ISSUE ☆日本と世界のソーシャルデザイン

6 months ago - 2016.01.19

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環境問題を解決していく担い手を増やすために。手のひらサイズのデバイスで誰でも大気汚染を測定できる「Air Casting」って?

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あっという間に過ぎた、2015年。年末には「流行語大賞」のノミネートも発表されていましたが、みなさんは2013年に「PM2.5」が流行語大賞を受賞したことをおぼえているでしょうか? あれから2年以上がたちますが、PM2.5をふくむ大気汚染物質による大気汚染の問題は、まだまだ解決まで程遠いのが現状です。

とはいえ、空気の汚れは川や海にくらべるとはっきり目に見えにくかったり、地域によっても大きなバラつきがあったり、暮らしのなかで大気汚染を「自分ごと」として意識するのは難しいという人もいるかもしれません。

そこで今回は、手のひらサイズの空気測定デバイスを使って大気汚染マップをつくる「AirCasting」という取り組みをご紹介します。

空気を測るために使うのはこちらのデバイス。ぱっと見たところ携帯ラジオのようにもみえますが、PM2.5などの大気汚染物質をしっかり測定してくれます。
 
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集められたデータは「Air Casting」のアプリやウェブサイトに送信され、データを視覚化したマップをスマートフォンやパソコンからもチェック可能。マップは下の画像のように数値にもとづいて色わけされています。
 
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アプリではこんなふうに色分けされたマップが表示されます

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そして「AirCasting」のウェブサイトではマップの四角いエリアをクリックし、測定された日時や具体的な数値を見ることができました。色分けの基準となる数値を自由に選ぶこともできます

この「Air Casting」プロジェクトを率いるのはMichael Heimbinder(以下、マイケルさん)。

彼はこれまでにも、暮らしを豊かにする場所や守りたい史跡をユーザーがマップに追加できる「Habitat Map」など、ユーザーみんなでマップをつくりあげていくことで環境問題に取り組んできました。

マイケルさんが展開しているような、一般の人たちが科学的な調査に参加していくプロジェクトは、「シチズン・サイエンス」と呼ばれています。環境問題のほかにも、宇宙や生物についてリサーチするものなどプロジェクトの内容はさまざま。インターネットを通じて大規模な調査が実現できるようになったこともあり、シチズン・サイエンスによる研究は増加しつつあるとのことです。

大気汚染の影響を受けているコミュニティの人びと自らデータを集めるのが「AirCasting」なんです。彼ら自身が住み、働き、遊ぶ場所の空気をキレイにするために、政策を変えていく。そのためにみんなで調査して集めた情報を使うのです。

と、「Air Casting」の仕組みについて話すマイケルさん。マイケルさんは、自身が環境に関するシチズン・サイエンス研究を取り入れていることについて、「政策が変わっていくこと、態度や行動が変わっていくことに価値がある」と答えています。
 
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デバイスを首からさげているマイケルさん

実際に大気を測定してみたという人たちからは、地下鉄や車の多い道路などの空気がどれだけ汚れていたのかを実感したという声や、掃除機がどれだけホコリを出しているのかに気づいて驚いたという声があったのだそう。

だれでも気軽に参加できるからこそ、これまで知らなかった大気汚染の影響が見え、より自分ごととして認識できるようになるのかもしれませんね。
 
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忙しい日常のなかで、大気汚染について問題意識をもちつづけることは簡単ではありません。

けれども、「AirCasting」のようなプロジェクトを通して調査に参加してみることで、より多くの人のなかに「解決していく担い手」としての意識がちょっとずつ生まれてくるのかもしれません。

そうした小さな一歩こそが、マイケルさんの言ったような人びとの態度や意識の変化につながっていくのではないでしょうか。

「AirCasting」のウェブサイトを見るかぎり、日本のマップはまだまだデータが少ないようです。アプリからでも騒音レベルを測定して記録することもできるので、興味をもった人はぜひダウンロードして「シチズン・サイエンス」に参加してみてはいかがでしょうか?


[via The Brooklyn Paper, kickstarter, Storify, TEDx, FastCompany, SciStarter]

(Text: 向晴香)

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writer ライターリスト

Haruka Mukai

Haruka Mukai

greenz ジュニアライター 1993年石川県生まれ三重県育ち。greenzライターインターンを経て、ジュニアライターに。大学の専攻は文化史学。好きなものはインターネットと図書館と一人カラオケ。

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