっぽうで、もろく壊れやすい「ガラスの自然」を持つ場所でもある。
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    父島のすぐ北にある兄島。急峻な地形が多い小笠原で唯一平坦な場所を持つために空港建設予定地となったこともあったが、実は世界的にも貴重な”乾性低木林”という固有生態系の残る場所。現在は国立公園特別保護地域に格上げされた。撮影:有川美紀子

    世界自然遺産登録の第一段階「暫定リスト」に、2007年、その名を掲載された小笠原諸島。自然遺産といえば、日本ではすでに屋久島、白神山地(1993年)、知床(2005年)の3か所が登録されており、みなさんもテレビや新聞でその自然度の高さや美しさに触れたことがあるだろう。

    それでは、今、日本で一番世界自然遺産に近い小笠原の自然は、どんな貴重さを持っているのだろうか。 (続きを読む…)


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    国立公園特別保護地域・南島。村民、村、都、国による自然保護の取り組みが行われている(撮影:有川)

    ♪南の空の果て 波の花さく島に……(小笠原古謡「丸木舟」より)。

    こんな優しいフレーズで始まる唄を持つ島が、日本にある。一番南の東京都、船で25時間半かけてしか行くことのできない小笠原諸島だ。

    私は約20年、ライターとして、また小笠原の環境NPOの代表として島に関ってきたが、この5月、「あること」を見つめるために島に移住してきた。あること、それは人と自然の共存の在り方だ。 (続きを読む…)