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このプロジェクトについて
環境破壊、格差社会、気候変動などが課題の今日、誰もが安心して暮らし続けることが出来る持続可能な地域をつくるために何が出来るのか、みなさんと一緒に考えるためのドキュメンタリー映画です。ご支援をよろしくお願いいたします。
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監督の思い:孟晗(モウガン)
ご挨拶
はじめまして、千葉大学大学院・博士後期課程に在籍している留学生の孟晗(モウガン)と申します。日本映画が大好きで、それらの映画を育む風土をもっと知りたくて、2011年に中国から参りました。学業として、地域通貨による地域活性化という研究テーマに取り組んでいますが、一度、映画監督をやってみたいという夢は心の底にずっとありました。今、まさに自分の研究テーマに関連する映画作成の夢が、多くの方がたのご協力によって、実現しようとしているところです。
ドキュメンタリーを制作しようと思ったきっかけ
2017年11月に、地域通貨の現地調査をきっかけに、長野県上田市の地域通貨団体「蚕都(さんと)くらぶ・ま〜ゆ」の人びとと出会いました。それ以来、約26回に渡りこの地に足を運んできました。 最初は地域通貨の効果を確かめるため、「蚕都くらぶ・ま〜ゆ」の活動と会員のインタビューにカメラを回していましたが、いつのまにかここに暮らしているひとりひとりの日常に惚れこんでしまいました。ここ長野県上田市で出会った人々が等身大の持続可能な暮らし方を追求しつつ20年の歳月をかけて作り上げたこの「日常」に、さまざまな生活の知恵、喜びと生きがい、そして豊かな暮らしのヒントが潜んでいることを発見しました。
この小さい町で行っていることを一人でも多く、特に母国・中国の人々にも伝えたい、そんな思いが頭から離れませんでした。
少しだけ「地域通貨」の話
地域通貨とは、住民が自主的に設計・発行・管理する、特定地域・コミュニティ内でのみ流通する「お金」です。また、それは人々をつなぎ合わせ、共通の価値や関心を表現・伝達・共有するための媒体でもあると言えるでしょう。日本では、2000年頃から地域通貨の実践が徐々に各地で実践されるようになって、最盛期といわれる2008年には日本全国で600件以上の地域通貨が運営されたそうです。しかし、短期間では実際的な効果が見出せないなどの理由で運営を停止した事例も多数ありました。「蚕都くらぶ・ま〜ゆ」のように19年間も運営を続けてきた地域通貨は本当に僅少な事例です。
未来学者・ジェレミー・リフキン氏が著した『限界費用ゼロ社会』において、「分散・協働型社会」の到来を予言しています。その胎動、言わば「生産」と「消費」の距離が縮み、「生産消費者=生活者」という人間の本来の姿を取り戻すこと、そして人々は自らの手で創造した「豊かさ」を再び地域に埋め戻す可能性を、私はここ長野県上田市において、肌で感じました。そのようなもうひとつの地域活性化の在り方を、映画の力を借りて、地域社会の行方に関心を持っている方々と、このドキュメンタリーを通じて一緒に考えていくことが出来たら幸いです。
1988年、中国・吉林生まれ。大学で経済学を学び、2011年に来日。2016年千葉大学大学院博士前期課程修了。現在、千葉大学融合理工学府デザインコース博士後期課程在学中。研究テーマは、内発的地域活性化・地域通貨について。地域通貨に関する学会発表・論文が多数。中学生の時から、映画好きの従兄の影響を受け、岩井俊二監督の『スワロウテイル』を観て衝撃を受けた。その後、小津安二郎監督の作品、成瀬巳喜男監督の作品とさまざまな日本映画を鑑賞し、日本映画のファンになった。『男がつらいよ』を繰り返し見ることが趣味。
プロデューサーの思い:小川孝雄
孟晗監督との出会いは瀬戸内の小さな島のゲストハウスでした。『男はつらいよ』を全部観ているという孟さんが朝食時に、昨夜、小津安二郎監督の『東京物語』を観たと話された時、映画は国境を超えることができると再確認できた一瞬でした。そんな孟さんが思いを寄せて研究している「蚕都くらぶ・ま~ゆ」。自然にこの研究を映画にして、広く知らせることが出来たらいいね、ということになりました。映画は誰のものか。商業映画の良さとはまた別の市民の映画。制作過程から公開までみんなで所有していく映画作り。新型コロナウイルス関連で厳しさが増す今だからこそ、「蚕都くらぶ・ま~ゆ」らしい映画をめざしたいと思っています。どうぞ一緒に映画をつくりませんか。クラウドファンディングも始まります。ご連絡をお待ちしています。
「1953年岡山県生まれ。岡山映画祭代表。原一男監督『ゆきゆきて神軍』製作支援。1998年に市民プロデューサーシステム代表として『ウンタマギルー』高嶺剛監督の『夢幻琉球つるヘンリー』を制作。ロッテルダム映画祭など各地の映画祭で上映する。ドキュメンタリー映画「シネマトリップ・映画『月の輪古墳』から始まる旅」を監督。まちづくりアドバイザーとして岡山県内のまちづくりにも関わる。」
「蚕都(さんと)くらぶ・ま~ゆ」代表の思い:安井啓子
社会にはお金では測れない多様な価値があります。しかし、現在は何でもお金で測る風潮が蔓延し、しかもお金さえあれば問題が解決できるという考え方が広く深く浸透しているように思えます。そんな社会の在り方に、とても違和感を覚えていました。もっと足元の暮らしを見つめ直したいと思っている中で出会ったのが地域通貨。不思議な可能性を秘めているような気がしました。そして、お互いにできることを地域通貨で交換し、交流しあう市民グループ「蚕都くらぶ・ま~ゆ」が誕生しました。もう20年近くも前のことです。
当初は予想もしなかった多彩な人びとの出逢いから、楽しい活動が次々と生まれました。地域には昔からの知恵や技術を持っている人がたくさんいるのも嬉しい発見でした。米づくりや味噌、醤油、野菜づくりなど自給的暮らしの挑戦も始まりました。助け合いの中でお互いの信頼が深まり、それが暮らしの安心にもつながってきます。こんな私たちの普段着の姿を映像にとどめておきたい。同じような願いを持っている人たちと未来を共有したいと、ドキュメンタリー映画『もうひとつの明日へ』をつくることにしました。どんな未来をつくることができるか・・・今も楽しい試行錯誤が続いています。
「名古屋市生まれ。名古屋市と京都市で数年間小学校教員を務める。上田市に移住後、約20年間上田子ども劇場の運営委員として地域の子育て文化運動に関わる。また環境保全など様々な市民活動にも参加。21世紀を目前に、住民主体の学びの場「明日を創るトーキングプラザ21」を仲間と始める。2001年6月「地域通貨」の学習会を開催。その参加者を中心に11月に「上田地域通貨 蚕都くらぶ・ま~ゆ」を設立。以後、食やエネルギーの地産地消をすすめるNPO法人が設立され理事になる。」
プロジェクトの概要
このプロジェクトは、全国の地域づくり団体、特に地域通貨を活用して地域づくりを推進している団体を調査研究してきた千葉大学大学院の孟晗(モウガン)氏(中国人留学生)が上田地域通貨「蚕都(さんと)くらぶ・ま~ゆ」の活動に注目し、3年前から研究対象として取材・記録してきたものから発展したものです。
また、孟晗氏の地域調査研究の繋がりから岡山でまちづくりアドバイザーをされ、岡山映画祭(1985年~)を主宰されている小川孝雄氏も「蚕都くらぶ・ま~ゆ」の活動に注目し、これまで孟晗氏が映像で記録してきたものを社会的課題解決のヒントとして共有するために、映画制作の構想が生まれました。
「蚕都くらぶ・ま~ゆ」は、豊かな自然とそこで暮らす人々の知恵・技術・経験など地域の財産を、地域通貨を活用し、互いに助け合い、心地よく暮らせる地域とそれを支える温もりのある人間関係を作ることを目指し、2001年11月に発足しました。これまで国内外の地域づくりに関心のある団体や各地の大学の研究者から、活動のヒアリング調査、交流会および講演・シンポジウム参加などの依頼を数多く受けてきました。2016年5月には、オーストラリア国立大学のテッサ・モーリス・スズキ教授が主宰した学会で活動を報告し、2020年1月には千葉大学で開催されたシンポジウムにも参加してきました。2011年9月にはトランジション・タウンに仲間入りしました。
今後のスケジュールは、2020年7月初旬に第1回編集会議、同8月下旬に第2回編集会議、同9月下旬に第3回編集会議を実施し、同11月~12月に長野県上田市、岡山市、千葉市において先行上映会&交流会を開催する予定です。
なお、このプロジェクトは「蚕都くらぶ・ま~ゆ」、千葉大学大学院デザイン文化計画研究室、L&Rプロダクションの協働で推進しています。「蚕都くらぶ・ま~ゆ」からは代表の安井啓子氏をはじめ12人が、千葉大学大学院デザイン文化計画研究室からは孟晗氏をはじめ10人(日本人4人、留学生6人)が係わっています。L&Rプロダクションは小川孝雄氏(代表)、孟晗氏、進巧一氏の3人で2019年に設立しました。ドキュメンタリー映画監督は孟晗氏、プロデューサーは小川孝雄氏、編集責任者は進巧一氏です。