電気自動車は、もはや未来のクルマじゃない!?(1)

第12回 日本EVフェスティバル
排気ガスを出さないクルマとして環境対応の有力候補とされている電気自動車。街なかで見かけることはないし、まだまだ未来の技術なのかと思っているようじゃ遅れている。じつは電気自動車を自作して楽しんでいる人たちは、すでにおおぜいいるのです。

市民の作るイベントはEVも自作です

いかにも速そうなレーシングカーが写っている上の画像。なんだかブロロロ〜ンとエンジンの爆音が聞こえてきそうな雰囲気ですが、実際はかなり静か。こんなスゴいクルマが走っているなんて感じがまったくありません。それもそのはず、コイツはモーターで動く電気自動車(EV)なのですから。

11月3日、文化の日。ここ筑波サーキットにて、「第12回 日本EVフェスティバル」が開催されました。年に一回の開催だそうですから、すでに12年もの歴史を持つ日本EVフェスティバルは、その名前のとおり、電気自動車のお祭。主催する日本EVクラブ代表の舘内端(たてうちただし)さんは「行政や企業のサポートを受けつつも、あくまで市民の力を結集して開催されるのが日本EVフェスティバルなのです」といいます。

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日本EVクラブ代表 舘内端さん

たしかに、この会場にはクルマづくりのプロフェッショナルもいますが、あくまで仕事ではなく、個人(アマチュア)として参加しているもよう。そんな人たちが作ったEVが、このようなカッコいいレーシングカーなのです。

そしてイベントに集まってくるEVも、そうしたアマチュアが趣味の領域で作り上げてきたものばかり。実際にナンバーを取得し、街乗りに使われているクルマも少なくないそうです。ちなみに右の写真は、来場者に楽しんでもらえるようにと作った、手作りの輪投げと射的。環境に気を配った言葉が的になっていて、お父さんについてきた子どもたちも楽しめるつくりになっています。

EVクラブの手作り「地球射的」&「環境輪投」

排ガスを出さないEVは静かなだけじゃない

さて、日本EVフェスティバルはそれぞれが作ったEVを自慢しあう(?)場でもあります。昔から「自動車が2台揃ったときにレースは始まった」という言葉があるように、愛車を自慢しあう、ということはまさに競争することなのです。

まずはカートと呼ばれるシンプルな構造のクルマを使った「ジムカーナ」と呼ばれるタイムアタック大会からイベントはスタート。それぞれ創意工夫を凝らして自作されたマシン揃いで、使われているモーターなどでクラスが分けられているそうです。ここでもインパクト大なのはやはり「静か」なこと。といっても無音なわけじゃなくて、タイヤと路面のこすれるスキール音しか聞こえません。

ジムカーナ用のクルマです
クルマの後ろには、モーターがきちんと乗っています

そしてEVといっても元気よく走り回っているのに驚かされます。なんでもクルクルと細かく走るジムカーナではモーターの特性と合っていて、とても走りやすいのだそうです。たしかに、映像を見てもクルッと回りながらイキオイよく走っているのがわかるでしょう?

本格サーキットを駆け抜けるコンバートEV

ここ数年、日本EVフェスティバルの会場として使われている筑波サーキットは、クルマ好きには有名なレース用会場。ここを舞台に自作EVで競われるのが「1時間ディスタンスチャレンジ」。はたから見ていると、まさにレースなのですが、実際にはドライバーを交代したり、また途中クイズに答えたり、とわきあいあいとした雰囲気で行われているよう。20台あまりのコンバートEVがいっせいにスタートし、コースを駆け抜けていくさまはなかなかの迫力です。

しかし、コースサイドから見ていると、本当にいろいろなクルマがEVに変身しています。これらの市販車をベースにEV化したクルマは「コンバートEV」と呼ばれ、なかにはナンバーを取得しているものも。つまり普段はオーナーさんのアシとして公道走行をしているということです。

また自動車整備の専門学校や大学の工学部などで製作されたEVもチラホラ見かけます。それだけコンバートEVのノウハウが広がっているということでしょう。なかでも、参加台数の多い軽トラックのミゼットIIには様々なキットもあるようで、自作EVにチャレンジすることは意外と難しくないという声も聞かれました。

たとえばこちらは、コンバートキットを使って作られたベーシックなEVミゼットII。ドライバーを務めたのは著名な自動車ジャーナリストだったそうです。

またこちらはミゼットIIをベースにいろいろと手を加えた、まさにレーシングマシン。日本EVクラブではEVミゼットIIだけのレースも年5回開催しているとのこと。

クルママニアには「ハチロク」と呼ばれて人気の高いカローラ・レビンをEVに改造したのはCATSこと千葉県自動車大学校の面々です。

昭和飛行機工業からエントリーしていた、このクルマには同社の開発した「金属/食塩電池」が使用。塩で電池ができるなんて、不思議ですね!

今回はクルマのレースだったので出場はしていませんが、このようにクルマだけでなくオートバイのコンバートEVも作られています。こちらは会場に展示されていたものです。

じつは“Reducing CO2“が最大のテーマ

こうしてイベントを見ていると、走って楽しんでばかりいるようにも思えますが、このイベントの今年のテーマは「Reducing CO2」つまり「二酸化炭素の削減」です。そういう意味ではCO2を排出せず、石油以外に由来するエネルギー源も期待できるEVの可能性を追い求めようという人々が集まっているのが日本EVクラブなのかもしれません。ですから会場内ではアイドリングストップをアピールするブースを会員みずからが出しているほど。

また会場までの交通手段によって、いかにCO2排出量が少なかったかを競う「CO2排出量診断コンテスト」も行われていました。

一方、協賛企業のブースで気になったのは「ECOタイヤ」のコピーを掲げていた横浜ゴム。なんでもタイヤのころがり抵抗を効果的に抑制することで燃費を20%も改善することができるのだそう。動力源をエンジンからモーターに変えるだけでなく、タイヤなどの部品でもCO2削減に効果的なものは結構ありそうです。

そして、このクルマはECOタイヤを生み出した横浜ゴムがサポートしている、四駆のコンバートEV。将来的にはバハ砂漠の横断レースへの参加を考えているのだとか。

会場では、ほかにも電気自動車の試乗会なども開催されていました。もちろん、試乗しまくってきましたが、その感想については次回、またお伝えします。

日本EVクラブ
http://www.jevc.gr.jp/