環境省主導の電気自動車の実証実験がいよいよ本格的にスタートした。この実験は、三菱自動車の「iMiEV(アイミーブ)」5台、富士重工の「プラグインステラ」15台、ベタープレイス「バッテリー交換型電気自動車」1台、東京R&Dの電動バイク「えれぞー」30台、ホンダの燃料電池自動車「FCXクラリティ」1台の計52台を神奈川県や大阪府など6自治体と、佐川急便、郵便事業の2社に貸し出し、実用化に向けた検証を行おうというものだ。
今回注目したいのは、この中でもベタープレイス社の「バッテリー交換型電気自動車」である。一般的な電気自動車は、充電スタンドで充電を行うことでエネルギーを再充填し、走行が可能になるわけだが、問題はその充電時間である。一般的に充電にかかる時間は十数分から数十分といわれる。これだけ長い時間充電スタンドで待たされるというのは大きな時間のロスである。
それを解消するのがベタープレイス社が提案する「バッテリー交換型電気自動車」である。このシステムでは、電気自動車用のバッテリーを汎用型とし、充電スタンドで充電を行うのではなく、バッテリー交換ステーションで搭載されている充電池をすでに充電された充電池と交換する。交換にかかる時間は数分、今ガソリンスタンドでガソリンを入れるのと変わらない時間で出来てしまうのだ。これはまさに目から鱗の方法である。
この「バッテリー交換型電気自動車」を提案するベタープレイス社は2007年10月に創業されたアメリカのベンチャー企業で、このバッテリー交換型のアイデアを広げるため、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどで活動を重ね、アジア進出の第一歩として日本に進出したのだ。
このモデルでは充電池はベタープレイスが貸し出すというシステムをとる。バッテリーが汎用化されることで製造コストも低く抑えられ、バッテリー交換ステーション自体には充電設備を必要としないことでインフラの整備も容易になる。まさにいいことずくめのシステムではないか。
問題はすべての自動車メーカーの電池の規格を統一できるかという問題である。現在は各社電池の性能を上げるための開発競争を繰り広げているわけだが、これをやめて技術を集約してバッテリー交換システムに最も適した電池を開発することができれば、電気自動車の普及を予想よりも早めることが出来るのではないかと期待できる。
ベター・プレイスCEOへのインタビュー記事を読む。