ISSUEインクルーシブ 子ども

3 years ago - 2013.06.12

SHARES  

“オトン”の会社を見学しよう。子どもと仕事を過ごす1日で、父と子の時間を考える「otonto」

kokeru2
子どもとがっつり遊べる時間は、短い!otonto「コケるを撮る!」より。

子どもと同じ目線で競い合ったり、遊びや暮らしの中で「パパすごい!」と思われたりするのは、だいたい幼稚園に入ったくらいからです。そして、目一杯この関係でいられるのは、小学校の5年生くらいまでではないでしょうか。つまり、5〜6年間ほどしかないわけです。

長いですか?自分の子ども時代や育児経験を振りかえってみると、意外にあっという間で短いと思いませんか。そんな大切な時期の、父と子の暮らし方を提案するのがotonto(オトント)」です。

子どもとがっつり遊べる時期は、そう何年もない。
この時期は、オトンの青春期。

「オトント」=「お父さんと」という意味の名前で活動する「otonto」は、子どもと父親の遊び方を紹介するサイトとしてスタートしました。今では、単に遊び方だけでなく、オトンとしての過ごし方や、学び方、家族とのかかわり方を提案し、イベントやコラボレーションにまでその活動を広げています。

この「otonto」を起ち上げるきっかけになったのは、代表の布施太朗さんの実体験にありました。

 

父と子の遊びサイト「otonto」
父と子の遊びサイト「otonto」http://otonto.daa.jp/

僕は広告のクリエイティブディレクターをしていて、住宅関係のお客さんが多かったんです。家の広告を考えていくと、建物のスペックだけでなく家族を大切にする暮らし方の提案になります。

ところが、ある日ふと思いました。自分は家族に対してどう接しているんだろうか、と。30代後半の一番仕事盛りな時期で、3人の子どもたちと遊んでやれる時間が少なくなっていました。

「otonto」を立ち上げた布施太朗さんは、3人の子どもたちの「オトン」。
「otonto」を起ち上げた布施太朗さんは、3人の子どもたちの「オトン」

布施さんは、自分と同じ思いをしているお父さんは多いのではないかと、ツイッターでつぶやきます。「子どもとがっつり遊べる時期は、そう何年もない。」と。すると、予想以上のリツィート数が。そこで、過ぎ去ってしまえば取り返しのつかない「オトンの青春期」に気づき、目一杯「青春できる」サイトをつくろうと思ったのです。

たとえば、こんな記事があります。「子どものコケるを撮る!」は、子どもの愉快な写真の撮り方を伝えて、子どもが大きくなったら一緒に大笑いしようよ、という記事です。ほかにも「ツリーハウスをつくる」や「たんぽぽの役に立つ男になった」なんていう記事も。

はじめは、ほとんどの記事が布施一家の暮らし(笑)まさにマイプロジェクトでした。ただ、その記事に共感してくれて、自分もやってみたいと言ってくれる方もだんだんと増えていきましたね。

「オトン」の背中を見せる。子ども会社見学会。

当初は川や山、家や街での遊びを紹介していた「otonto」は今、新しい活動を進めています。それが、「オトント子ども会社見学」や「オトント仕事旅」です。

「オトント子ども会社見学」は、オトンの働く姿を見て、感じてもらおうと始まった企画。家で商売をしているオトンは、普段から自分の働く姿を見せることができます。でも、会社勤めをしているオトンのほとんどは、子どもにその様子を見せることができません。

それならば「働きがいのあるオフィスづくり」の一環として、会社見学を取り入れてみては?という提案をしたのです。まず第一弾として布施さんが勤務するパラドックス・クリエイティブに布施親子が訪問しました。

働きがいのある会社とは、自分の子どもが来ても胸を張れる会社だと思いました。だから子どもと一緒に1日仕事をしてみるといいんじゃないかと。オトンの背中を見せることが周りの社員にも影響し、職場活性や企業のインナーブランディングにもなるはずだと思いました.

MG_4034
「オトン」の同僚に仕事をみせてもらう子どもたち

 

参加した子どもたちはでは、オトンの仕事仲間の働きぶりも見学します。子どもたちは、デザインの現場や企画書づくりを見てまわり、わからないことは「容赦なく」質問ぜめ。布施さんの同僚もたとえば「見積もりをつくる」という仕事を小学生にわかるように説明しなければなりません。それを通じて「自分が今やっている仕事は、誰のために、何のためにやっている仕事なのか」を見直す機会になり、仕事への取り組み方を深めるきっかけが生まれたという人もいました。

kai-1
「オトン」に見守られて広告の取材にも立ち会います

同僚は大変だったでしょうね。小さい子どもに伝えるには、相当かみくだかないといけませんから。でも、やってよかったという意見が多くて嬉しかったです。もちろん僕もオトンの背中を見せないとけないので、普段よりマジメにやっていましたね(笑)

子どもは、自分が知っているものを「憧れ」にする。

野球やサッカー選手や花屋さんなど、小さい子どもが「なりたいもの」にあげるのは、たいてい自分が見て知っているものです。布施さんの仕事のような広告をつくる人が将来の夢にあがるのは、大学生で就職を意識しだしてからではないでしょうか。

オトント会社見学をやって気づきました。子どもが全部を理解しなくても、小さいときから仕事を見せることで、子どもの将来の可能性と選択肢が広がると。この企画が色々な企業に取り入れられ、職種は知らなくても、営業や製造や販売などの仕事にも憧れをもつ子どもが増えてくれると嬉しいですね。

それに、お父さんがどんな人と一緒にいるのかは、けっこう気になるみたいです。見学会の後、家で会社の人のことを聞かれることが多くなりましたから。

オトンだけの場所だった職場を、親子共通の場所にすることが、コミュニケーションを深める「オトント会社見学」。その相乗効果はまだまだあると言えそうです。

「オトン」と一緒に憧れの仕事を体験する「オトント仕事旅」

さらに、「otonto」に共感した企業やイベントとのコラボレーションも始まりました。その一つがNHKの『突撃アッとホーム』という番組のなかで、オトンと娘さんが一緒にパティシエ体験をするというもの。お父さんも初めての仕事を、朝礼から製菓、夕方の後片付けまで本気でがっつり仕事体験をする企画です。

オトン自身の職場でなくても仕事というものは見せることができると思いました。オトンの得意技は仕事だ!と。しかも、オトンも初めての仕事だから当然、できること、できないことがでてきます。それを見て改めて尊敬することもあるだろうし、難しさや大変さを解り合うこともできますし、子どもの憧れの職業を体験することで、その職業は親子の共通の目標になることもあるでしょう。

「オトント仕事旅」では、父と娘がパティシエに初挑戦。
「オトント仕事旅」では、父と娘がパティシエに初挑戦

 

今後、「オトント仕事旅」は、旅行雑誌やワークスタイルを考えるコンサルティング会社などともコラボしながら、発展させていく予定だと言う布施さん。

様々な企画を通して「otonto」が気づかせてくれるもの。それは親子のライフスタイルとコミュニケーションの在り方です。ただ、それは「こうあるべきだ」という型を押しつけるものではありません。「こういうのも楽しいよ」という呼びかけに似ています。共感したら実践してみるのもいいし、「ちがうな」と思えば別のかかわり方を試せばいいというスタンスです。

布施親子
「オトン」の青春期はつづく!

やっぱり根本はオトンの青春期なんですよね。オトンから面白がる。オトンであることを楽しむ。思い残すことなくオトンを満喫しながら、いい親子関係が生まれるきっかけをつくり続けたいと思います。

まずは何をしたらいいのだろう?という方もぜひ、ウェブサイトをのぞいてみてくださいね。

otontoの記事をみてみよう!
子どもの描いた絵を着てみよう「otonT」!

writer ライターリスト

東 善仁

東 善仁

greenz シニアライター 1976年6月4日 奈良県(都祁村)生まれ、大阪市在住。「weather」としての活動はクリエイティブディレクター、コピーライター。実家の里山と都市を往復しつつ、どちらでも楽しく暮らせるアイデアを考えています。スチールパン奏者見習い。

AD

infoグリーンズからのお知らせ