『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

子どもたちの性被害を守るために、子どもたちと啓発マンガをつくる「ポラリスプロジェクトジャパン」

s_bwedited-0175

人身取引と聞いて、どんなことを想像しますか。海外で起きている遠くの出来事のような気がする人が多いかもしれません。でも、実は日本でも起きているのです。それも、日本に住んでいる外国人だけではなく、日本人の小さな子どもたちの身の上に。

ポラリスプロジェクトジャパン」は、人身取引をなくすために活動しいるNPO法人。2004年の設立以来、人身取引の被害相談専用の相談窓口を運営し 電話とメールで相談を受け付けててきました。これまで計150人ほどの被害者を救出してきたそうです。

その活動の内容が変化してきたのは、2009年頃からだったと、代表の藤原志帆子さんは言います。

相談窓口運営を開始した当初は、外国から日本に連れてこられ強制的に売春をさせられたり、性産業で働かされていた女性からの相談がほとんどだったのですが、2009年ぐらいから日本人の相談が増え、今では相談の6割が日本人の被害です。

その多くが10代の子どもたちです。スマートフォンアプリを通して知り合った人間に騙され、裸の写真を送ってしまい、それを不特定多数の人にばらまくと脅され売春を強要される、虐待される家庭から家出をしたけれど、居場所をくれて助けてくれるという男に騙されて風俗で働かされている、などといった相談が増えてきました。

s_IMG_4218xs
藤原志帆子さん

ここで、人身取引とはどういったことを目的に行われるのかおさらいしてみましょう。大きくは、労働目的、臓器目的、そして性的搾取があげられます。性的搾取にはポルノ目的と売春・性労働目的があります。

18歳未満の子どもが買春やポルノの被害に遭ったときは、強制力がなくても人身取引の被害者となると国連の議定書は定めています。つまり18歳未満の女子高生が自らの意思で売春をしていた場合でも、大人が子どもの性を搾取している点が問題であることには変わらないので、それは性的搾取を目的とした人身取引となるのです。

子どもの性的搾取の被害は、日本では2012年だけで4000件以上と言われています。児童買春や児童ポルノ被害も右肩上がりで増えているそうです。

児童ポルノは、単なる子どもたちの裸の写真ではありません。性行為を子どもたちにやらせている動画や写真などさえあります。その画像がネットを通して世界中にばらまかれてしまっています。

日本に住んでいる私たちが気づくべきこと

特に日本は、性を買うことに対して寛容である文化的な背景もあり、子どもへの性的搾取の罰則は甘く、加害者にとってローリスクな行為になっているのが現状です。また、子どもたち自身も、自分の性に商品価値があることを知っていると、藤原さんは言います。

日本は、18歳より17、17より16、16よりも15に価値があると見られ、値段のトップは11歳という話を聞かせてくれたのは被害にあった子ども本人。小学生が「援助交際=買春」をすると一番儲けが返ってくる、というのです。でも、それはほんの一部の子どもの話で、結局は大人の仲介人が入り、管理売春の形になります。

それでも、子どもたちがこういった事実を学ぶ機会は皆無です。親から教えられることも、学校で学ぶこともありません。世論や親世代への喚起もしつつ、子どもたちへの啓発も必要なのです。

毎日毎日、この瞬間にも日本のどこかで被害に遭っている子どもたちがいます。子どもたちに身を守る力を付けてもらいたいのです。

藤原さんの言葉からは、子どもたちの性的搾取の現場を目の当たりにしている、危機感が伝わってきました。

s__MG_6966

子どもたちを性的搾取から守るための啓発マンガを作ろう!

被害に遭う子どもたちに、自分の身を守る方法を知ってもらいたいと考えた「ポラリスプロジェクトジャパン」は、「現役中高生と一緒に、援助交際やポルノ被害などについてストーリーで学べる、日本で初めての啓発マンガを作りたい!」というプロジェクトを立ち上げ、そのための資金をクラウドファンディングで集めるキャンペーンを開始しました。

2014年2月1日までに100万円の資金を集め、子どもたちと一緒に、2014年をめどにマンガを完成させる予定です。

いろいろなストーリーを盛り込んで、誰に相談すればいいか、どう対処すればいいか、ちょっとした法律や制度の仕組みもわかってもらえる、子どもたちの武器になるようなマンガにしたいですね。

s_shoot

啓発資料的なパンフレットを作ってもなかなか読まれにくいことを考え、子どもたちに身近である「マンガ」をツールにすることにしました。このプロジェクトで作る啓発マンガは、マンガの構成やストーリーなどを考える製作段階から子どもたちに関わってもらい、子どもたちの「知りたい・聞きたい」が詰まった性被害予防マニュアルのようなものになる予定です。

また将来的にはアプリなどの形にすることも考えているとのことなので、全国の子どもたちが大切な知識を得るツールとなるはずです。

このキャンペーンは2014年2月1日18:00までです。子どもたちを性的搾取から守るために、ぜひポラリスプロジェクトジャパンのキャンペーンに参加してみませんか?

※「NPO法人ポラリスプロジェクトジャパン」は、2014年1月1日から「NPO法人人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」と名称を改めます。