会場の結花さん。所沢から移築された素晴らしい古民家です。
「自給自足できる街」をテーマに2011年5月から毎月1回開催されている「green drinks 松戸(以下gd松戸)」。
2014年8月に行われたvol.30は、「大人の夏休み自由研究 古民家カフェで遊んで学ぶエネルギー!」と題し、築130年の古民家を移築してつくられた蔵のギャラリー・喫茶結花さんを会場に、夏休みの自由研究感覚でエネルギーについて、一から触れていきました。当日の様子をレポートでご紹介していきます。
まずはエネルギーの基本を知ろう
エネルギーに興味はあるけど、基本的なことは意外と知らないもの。まずは最低限の知識をおさらいしようと、ゲストの板倉正さんによるエネルギー出前授業が行われました。
ゲストの板倉正さん。
板倉さんは株式会社とうかつ市民エネルギーという会社の代表取締役。自然エネルギーへのシフトを図るため、省エネ商品の販売や民間出資での太陽エネルギー導入の提案、小学生向けのエネルギーに関するワークショップなどを行っています。
参加者のみなさんも小学生になった気持ちで、板倉さんの授業に耳を傾けました。授業では、今のエネルギーがいかに石油に頼っているかをおさらい。
私たちは様々なものに石油を活用しています。単純に燃料として熱源に利用するのを始め、その熱でタービンを回して発電したり、飛行機や車の燃料、プラスチック製品等の原材料など、今や私たちの暮らしと石油は切っても切り離せなくなっています。
石油を何に使用しているのかその割合を見てみると、発電も含めた熱源利用が40%、飛行機や車の燃料などの動力源利用が40%、タイヤやプラスチック製品等の原料その他の利用が20%という割合になっています。
そして私たち日本人は2005年現在、平均で1人当たり6リットルの石油を1日で使用している計算になるそうです。
過去150年のエネルギー使用量をグラフで見てみると、産業革命を境に爆発的に増えていることがわかります。
石油は地下に埋蔵されている資源。このまま使用し続けると、いつか石油が枯渇してしまうだけでなく、石油が燃やされ空気中の二酸化炭素が増えることで地球温暖化が進み、各地で異常気象などの環境問題が起こって生活に支障が出てくると言われています。
温暖化が原因と見られる世界の異常気象の例
自然エネルギーへのシフトが方法のひとつ
このままではエネルギーを持続的に使うことができない。そこで板倉さんは石油由来のエネルギーからソーラーや風力、バイオマスなどの自然エネルギーへのシフトに向かって活動しています。
未来を担う子どもたちへのエネルギーのワークショップも、板倉さんの活動のひとつ!
エネルギーを自分たちでつくることは、実は地域経済にとってもメリットがあります。2011年の総務省の調査によると一世帯辺りの平均電気料金は年9万8000円。松戸市は世帯数が21万1000世帯なので、市内のエネルギーを自分たちで全てつくることができれば、経済的な価値は年間で20億6780万円。
これを地域で循環させることができれば、地域での雇用を増やすこともでき、住んでいる街の活性化にもつながります。もちろん実現までは一歩ずつやるべきことがありますが、とてもワクワクするお話しです。
こうして前半はエネルギーの基本的なことから、自然エネルギーへシフトした時の夢を教えて頂きました。
実際に自然エネルギーに触れてみよう
後半はそんな自然エネルギーを実際に触れてみる時間。ソーラーグッズを使って、何がどの程度までできるのか実験をしてみました。
まずはソーラークッカー。太陽の光をあつめて温めるというシンプルな道具。1000円程度で購入することができます。今回はお湯を沸かしました。2時間で70度くらいのお湯ができました。
太陽の力で温めたお湯で紅茶やコーヒーを一杯。太陽の温もりを感じられるような気がします。
続いてソーラークッカーでおコメを炊いて見ました。ちょっと時間が足りなくてやや生煮え。だけどカレーやリゾットには十分使えるレベルになりました。
続いてはソーラーパネルを使用。こちらはコールマン製のソーラーパネルで3枚で55Wの発電量があります。
ソーラーパネルで発電した電気でかき氷機を動かしました。
問題なく動いて、おいしいかき氷ができました。
ソーラーグッズに触れたあとは、古民家でまったり。
夏休みの想い出ができました。
自然エネルギーに触れてみると、当たり前に電気が使えることの便利さに気付かされます。同時にちょっと手間をかけてエネルギーを使うことで、エネルギーに愛着が湧きますし、0円で使える実感を味わうことができます。
生きていく上で欠かすことができないエネルギー。自然エネルギーへの移行というのは、あくまでも持続的にエネルギーを利用するための手段のひとつです。
大切なのはエネルギーを人任せにせず自分なりに感じて、考えてジブンゴトにすることではないでしょうか?例えば、夏のアクティビティであるBBQや海などにソーラークッカーを持っていて、エネルギーを使ってみるなどのも良いかもしれませんね。
みなさんも身近なエネルギーについてまずは遊び感覚で触れながら、エネルギーをつくることを体感してみませんか?
(text:殿塚建吾)
(会場:蔵のギャラリー結花
)
(主催:omusubi不動産)