こんにちは、編集長の鈴木菜央です。greenz.jpでもトイレットペーパーを選ぶ iPhoneアプリ!や「Carticipate (Car+Participate)」 iPhoneにカーシェアリングのアプリケーション登場!などの記事でたびたび取り上げているiPhoneですが、09年初頭にiPhone 3G購入後、アプリに5万円ほど使ってしまった(妻には秘密です)ほど、この新しいガジェットにはまっている私が、わくわくでサステナブルな社会を作るためにiPhoneを活用する方法を、5回に分けてお届けします。
まずは基礎編ということで、今回は「地球を感じるiPhoneアプリ」を3つ紹介します。
Photo by Courtesy ofBELLA GAIA
ん?基礎なのにいきなり地球編? そもそもなぜサステナブルな社会を目指すのになんで地球意識?と思われるかもしれませんので、その説明を少ししましょう。
人類の歴史はアイデンティティの拡大の歴史だと言い換えてもいいと思います。戦国時代に村同士、(今で言う)県同士で殺し合いをしていたのが、今では、ばかばかしいことですよね? そうだとすれば今、世界中で起きている戦争や紛争を、いつかばかばかしいと思う日がやってくるはずです。未来に生まれる子どもたちは歴史の本を読んで、親にこう問いかけるはずです。「なんで同じ地球の人間同士が殺し合いをしなければいけないの?」と。
そのような、人類のアイデンティティの拡大という観点から捉えると、1968年12月24日、人類は進化の階段を一段上がったと言えると思います。アポロ8号に乗った宇宙飛行士のウィリアム・アンダース(日本語にはほとんど情報がないので英語はコチラ)が初めて、完全な球体としての地球をカメラに収めたのです。
これがそのときの写真です。以下のように、右側に月があるのが撮影したときの正しい形です。(宇宙なので上も下もないのですが……)
Photo by NASA. Public Domain.
この写真、よく見て、想像してみてください。生命の起源からは数十億年、我々がほ乳類から人類に進化してから20万年、我々が住む「家」の全体像を、地球に住む生物として初めて捉えたのですから。そしてこの写真はインターネットの元祖(スティーブ・ジョブスによれば、ワールドワイドウェブ(≠インターネット)の概念のオリジナルであると述べています)である伝説のカタログ誌「Whole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)」の表紙を飾ったほか、あらゆる雑誌、テレビ番組、映画などに登場し、人々に「地球意識」を植え付けていきました。
まるで、ゾウの背中に住んでいるノミが10mとびあがって、はじめてゾウとは、鼻が長くて動く生き物なのだと理解したように。
とはいえ、私も含めてですが、頭では「地球は丸い」とわかっていても、自分がその、宇宙にぽっかりと浮かび、くるくると回る、球の上に乗って、宇宙空間を高速で飛行しているという実感はなかなかわきません。そういう意味では、まだまだ「数回飛び上がったノミ」のようなものかもしれません。私たちはもっと、ゾウのことを知る必要があるのです。
さて、ひるがえって持続可能性についてです。人類が直面している最大の問題である「持続可能性」とは、地球というあらゆる生物(人間も含む)が生かし、生かされている巨大なエコシステム(生態系)の中で、人類が他の生態系に与える負荷が限りなく増大し、ついには限界に達しつつある、ということだと思います。また、戦争や紛争が絶えないという問題も、多様な人々の中に平和を作り出す仕組みや考え方が成熟していないから、と考えることができるのではないでしょうか?
このような観点から、多くの人が「地球」について感じ、考えることを通して、「地球意識」とも言える意識が育っていくのではないか?と思うのです。「地球意識」を持った政治家は、その意識をベースに、未来のビジョンを語り、宣言し、実行していくでしょう(やはり、現時点では、オバマが思い浮かびます)。会社のエグゼクティブであれば、そのような意識をもって、ビジネス上の決定をしていくでしょう(たとえば、インターフェイス社のレイ・アンダーソンのように)。地球意識をもったデザイナーは、まったく違うデザインで、世界を変えていくでしょう。また、子育てをしている親ならば、子どもにはもっと世界を知ってもらい、地球意識をもってもらいたいと思うかもしれません。
つまり、大げさに言えば、「地球意識」こそが、人類が生き延びていく道を見つけるための、いちばんベースになる感覚なのではないか?と言いたいのです。
そして、さきほどのアポロ8号の写真「地球の出」が第1ステージだとしたら、我々は進化の第2ステージの入り口に立っている、と思います。インターネットとITテクノロジーの発達による、人間と地球、もしくは地球の反対側にいる人間同士をつなげるインターフェースの発達です。その進化の最先端が、iPhoneだと思うのです。
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by @chris
つまり、手のひらに収まるiPhoneを通して、世界の多様な文化を知り、学び、世界の人々と仲良くなり、ついには世界意識を持つこともできる、と。少々楽天的すぎる考え方かもしれませんが、iPhoneは世界を平和にする(かもしれない)とすら思います。
さあ、前置きが長くなりましたが、ここから、iPhoneアプリを紹介します。今回は、まず3つ。
1 Google Earth
最初に紹介するのは、定番中の定番、Google Earthです。いつでもどこでも、世界中の都市を鳥になった気分で眺めたり、ステキなビーチや世界遺産のパノラマ写真(Panoramio)を見たり、Wikipediaで歴史を学んだり。自分の場所からズームアウトして宇宙から眺めれば、それだけで「ああ、私は地球の上に立っているんだなあ」と実感できます。無料。
2 SHOUTcast
世界中には、ほんとうにさまざまな音楽があります。パンジャビ(パキスタンのダンスミュージック)、イタリアのオペラ、アメリカのゴスペル、アフリカのグリオ(吟遊詩人)の歌……本当に多様で豊かな世界を実感できます。音楽は人そのもの。大地、空気、歴史、すべてが織り込まれています。そんな音楽を聴くと、本当に世界は広いし、豊かで多様なんだなあと心で実感できます。そんな体験をいつでもどこでもさせてくれるのが、この「SHOUTcast」です。無数のインターネットラジオ曲が登録されていますので、ぜひ聴いてみてください。無料。
3 Twitterfon
見た目に地球を感じるわけではありませんが、「世界」を感じるのは、Twitterだと思います。Twitterアプリはさまざまなものがありますが、私はTwitterfon Proを愛用しています。イラン騒動の際は、マスメディアが機能不全に陥る中、世界中のTwitterer(ツイッター使い)が有機的につながって、イラン市民の声を全世界に届け、イラン市民を支援しました。つぶやきを追いかけていくだけで、現地の生々しい様子、イランの人々が置かれている状況がかなり鮮明に伝わってきました。マスメディアで紹介されていても、どこか人ごとだったでしょうが、Twitterは生身の人間のネットワークなので、まるで友人に起きている出来事のように感じられました。彼らを隣人と思える感覚、これこそが、地球意識だと思います。私はTwitterfonを半年ほど使って、隣人だと思える範囲が広がった感覚があります。無料(Proは有料)。
みなさんは、この「地球意識」について、どう思いますか? ぜひ、ご意見を聞かせてください。