ISSUE ファッション

2 years ago - 2013.07.06

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「悪魔がエシカルを着るくらいにならなくては、エシカルは広まらない」。生駒芳子さんと考える、これからのファッションとは

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先月、リー・ジャパン株式会社とNPO法人ACEの共催で「エシカルコットンサミット2013」が開催されました。その中で、雑誌『marie claire』元編集長でファッション・ジャーナリストの生駒芳子さんが「私が”エシカルを着た悪魔“になった日」というタイトルで、基調講演をなさいました。

ファッション業界全体から見えてくるサスティナビリティに対する動向と、エシカルファッションが広がっていくための提案に、会場は驚いたり納得したり。その後のシンポジウムで登壇者から何度も言及された生駒芳子さんの基調講演の内容を紹介します。

ファッション業界の今

基調講演では、まずパリ、ミラノコレクションの状況をもとに、2013年現在のファッション界の現状が紹介されました。

・ファッション業界の主役が消費者になり始めた

コレクションの主役は、今まではデザイナーでした。デザイナーの感性、表現が最大に注目され、有名ファッション誌がそれを大々的に取り上げていました。しかし、今、コレクションの主役は消費者に変わりつつあるのではないかと生駒さんはいいます。

それは、コレクションの最前列に座る顔ぶれが、ファッション誌の編集長だけでなく、ブロガーやネットエディターも増えてきていることからも分かります。ブロガーやネットエディターは、コレクションの様子を即座に世界に配信。それを見た消費者が反応を返します。その反応によって、ファッション業界の行動が変わってくるというのです。


・ファストファッションがメインストリート化&エシカル化

「H&M」は2月のパリのファッションウィークに合わせてコレクションを開催し、ファッション業界への存在感をアピール。加えて、コンシャス・コレクションのイメージモデルに、フランスの大女優ヴァネッサ・パラディを起用し、話題をさらいました(動画)。このコンシャス・コレクションは、オーガニックコットンや、リサイクル・ポリエステルなど、環境に比較的良い素材を使ったもの。H&Mが一歩エシカルなものづくりに進んだと言えそうです。

H&Mと同様に、ファストファッションのエシカル化のあらわれとしては、ユニクロの「デトックス・キャンペーン」への参加があります。このデトックス・キャンペーンはアパレルメーカーに有害化学物質ゼロを約束してもらうというNGOのグリーンピースが進めているもの。バングラデシュで縫製工場の事故が起こり、人々の関心が作り手の環境に向けられるなかで、大きな影響力を持ちつつあるファストファッションがエシカルなものづくりに進むことは、大きなトピックといえそうです。


・3Dプリンターがファッション界に与える影響

ファッション界の関心がエシカルへ少しずつ進むことに並行して、2000年代に“元気を失くして”リアルクローズに向かっていたファッション界は、新しい技術を得て再び「夢を与える存在」になってきているとも、生駒さんは説明します。

3Dプリンターが登場した結果、以前では考えられなかったような「電圧」をテーマにしたドレスや、「フィボナッチ数列」をテーマにしたドレスなど、ユニークなデザインが発表され、レディ・ガガも着たくなるようなユニークな作品が登場しています。

「エシカル」はトレンドではなく、21世紀の時代精神である!

こういったファッション界の現状にあって、「エシカルはトレンドなのか」という疑問がわいてくるかもしれません。しかし、生駒さんは「エシカルはトレンドではなく、21世紀の時代精神である」と話します。

エシカルは、イギリス・ブレア政権下で主にアフリカ諸国の貧困対策のなかで謳われたことが始まりで広まった言葉です。しかし、ルーツは60〜70年代。ヒッピー文化やフラワーチルドレンなど「自然にかえる」という運動や、80年代末に始まるエコロジーやサスティナブルな活動が源流としてあります。

人にも社会にもやさしいあり方は、60年代から進化し続けてきたとも言えるもので、トレンドではなくそのうちに当たり前になるべきものなのです。

悪魔もエシカルを着たくなるくらいの遊び心が必要

しかし「エシカルが当たり前」になるためには、悪魔がエシカルを着たくなるくらいの遊び心が必要です。

生駒さんは『marie claire』の編集長時代に、音楽プロデューサーで環境プロジェクトへの非営利融資機関「ap bank」を設立した小林武史さんと対談し、「ワルがエコを考える日が来ないと、エコは広まらない」という言葉を言われたそうです。そのことから得たインスピレーションもあって、講演のタイトル「私が“エシカルを着た悪魔”になった日」を思いついたといいます。

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登壇者のドレスコードは「エシカル」。生駒さんはISSEY MIYAKE132.5の畳むと完全に平面になるエシカルファッションと、時計の文字盤をリユースしたエコ・リュクスなネックレスを。

エシカルは「道徳的、倫理的」という言葉であり、優等生のイメージが強くあります。しかし、そのイメージが続く限り、エシカルは「当たり前」には広がりません。エシカルが、おしゃれで楽しく、心地よいものになれば、そこに異化作用や化学反応が生まれ、文化が生まれます。

現在、エルメスやフェンディといったラグジュアリーブランドもリユース、クラフツマンシップといった視点を持ち込んでいますし、高級リサイクルバッグブランドが立ち上がったり、とエシカルでかつオシャレでラグジュアリーで魅力的なものが次々と生まれています。また、「ハリー・ポッター」の女優エマ・ワトソンや、ステラ・マッカートニーなど、セレブと言われる人たちも、エシカルな活動に取り組み始めています。

作り手側は、このようにエシカルかつクリエイティブなものづくりをしていく必要があるし、メディアは、そういった作り手やエシカルセレブの動きを、積極的に流していくことが必要だと生駒さんは訴えました。

最後に”エシカルを着た悪魔”から、こんな提言がありました。

ショッピングは投票です。おもしろくて良い取り組みをしている企業には、まさに投票するように、買い物をしましょう!

エシカル・ファッションを、作り手も買い手もメディアも楽しんで進めていくことが大切だと感じた講演でした。

writer ライターリスト

FelixSayaka

greenz ライター フェリックスさやか。大学院卒業後、小学校非常勤講師を経て教育系出版社に編集者として勤務。退職後、フリーランスで執筆活動を行う。在職中から外国人向けテニススクールの運営を手伝い、「地球人としての日本人のありかた」「日本人の国際人教育」について興味を持つ。 Twitter:@SayakaFelix

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