ISSUE☆連載 ハローライフなひとびと

3 years ago - 2013.11.21

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“PDCA”から”DCPA”へ!富士通研究所の原田博一さんが実践する、イントレプレナー的働き方とは? [企業内起業家論]

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「富士通研究所」の原田博一さん

最近「イントラプレナー(会社内起業家)」という言葉が注目されています。企業内において新しいビジネスを立ち上げる際、その責務を担うリーダーとなる人材のことです。

富士通研究所という研究機関で働く原田博一さんも、そのひとり。まちづくりの共創プラットフォーム「まちばた.net」を運営する傍ら、モバイルワーカーとしてユニークな働き方をしています。

今回はそんな原田さんにイントラプレナーとは具体的にどんな、原田さんにお話を伺いました。

まちづくりに関するプラットフォーム「まちばた.net」

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原田さんが手がける「まちばた.net」は、まちづくりや社会起業に関わる人たちをつないで、コラボレーションを生み出していくことを目的としたウェブサイトです。

2011年11月のスタート以来、この2年間で口コミでじわじわと広がりを見せており、登録プロジェクトの数は120ほど。それぞれ”ソーシャルカード”という団体の概要や現状がひと目で分かるカードを記入し、それを元にコラボレーションを生み出していく仕組みです。

例えば、埼玉県熊谷市に拠点を置く「くまがや まちおこし新聞」では、「熊谷市を日本中の地域活性化のお手本の街にすること」というチャレンジを行っていて、「賛同者や地域の経営者を集めること」に困っているということがひと目でわかる、というわけです。

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ソーシャルカードの利用例

「まちばた.net」ができるまで

そもそも原田さんが所属する研究グループでは、対人コミュニケーションをより円滑に行うための考え方や道具の研究開発を行っています。そこで生まれたさまざまな「メソドロジー(方法論)」を、できるだけ多くの人に活用してもらうことが原田さんたちのゴールなのです。

そんなあるとき、「ソーシャルイノベーション」というテーマでリサーチをすることになり、「なんて大きなテーマだろう」と思った原田さん。そこで自分が起業をするのではなくて、「社会起業に取り組むプレーヤー同士を支えるプラットフォームならつくれるかもしれない」と、まちばた.netを立ち上げることになりました。

そこで私がこだわったのは、「machibata.net」というドメインです。富士通研究所の運営ではありますが、敢えて富士通の名前をあまり出さないようにしたんですね。

それは企業の利益のためだけでなく、社会とって役立つオープンなプラットフォームとして運営していきたい、という思いがあったから。社内でも理解をもらい、独自のドメインを取得する許可を得ることができました。

会社の都合ではなく、自分の意志で富士通研究所へ

もともとエンジニアとして10年ほど本社に勤めていた原田さんが、富士通研究所に異動を決断したのは、当時の仕事に歯がゆさを感じていたからだったそう

製品開発者としてものづくりに関わる中で、ユーザーであるお客様が遠くに感じられるようになってしまったんです。もっとお客様と話をしながら仕事をしたいなと。

ちょうどそのとき、富士通研究所でインタビュー技術を開発する人材を募集していたんです。ふと、「果たして自分は、そもそも人の話を聴けているのだろうか?」とはっとしたんですね。「まずは人の話を聴けるようになろう」と、富士通研究所に異動することにしました。

“PDCA”から”DCPA”へ

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移動する前の部署では若手のエンジニアを育てる役割を担当していたこともあり、その時点で専門的知識がなくても不足するなかでも異動が認められた原田さん。

研究所ではインタビューやフィールドワークのような定性調査に関わるようになり、少しずつワークショップのデザインや、ファシリテーターを依頼される機会が増えていくことに。それは様々な人々の関係性や価値をつないでいくという、新しい領域の仕事でした。

当時の仕事のひとつが「Futures」です。これは、日本とイギリスの企業が、社会起業家や政府関連機関など、多様なプレーヤーと対話をし、社会イノベーションの創出を促すことを目指したプログラムなんですが、私は主にワークショップのデザインとファシリテーションを担当しました。

私の仕事は「関係性のデザイン」だと思っています。人や組織の思いや都合を把握したうえで、効果的に課題解決に取り組むために関係構築を支援する役割です。これにはやはり、インタビューやフィールドワークといった経験があったからこそだと思います。

また、原田さんは「まちばた.net」を通じてソーシャルイノベーションの担い手とたくさん会うことで、そこに共通するパターンが見えてきたともいいます。

まちづくりにおいては基本的にリソースが足りないので、「まずはやってみる」が基本なんですね。いわば「DCPA」なんです。普通は Plan → Do → Check → Act の順ですが、先にDoして、Checkで振り返り、Planに落としこんで、Actにつなげていく。できることから始めると、その結果として、次にやることが見えてきたり、できることが増えていくんです。それは企業内でプロジェクトに取り組むときにも大切なことだと気づきました。

クリエイティブ・メディエイターとして価値をつくる

打ち合わせに応じてカフェを転々とし、ほとんどの仕事の時間をオフィス以外で過ごしているという原田さん。「この働き方は社内ではかなり珍しい方」といいますが、そこには原田さんの強い思いがありました。

今のワークスタイルは自分でも極端だと思いますが、何か新しいことをやろうとするなら、普段の仕事のやり方そのものを新しくしないと、何も生まれないんじゃないかと思うんです。

私は自分のことを「クリエイティブ・メディエイター(仲介者)」だと思っています。仲介者として、社内起業家として、価値と価値をつないで、新しい価値創造をしていく。そんな今の自分に最適な働き方を実践していたら、結果的にこうなったという感じですね。

「DCPA」や「クリエイティブ・メディエイター」という印象的なキーワードは、原田さん自身が自分で道を切り開き、現場に触れることで得られた実感がこめられています。

何より大切なのはそのキーワードそのものよりも、今の自分に最適な働き方を実践すること。そろそろ一年の締めくくり、もう一度自分の働き方について振り返ってみませんか?

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佐藤慶一

佐藤慶一

1990年生まれ、佐渡出身。 NPOメディア「テントセンMagazine」や途上国メディア「トジョウエンジン」の編集など、NPOの情報発信に関して色々と取り組んでいます。

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