最後に夕日をじっくりみたのはいつですか? トルコの沿岸都市に出現した公共空間は、ただ空を眺めるための場所。

突然ですが、みなさんが最近、夕日をじっくり見たのはいつですか? 毎日忙しくて、なかなかゆっくりと眺める機会なんてない方も多いかもしれません。

そんな方に向けて紹介したいのが、トルコで”ただ空を眺める”ために建設された歩道橋「Bostanli Footbridge」です!

中央に架かる橋が「Bostanlı Footbridge」

舞台となるのは、エーゲ海に面したトルコの沿岸都市イズミルの海岸。みんな、座ったり、寝転がったり、思い思いのかたちでゆっくりと流れる時間を楽しんでいます。

夕方、橋の上を散歩したり、仰向けになって空を見上げたり…。

お昼時には、友人と休憩に来る人がたくさん!

材料にもトルコ原産の木を使用することで、伝統的で独特なぬくもりを感じる空間を演出しています。日本人がヒノキ風呂に入るような気持ちで、トルコ人は「Bostanli Footbridge」で夕日を眺めているのかもしれませんね。

海水や日光に耐えられるよう熱処理を加えた木材を使用

「Bostanli Footbridge」がある沿岸都市イズミルは昔は漁で栄え、トルコ第3の経済都市(出典元)と言われながら、相次ぐ内陸部都市開発から取り残され、ヨットさえみられない砂漠のようになってしまったのだそう。

そんななかで、この街の歴史的日常儀礼として引き継がれてきた「夕日とともひとときを過ごす」という習慣を、現代の慌ただしい毎日の中でも忘れないように、”ただ空を眺める”橋がつくられることになったのです。

担当をしたのは、建築家であるBaşbuğ(以下、バシブさん)さん。彼は「Bostanli Footbridge」について、このように話しています。

コンセプトは「何も計画が定められていない空間」。都会の雑踏から逃れ、特に何をする気もなくここにきて、何も考えずに自然の中に身を置いてみる。ただ横になって足をのばし黙って夕日をみたり、だれかと話してみる。そんな海辺の癒しの空間だよ。

もうすでに知っているはずの自然との関係を、よりたくさんの人に思い出してもらうスペースを提供しているんだ。

バシブさん

かつて栄えた湾のそば、伝統ある木材の上でくつろぐ大都市の人々。イズミルの地理的・歴史的・社会的な背景をうまく利用することで、人それぞれの”怠惰”な時間を提供する公共空間。今では、まち中のひとが訪れる人気スポットのひとつとなり、みんなに喜ばれています。

気づけば、日々の生活にどこか一所懸命になりすぎてしまっている現代人の私たち。これからは、一日のおわりにただ「ボーっと」きれいな夕日を眺めてみる、そんな時間をもうけてみてはいかがでしょうか? きっと、翌日に昇る太陽を、笑顔で迎えられる朝がやってきますよ。

[via Inhabitat, Archdaily, MY MODERN MET, steb, ARKETIPO, ARKITERA, Izmir Metropolitan Municipality, Issuu]

(Text: 棚元ひな子)