アメリカ環境保護庁(EPA)は“メタン市場化パートナーシップ”を通じて、画期的な国際プロジェクトや活動に700万ドルの財政支援を行うと発表した。この“メタン市場化パートナーシップ”はメタンの回収と利用を推進することで世界的なメタン放出量の削減を目指す国際的なイニシアチブである。
財政支援の対象となるのは、このパートナーシップに参加しているアルゼンチン、ブラジル、中国、ロシア、インドなどの各国で事業を進める政府やNGOなどで、メタンの回収・利用を行う事業に対して10万~70万ドルを補助するという。
メタンは天然ガスの主成分であるが、牛のげっぷなどの動物の排泄物や沼地からも発生する。メタンは二酸化炭素の約21倍の温室効果をもたらすとされており、その回収と再利用は地球温暖化防止のための大きな課題となっている。このため、メタンを発生させるメタン産生菌を利用して生ごみからメタンガスを生成し資源として利用するバイオガスの実用化などが進められており、このプロイジェクトはそのような事業をさらに進めようとするものとなるはずだ。
ただ、この“メタン市場化パートナーシップ”にはアメリカと韓国、ロシアを除いて先進国と呼べる国(日本も含む)は参加していない。いいように考えれば、途上国にも地球温暖化対策を促す政策といえるわけだが、別の見方をするとEU中心に進む地球温暖化対策の国際政策に対してアメリカが対抗勢力を築こうとしていると考えることも出来る。
残念なことに環境対策は現在、ポスト京都議定書をにらんで国際政治の争点となり、各国が自国の利益になる政策を世界にのませようと躍起になっている。しかし、その政争から本当に地球のためになる環境政策が生まれればその過程は問題ではなくなる。これまで地球温暖化対策に及び腰だったアメリカがオバマ政権の誕生を機に、それに積極的に取り組もうとしている兆しなのだとしたら、大きな希望が持てるニュースではないだろうか。
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