エチオピアのブルーナイルの滝
突然ですが、“アフリカ”と聞いて、みなさんの頭の中に浮かぶのは、どんなイメージですか? 痩せ細った子供、銃を持つ市民、エボラに怯える人々… もしかしたら、そんなアフリカの姿を思い描く方もいらっしゃるかもしれません。
実際、アフリカの多くの国や地域では、貧困や飢餓や内紛が大きな社会課題になっており、今も多くの人々が苦しんでいます。ですが、本当は、それもアフリカのたった一面。
そこで今回は、「広大な自然や、人々の笑顔、経済的発展など、明るい一面がアフリカにもあることを世界中の人に知ってもらいたい!」というアフリカの若者の願いから生まれたキャンペーン「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」をご紹介します。
instagramに投稿されている多くの写真
Diana Salahさん(以下、ダイアナさん)を中心とする若者たちによって立ち上げられた「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」は、SNSを活用したキャンペーン。
ツイッターやインスタグラムなどのSNSに、美しく、豊かなアフリカを伝える写真をハッシュタグ「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」を付けて上げることで、世界中の人々がアフリカに対して抱くネガティブなイメージを壊し、アフリカの“本当の姿”を知ってもらうことが目的です。
ダイアナさんがこのキャンペーンを立ち上げたのは、世界の人々から、“惨めで可哀相なところ”として見られているアフリカが、自分の故郷であることを恥ずかしく思うようになってしまったのがきっかけ。
「私の知っているアフリカは、多様性と美しさにあふれている!」と思いたったダイアナさんは、メディアの報道を通してつくり上げられてしまったアフリカではなく、そこに住む自分たちが見るアフリカの“本当の姿”を世界に伝えようと、SNSを使ったキャンペーンを始めました。
こうして、今年6月に始まったばかりの「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」。1か月ほどでツイート数は6万回を超え、今も、アフリカの様々な地域に住む人たちによって、アフリカの“本当の姿”を写す多くの写真がツイートされ続けています。
いくつかの写真ツイートをご紹介しましょう。
ケニアの夜景
ホモフォビアに反対するアフリカンアーティストの作品
アフリカの子供たちの弾ける笑顔
東アフリカの伝統衣装を身にまとった少女
メディアのイメージで妨げられた観光業を伸ばしたい!
国連世界観光機構(UNWTO)のErica Grandcourtさん(以下、エリカさん)は、これまで、主要成長産業のひとつと目されてきたアフリカの観光業は、外国メディアによってつくり上げられたアフリカのネガティブなイメージによって、その伸びを妨げられてきてしまったと語ります。
そのなかで、「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」は、ソーシャルメディアが持つ可能性と力を改めて感じさせるとともに、アフリカに更なる観光客を呼び、地域の社会・経済発展に貢献するのではないかと、エリカさんは期待しているそう。
国連のサポートも受け、これからますます勢いを増していきそうな「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」。ダイアナさんは、こう語ります。
貧困や飢餓、紛争などアフリカの抱える問題だけではなく、アフリカの持つ多様性と美しさを世界中の人に知ってもらうことは、とても意義のあることだと思っています。
そして、それを実現するためには、世界中の多くの人々の主な情報源となっているメディアに対抗し、多くの人の協力を得られるソーシャルメディアの力をいかに借りることができるのかがカギだと思っています。
幸いにも、世界の中でも安全な国として評価される、日本。しかし2011年の東日本大震災によって、東北の街は壊滅し、かつ“安全”なイメージも崩れてしまったかもしれません。
日本を訪れる観光客が爆発的に増え、かつ「Cool Japan Campaign」が注目を浴びている今、私たちが「#TheAfricaTheMediaNeverShowsYou」のようにSNSを活用し、私たちの目線で日本の魅力を伝えることが大事かもしれません。
みなさんなら、日本のどんな“本当の姿”を世界に向けて発信したいですか?
[via twitter, instagram, GOOD、dailymail, enca, the Guardian]
(Text: 水野淳美)