40%以上のアマゾンの熱帯雨林が消えていく…
米環境情報メディア「EcoWorldly」が英政府系気象研究機関「UK Met Office」の見解としてこんなショッキングなニュースを報じている。アマゾンの熱帯雨林では何が起こっているのか?その原因は何か?を探るとともに、熱帯雨林の破壊を食い止めるために私たちが今やるべきことについて考えていこう。
以下の動画でもわかるとおり、アマゾンの熱帯雨林は危機に瀕している。すでに1970年代に比べて20%の熱帯雨林が破壊されているにも関わらず、破壊のペースは衰えるどころか速まっており、ブラジルのアマゾンでは、熱帯雨林の消失ペースが2007年から2008年で3.8%も増えている。
熱帯雨林が破壊されている原因としては、不法な森林伐採が根強く横行している現状や、バイオエタノールの需要増に伴う農地拡大という点も指摘されるが、環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」の調査結果によると、世界的な食肉消費の増加による畜産業の過熱が深刻な影響を与えているという。以下の左右の地図を比較するとわかるように、ブラジルのアマゾンにおける牧畜場は1996年から2006年で大幅に増えており、この10年間でアイスランドの国土に匹敵する1000万ヘクタールもの熱帯雨林がこの原因で破壊されたみられている。
Expansion of Cattle Ranching in Amazon Between 1996 and 2006: Copyright(c) 2009 Greenpeace, All rights reserved. Greenpeace調査レポート「Amazon Cattle Footprint」(P5)より抜粋
では、アマゾンの熱帯雨林を守るためにどうすればよいのだろうか?まずは、環境保護のための資金を確保することが必要だろう。Brazilian Development Bank (ブラジル開発銀行)ではアマゾンファンド(Amazon Fund)を設立。熱帯雨林の保護活動ための投資を募っており、2021年までに2.2兆円規模の資金を集める見込みだ。また、NPO団体による啓発活動や募金活動も積極的に行われている。たとえば、アマゾンの環境保護活動を推進しているNPO「Cool Earth」は、飲料メーカー「トロピカーナ(Tropicana)」と共同し、「Rescue the Rainforest(熱帯雨林を守ろう)」キャンペーンを実施しているし、ブラジル出身のファッションモデルのジゼル・ブンチェン(Gisele Bündchen)は自らのシューズブランド「イパネマ・ジゼル・ブンチェン」から得られる売上の1%をNGO「SOS MATA ATLANTICA FOUNDATION」に寄付している。
一方、アマゾンの熱帯雨林が抱える課題を根本的に解決するためには、資金面のサポートや社会への啓発のみならず、現地の雇用を確保し、持続可能な経済活動を行える仕組みを構築することも不可欠だ。ブラジルのBahia南部・Ituberaでは、痩せた土地を改善し、持続可能な生産システムを実現する取り組みとして、森林を再生しながら、より自然に近い方法で作物を生産する農法「アグリフォレストリ」を実践している。このような持続可能な農法や技術の導入は、アマゾンの熱帯雨林の環境と現地の人々を共存させる効果的な方策となるだろう。
アマゾンの熱帯雨林破壊の問題は、経済格差や貧困問題とも根深く関連しており、ひいては世界の食糧事情が抱える課題にもつながる大きなテーマだ。地理的に日本から遠く離れていることもあり、遠い世界で起きていること、自分とはあまり関係がないこと、と捉えがちだが、実は、このアマゾンの問題は、私たちの食卓にもつながっていることをまずは認識することが大切だ。今の食生活を見直す、食糧を無駄遣いしない、地元で取れた農作物を買うようにするなど、一見些細な行動を今こそ開始し、それを着実に積み重ねていくことが、アマゾンを救う第一歩になるにちがいない。
via EcoWorldly
アマゾンの熱帯雨林保護に向けて活動するNPO「Cool Earth」について調べてみよう。
シューズブランド「イパネマ・ジゼル・ブンチェン」について調べてみよう。